第108話 反国王派の集会場がお城の倉庫跡地って!
「あったあった、って随分と小さい入口ですね」
地図にあった印を頼りに行ってみた結果、
本当に借りているここ、ウチの建物の壁にあった、
とはいっても低い位置、しゃがむどころか四つん這いにならないと入れない。
「御主人様、開きそうか」
「ええっとアンヌさん待って、んしょ、んしょ、サビついているのかな」
「では私が……ふんぬっ!」
ガチャガチャグイグイやっていると……!!
ギッ、ギギギギィィィーーー……
「あ、開いた!!」
「……私でギリギリか」
「入れますか?」「いきなり物だらけだ、だが、ずらせるな」
上半身を突っ込んでゴトゴトガタガタやっている、
それを見守る僕ら、ってメイドみんなついて来ちゃったな、
借りてるとはいえ自宅だからね仕方ない、ってこれ内側からも行けるんじゃ?
(そしてまじまじと見るアンナさんの大きなお尻よ)
突き出して揺れている、
ここで悪戯したら頭ガンッ! てぶつけそう、
そして後でこっぴどくお仕置されそうだからやめておこう。
「……よし片付いた、これで奥へ通れるぞ」
「ええっと、外で留守番をひとり、となるとカタリヌさんかな」
「はい、ではこちらでお待ちしております」「うん、行ってくるよ」
そして僕を含め、次々と潜入していく。
「……あっ、いいのかな」「どうした御主人様」
「いや、カタリヌさんがあそこに居ると、もしアジトがあった場合、
後から来た人が入りにくいんじゃ」「そもそもここは御主人様が借りた家では」「そうでした」
家と呼ぶには大きすぎる旧倉庫だけれども!
何せあまり使ってなかったとしてもお城の倉庫にしていたからね、
そこに反国王派のアジトがあれば勇気あるなぁってなる、いやもう使わなくなった倉庫だとしても。
(入口は極端に狭かったけど、中は普通の通路だ)
ただ、これは例の大型ティムモンスター部屋の壁沿いだ、
気付かないのも無理は無い、ていうか通じそうな扉も普通に……
いや開かないな、これ強引にやったら悪い事が起きそうな気がする。
(建物自体がガラガラガラガラーーー!!! とか)
そして地下へ降りる梯子を発見した、
が、先頭のアンヌさんが降りようとしない。
「どうしたんですか?」
「いや、また物だらけだ」
「行けますか」「……やはりな、よく見ると、どかせるスペースはある」
つまり、入口もそうだったが、
軽い気持ちで中を覗こう、ちょっと入って進もうとすると出来ない、
本当にこの先に『目的地』があると、意を決した者だけが行ける感じか。
「あっ、だったらひょっとして」「どうした」
「通った後、置いてある物とか元の場所へ戻さないといけないんじゃ」「知るか!」
「ま、まあそうですよね」「……一応、戻しておきますっ!」
というタマラさん、
そんな感じで荷物というか障害物をどかして進む、
うん、ちゃんと移動できる場所、ずらせる箇所があるし、埃も被っていない。
(そして今度は恐ろしく急な階段だ)
これ荷物ていうか置いてある箱に飛び乗った方が早いな、
ドリーちゃんなんか身軽に跳んで先へ行っちゃってるし……
そして今度は落とし穴だ、下に丁寧にマットまで敷いてある。
(みんなストン、ストンと落ち、いや、降りました!)
そして見渡すみんな。
「……ここまで来ると、さすがに障害物は無くなったな」
「はいアンヌさん、ただ道もなくなりましたね」
単なる広い地下三階倉庫だ。
「ん~~~、上との階段の跡はありますねぇ~~」
「ナンスィーちゃん、よくわかったね」
眼鏡を外した状態なのに。
「おそらくぅ~、ここを繋げれば普通に戻れますぅ~」
それは良いんだけど『秘密アジト」はどこに行った、
広さ的には会議を開くには十分過ぎる大きさだけれど、
どこかに扉とか……どかせる物もあんまり無いな、一応チェックっと。
(マットの下も何もありませんでした)
うーーーん、
と、ここで前アジトのからくりを思い出す。
「あっ、メイドの皆さんモップを出して下さい」
「箒でも良いか」「はいアンヌさん、その柄の部分であちこち突っついて下さい」
「……わかった、壁と天井か」「一応、床も」
僕も壁をノックして回る、
あっちこっちトントン、ドンドンしていると……!!
「……こちらですね!」
「タマラさん、もう一度」
カッ、カッ、と他とは違う音がした。
「よし、拳で空けよう」
と、アンヌさんがしゃがんで床に向かって構えると……!!
カパッ!!
開いたーーーー!!
「何だ」
「ええっと、これですこれです」
僕は最初に一度しか使えないと言われた方の紙と、
その行先、昔の下水道処理施設で貰った地図の両方を見せる。
「……今回だけだぞ」
「ありがとうございますっ!!」
スッと引っ込んだ黒ずくめの男、
アンヌさんが追いかけるように開いた穴へ入る、
みんな続く、僕も入るとそこは、すべり台になっていた。
(傾斜がそれ程でもないから、下からも登ってこられるな)
おまけに大きくカーブまでしている、
こうして行き着いた先は地下4階になるのかな?
滑り台に身を任せてぐんぐんぐんぐん進んで行くと……!!
「御主人様、ここは」
「うん、どこからどう見ても、お店だね」
「シークレットショップへようこそ、客人」
……いったい何を買わされるんだろうか?!