第一章ストーリーおさらい! ここだけ読めば第二章からでもOK! 前編!
第一章 闇のメイドを引き連れて王都の学院へ行こう! 全100話まとめ 王都への出発まで
サヴァンティア大陸の南西、
大陸最大の国グランサーヴァにおいて最辺境とされるスゥクネィダ地方、
そこはほぼ全てに土地が濃い『闇の瘴気、闇の臭気』と呼ばれる見えない毒に犯された地域であった。
そこはまさに『人外魔境』と呼ばれる未開の地であり、
奥へ行けば行くほど危険な魔物やダンジョンが潜んでおり、
ごく一部の屈強な高ランク冒険者でなければ好き好んで入るような場所では無かった。
とはいえ、まったく人が住めないと言った訳ではなく、
地域最北の街ダクスヌールはまだ闇の瘴気も弱い方であり、
光魔力や闇魔力の濃い者は普通に生活でき、その場所ならではの仕事に従事していた。
ある者は危険な奥へと行く冒険者たちの手助けをする仕事を、
ある者はこの土地でしか採れない産物、作れないアイテムを作る仕事を、
ある者はここでしか出来ないような解呪、魔法の研究等々を……
そしてこの場所を治める領主といのが当然必要となる、
その未来の候補というのがダルマシオ=ダクリュセック、
十五歳のどこからどう見ても典型的な貴族のお坊ちゃんである。
彼が現在、町長に任せているこの街の、この地方の正式な領主になるためには、
遥か遠く、大陸中央にある王都グランセントサーヴァの王立グランサーヴァ聖貴学院を卒業しなくてはならず、
そこで三年間、領主としての勉強を終えて無事、スゥクネィダの家名を持つ貴族の位を国王陛下に授かる予定でいた。
すでに六年間の学校生活、三年間の学園生活を生まれ故郷のマジュカルース地方で過ごし卒業しており、
学院ではダクスヌール出身の友人カイル・ディラン・ロジャーが取り巻きのように仲良くしてくれたうえ、
またダクスヌールの屋敷では五人の老婆メイドが親身に世話を、たまに悪い事をするとくすぐり攻撃のお仕置をしたりして面倒を見てくれた。
こうして学園時代は平日は実姉の住むサラティーネの街で、
週末や長期休みは取り巻きと共にダクスヌールの街へ戻って泊まり、
無事に学園を卒業し、さあ王都の学院へ、と準備をし始めたまだ寒い頃、突然の訃報が届く。
『伝説の七英雄、最後の生き残りであるギリオス様が亡くなられた』
実は八十年前、ここサヴァンティア大陸は魔王軍に滅ぼされかけたのだが、
それを阻止し魔王を倒した伝説の七英雄、七英傑というのが居て、そのうちのひとりが、
ダルマシオの曽祖父、大魔導師ギリオス様であった、ダルマシオはその長男の長男の九男である。
実はダルマシオは父キリアンが怖くて苦手で、
そのキリアンは祖父リアッドが怖くて大の苦手、
リアッドはさらにその上である、ダルマシオから見て曽祖父のギリオスを畏怖を感じる程、恐れている。
しかしそのギリオスは、ひ孫であるダルマシオにだけ、なぜか極端に甘かった、
それがなぜなのか十五年間、不思議に思っていたのだが、
ギリオスの死去でその謎が解かれる、実は魔王を倒した七英傑にはとんでもない秘密が隠されていたのであった。
『本当の、真の英傑が魔王を倒した、それは魔神ユピアーナという』
その魔神の女性は魔王討伐の力を七英傑の生命力で得ており、
魔王を倒した瞬間、生命力の吸収を止めるために自らを封印していたのであった、
眠りにつくその時、とんでもない希望を七英傑に告げて……
『目が覚めたらメイドになろう、そうだな、ギリオス、お前の所が良い』
七英傑が全員亡くなったのちに封印が解かれ復活する事になっていたユピアーナ、
その目覚めの儀式をするためにダルマシオは、ダクスヌールの街からさに奥に隠された、
秘密の『闇の村』へと向かう事となる、ダルマシオのために用意された新しいメイド達を伴に。
実はこの国グランサーヴァの貴族間では『メイドの強さがその貴族の強さ』という価値観があり、
特に王都や学院では互いのメイドを賭けた『メイドバトル』がさかんに行われている程で、
ダルマシオにも王都へ連れて行って恥ずかしくないメイドが闇の村により用意されていたのであった。
すでに臨時メイドとして面識のあった眼鏡美人の新メイド長カタリヌ、
ダルマシオに『お姉ちゃん』と呼ばせようとするがどう見ても『ママ』な新副メイド長サエラス、
カタリヌは魔女としては回復特化、サエラスは剣の技術が非常に長けている。
さらに面識の無かった新メイド、背が低く十代前半に見えるも実年齢二十二歳の合法少女メイド、
やたら『お姉さん』と呼ばせたがるサンドリーヌは親しみを込めてドリーちゃんと呼ばれたりもする、
そして胸の強調がやたらと激しい超巨乳メカクレそばかすメイドのタマラは天然のハニートラップだ。
以上の四人を引き連れてユピアーナの封印を解き、無事に目覚めさせたのだが、
彼女が目覚めて早々、ダルマシオのメイドになると宣言、その巨体を魔法で通常の人型サイズとなり、
時には拳闘士メイドのアンヌ、時には魔法使いメイドのアンナ、のち両方を同時に出現させて正式なメイドとなった。
この時、ユピアーナの手により七英傑の魂からそれぞれダルマシオやメイド達に能力を授けるも、
二人分余ってしまい、それについてはまたのちほど、相応しいメイドに贈ることとなった。
また、彼女の封印されていた五階建ての屋敷も、そこにあった魔王討伐の報奨金も、
全て主人であるダルマシオのものとなったうえ、そこで魔法の研究をしていた魔道具師ナンスィーもメイドとなり、
ユピアーナと共に『転移魔方陣』を開発し、他所の街と屋敷を瞬間移動で行き来可能にしてしまった。
こうして最強のにして最恐にして最凶のメイドであるユピアーナを手にしたダルマシオは、
互いの立場やキャラ付けで少々揉めたものの、怒ったダルマシオにユピアーナが折れるような形で、
お互いにメイドと主人として王都で三年間、一緒に生活する事が決まったのだった、もちろんそれ以降もの予定でもあるが。
とりあえず王都へ出発するまでにやっておかなといけない事、
それは学院でのクラス分けテストで好きなランクに入れるようにダルマシオ自身を鍛える事と、
テストにはメイドも参加できるため、メイドも鍛えなければいけない。
まずダルマシオに関しては基本的にサエラスが剣を中心に教えるものの、
闇の村にはかつての名うてのS級冒険者が住民である闇の魔女に引っかかり、
籠絡され身も心も離れられなくされているため、そういった者達からの指導も受けた。
メイドに関しては冒険者パーティー『ダルちゃん(のちにダルちゃま)のメイドお姉ちゃんズ』を結成、
ユピアーナがドラゴンやミミックなど次々とティムしてきたのはともかく、
冒険者としての活動などを通じ着実に強くなって行ったのだが若き新人メイドも新たに加わりたがる。
それはダルマシオよりひとつ年上のブランカで、彼女は王都に憧れる魔女だったが、
体質的に闇の村から出られず、まだ闇の瘴気がある方のダクスヌールの街にすら行けない有様、
しかしそこはナンスィーの魔導具により解決、無事、王都への馬車への同乗を許される事となった。
そんなある日、お城からお姫様がやってきて解呪の依頼に来る、
姫のロゼッタはなぜか魅了魔法を振りまいてしたがダルマシオには効かず(テンションはおかしくはなった)、
無事依頼が終わると王都の学院での再会を誓って別れたのだった。
そんなこんなでダルマシオは三年後に領地を継いだ後の事を考えながらも、
さあよいよ王都へ出発するのだが、途中に寄らなければならない場所がいくつもあった、
そう、実姉の住む街、実母の居るメイド育成所、実父の屋敷に祖父の屋敷である。
後編に続く。