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フットボールのギフト ~底辺Jリーガーの俺がフットボールの神様からもらったご褒美とは~  作者: 相沢孝
第十一章 飛躍のリバプール2年目編

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vsホットナム戦 その2

 シーズン終盤の優勝争いを迎え否が応でも盛り上がるアンフィールド。


 リバプール湾から吹き込んでくるじっとりとした潮風を吹き飛ばすようなKOPの大声援に背中を押されて、現在第五位のホットナム相手に立ち向かうはずなのだが……どうにもこうにも体が重い。


 ひと月以上前から続く週二進行と水曜日のアウェイ、ヴィニレアル戦の疲れがじっとりと体にまとわりつく。


 一方の週一で試合をしっかりとこなしているホットナムは体調万全。えっ、三月末の代表ウィーク終わってから、ずーっと週一ですかっ!?


 うらやましい……


 するとその時だった。


 選手搭乗口ゲートでエスコートキッズと手を繋いで待機してたら、「やあ、神児、司、W杯出場おめでとう」と背後から声を掛けられた。


 振り返るとそこには今やハリル・ケインに次ぐホットナムの象徴となったコリアン・エキスプレスこと、今日の俺のマークのお相手、ファン・ソンミン君がニコニコしながら立っていた。


「ありがとう。韓国も決まったよな。あれ、いつだっけ?」と卒なく英語で返事をする司。


「うん、僕たちは第八節だったね。日本の一つ前だよ」とニコニコのファンくん。


「ああ、そっかー、韓国は2月に決まってたんだな」と俺も負けじと英語で返事をする。


「まあ、僕たちは組み合わせに恵まれただけだよ」といつも謙虚なファン君。勉強になります。


「ところで、最近いいお店見つけた?」と声を潜めてファン君。


「えーっと、ロンドンで?」と周りを気にしながら司。


「うん、出来たら」


「アラキさんのところは?」


「もちろん行ったよ」


「かねさかは?」


「豊洲から直輸入でいいネタだったねー」


 おや、お詳しい。


「じゃあ『海』は?」


「えっ、知らない。どんな店?」


「京都出身の日本料理の店主がオープンさせたお店だな。俺もまだ行ってないけど……」


「ちょっと、詳しい話後で教えてよ」


 と、イングランドに来てからファン君とはグルメ仲間で内輪でいろいろなお店の情報をシェアしているのだ。


 『U-15東アジア選手権』でのレセプションパーティーですっかり日本のお寿司にハマってしまったファン君。今ではすっかりプレミアリーガーの中でも指折りのフーディーとなり、俺達もファン君からいろいろ美味しいお店を紹介していただいております。


(閑話休題)



 そんな感じで、EPLイングランド・プレミアリーグ 第36節 リバプール vs ホットナム・トットスターズFCの試合はホットナムのキックオフで試合開始。



 すると試合はホットナムがボールを持ちウチ(リバプール)が守るといった感じで進んでいく。


 高い位置からゲーゲンプレスを仕掛けようにも前線のフロントスリーも出足が鈍く気が付くとゴール前まで下がって守るという流れになっている。


 もっともそんな中、一際異彩を放っているのが、リバプール湾に移住して来た八王子産の鯱。


 チャンスと見るや積極果敢にDFラインから飛び出していきインターセプトを狙っている。


 クラップさんの今日の作戦は「前半は無理をしないで後半勝負。でも、拓郎のインターセプトからのカウンターはいつでも出せる準備をしておきなさい」ということだ。


「ラジャー!!」


 そんな感じで、拓郎が飛び出すたびにバランスを取ってDFラインに納まる俺。結構これ、キツいんですよ。


 しかし、そんな俺の気持ちなどつゆ知らず、ほっぺをテカテカに光らせながら獰猛果敢にボールを狙う神の鯨(カムイフンペ)


 うーん、俺も今晩から納豆カレー食べようかなー。


 すると、前半の12分、拓郎のインターセプトがハマる。


 ホットナムのボランチ、ロドリーからハリルへのパスを掻っ攫うと、冬移籍でレッズの一員となったルイ・デービスに縦パスを入れる。


 それをダイレクトに落とすデービス。そしてそのボールの落としたところに、重い体を引きずりながらも走り込む偽サイドバック(ファルソ・ラテラル)の司。さすが、ここぞとばかりの勝負勘は相変わらず冴えている。


 そして、瞬く間に前線に走り込んだマネラさんにスルーパス。


 相変わらず惚れ惚れとする球筋だ。コース、スピード、そして回転も申し分なし。


 ベルベットのような司のパスを完璧に納めるマネラさん。


 すると、相手CBがブロックに詰めて来る前に素早く右足を振り抜いた。行ったか!!


 だが、マネラさんのシュートはコースが甘く、キーパーのウーゴ・ロドリの真正面。


 ぐぬぬぬぬ~、絶好調のマネラさんだったら決めててもおかしくないのだが、やはりここでも連戦の疲れからか最後の精度がちょっと足りない。


 拓郎のインターセプトから始まったリバプールの稲妻のような攻撃は、調子に乗っていたホットナムのイレブンを怖気させるには十分だった。


 いかに連戦つづきでコンディションが不調と言えども、一瞬でゲームを決め切る力を秘めている我が軍。


 年明けしてからリーグ戦で無敗なだけはある。


 すると、ホットナムの選手達もまずはディフェンスからと言う事で、幾分自重したゲーム展開となってゆく。

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