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メイドが本体!  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第二章 一学年春期! 僕の婚約者メイドはどこへ消えた?!
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第114話 決着も反則の疑い!

「はーーーっ!!」


 まず威勢の良い声で向かって来たのは、

 シェリー(36)さんの方だ、って年齢は別に良いか、

 別にご奉仕(意味深)させる訳じゃないし……それを受けてナンスィーちゃんが!


「はいっ!!」


 長い黒箒(くろぼうき)で迎え撃つが、

 柄の部分をモップで防がれ、もう片手に持つ(ほうき)で……!!

 万事休す、と思いきや、えっ、ナンスィーちゃんの黒箒(くろぼうき)が……曲がったぁ?!


「きゃ、きゃああっっ?!」


 おばさんメイドが意外と可愛い悲鳴、

 いやそんなことよりもだ、ナンスィーちゃんの黒箒(くろぼうき)

 それが、ぐんにょり曲がってシェリーさんに巻きついている、なんだあれ?!


「からのぉー……えいっ!」


 曲がった先が、

 シェリーさんのおでこをポンっと!!


「そこまで! 勝者、ナンスィー」


 屋上はどよめきや拍手に包まれる、

 そして慌てて審判に詰め寄るアルベート先輩。


「いやおかしいだろジョミニくん!」

「で、でも一本取りましたが」「いや反則だ!」

「しかし、普通の(ほうき)」「どう見ても普通じゃないだろう!!」


 うんまあ、気持ちはわかる。


「ナンスィーちゃん、なにそれ」

「はいダルマシオ様っ! 出発前に開発した『三十三節棍箒(さんじゅうさんせつこんほうき)』ですっ!!」

「それ、曲がるんだ!」「はいっ、細かい所に手が届く、画期的な(ほうき)ですよっ!!」


 今度は僕らの方にやってくる先輩。


「旧メイド式決闘は、普通に使う(ほうき)しか!」

「それでしたら一昨日、商業ギルドに降ろして正式に昨日から販売されておりますっ」

「一般的じゃないだろ!」「でも一般販売されておりますよぉ!」


 黒箒(くろほうき)こと、

 三十三節棍箒(さんじゅうさんせつこんほうき)を奪う先輩。


「これ、魔力で動かすなら反則だぞ」

「魔力無しでも慣れれば、ああいう操作もぉ」

「どうやるんだ」「捻り具合ですねぇ、ここを、こう」


 頭をかかえる先輩。


「いやいやいや、反則としか」

「審判さぁん」「ええっと、わ、私はジャッジをしただけで」

「こんなのは無効だ、反則だ!」「どういった反則でしょうかぁ」


 これ、らちが明かないな。


「すみません先輩」「反則だろう」

「いえ、昨日からとはいえ市販されていますし、

 魔力も必要ない……ってそんなにムキになることですか、非公式の遊びで」


 周囲を見回し、

 ハッと我に返る先輩。


「……まあ良いだろう、だが公式な決闘では、こうはいかない」

「やるかどうか、わかりませんけど」「そしてやはり私は納得し切れない」

「再戦ですか」「いや、もういい、次にまたどんな珍奇な掃除道具が出て来るか、わからないからな」


 ほう、頭の切れる先輩だ、

 攻撃特化の剣士英傑系一派だけはあるな。


「じゃあ」「君の『ちょい勝ち』だ、だから貸しは軽いもの、

 なので返しは今すぐ、ここで使えるものにしてくれ、あくまで遊びだからなっ!」

「わかりました、借りを返す内容ってここで今すぐ完結するものですか」「できればな」


 できれば、かあ。


「えっと、それじゃあ実は僕って、入学の書類提出、間に合ったのに遅れた事になっていまして」

「ほう、詳しく聞こうか」「実は道中で魔物に襲われている聖女様を救って、それで時間がかかって……」


 屋上でみんなが見ている中、

 女教師となるはずの聖女を救った話、

 夕方ぎりぎり届けたのにアウトにされた話をした。


「……ふむ、それで怖い先生に拒否られたと、誰か想像はつくが」

「なので、僕も普通にクラス分けテストが受けられるようにお願いを」


 屋上のギャラリーからは『それなら大丈夫では』とか、

 『まーたあの鬼教師か』とか『あの曲がる(ほうき)欲しい』とか声が。


「わかった、一応、兄上に話をしておくし、

 場合によってはアルベルト派閥として……は確約は出来ないな、

 とりあえず今日は僕個人として職員室で伝えておくよ」「よろしくお願いします」


 そう言ってメイドと引き上げる先輩、

 僕は一応、深々と頭を下げておく、これで貸し借り無しかぁ。


「ナンスィーちゃん、ありがとう、って眼鏡が」

「はぁ~~~~いぃ~~~、よかぁ~~~ったぁ~~~」

「仕方ない、私が背負っておこう」「アンヌさん、ありがとう」


 こうして僕は、

 自力で試験会場ウォッチを再開したのであった。


(ていうか、もうこれ、ほとんど完成してるよね……?)



 一通り見て回った後のお昼は学食で、

 部外者の僕でもお金を払えば普通に食べられる、

 ていうか学期的にはもう僕は生徒だ、クラス分けが済んでないだけで。


「あっ」「なんですかアンヌさん」

「御主人様の顔を見て逃げた教師が居たぞ」

「えっ、それって」「あまりよく見えなかったが男だ、よって(くだん)の……」


 おっかない先生、

 昨日、職員室で聞いたヴァーゴ先生か。


(嫌な予感がするなあ)


 ええっと明日、学院長と助けた聖女教師の姉が来るんだっけ、

 きちんと手紙が渡っているかどうか、その時に確認すれば良いか、

 ナンスィーちゃんはすっかりテーブルに突っ伏してトロけちゃってるし。


「ナンスィーちゃん、お昼、食べられる?」

「くちならぁ~~~、あけられぇ~~~っ……」

「アンヌさん」「ああ、適当に放り込んでおこう」「適度に水も」


 さてさて、

 午後からはどこで何をしようかなぁ。

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