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【癒やし】蒼龍くん物語 〜小さな龍と学ぶ、心を調えるための「禅の智慧」〜  作者: 佐藤 堅明
第1章:気づきの門(第1〜12話)

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第6話:正しいのに、なぜ伝わらない? 蒼龍くんと「和顔愛語」

こんにちは、佐藤堅明です。


誰かを思って言った言葉が、なぜか相手を傷つけてしまったり、誤解されてしまったりすることはありませんか。


どんなに素晴らしい宝物も、それを包む箱や、差し出す手の温もりがなければ、相手は受け取ることができません。 今日の蒼龍くんは、玄龍さまから「心の光を届ける方法」を学びます。

「放下着」を学んだ蒼龍くんは、過去の失敗や未来への不安を手放し、毎日を軽やかな気持ちで過ごしていました。


「これで僕は、もう立派な修行者だ。あとは、もっと優しくなれば完璧だ!」

蒼龍くんは、誰にでも優しく接しようと決意しました。しかし、彼にはひとつ大きな欠点がありました。それは、顔の表情がちょっと怖いことです。

本人は優しく話しているつもりでも、集中したり真剣になったりすると、つい眉間にシワが寄ってしまうのです。


ある日、蒼龍くんは友達のピィとキューが、大きな木の実を見つけられずに困っているのを見かけました。

蒼龍くんはすぐに助けてあげようと、彼らに近づきました。


「ピィ、キュー、大丈夫か?(真剣な顔で)僕がどこにあるか知っているぞ。君たち、もっと集中して探すんだ!」


しかし、ピィとキューは、蒼龍くんの顔を見た途端、ビクッと怯え、急いで逃げ出してしまいました。

「あれ?どうしてだろう?僕は、正しいこと、優しいことを教えてあげたのに…」


蒼龍くんは悲しくなって、玄龍さまに尋ねました。「玄龍さま、僕は心の中で優しく接しているのに、なぜかみんなに怖がられてしまいます。心だけで優しさは伝わらないのでしょうか?」


玄龍さまは、静かに頷きました。

「蒼龍よ、おまえの心は清く、優しい。それはよく分かっておる。だが、心の中の優しさは、そのままでは相手に届かぬ、温かい太陽の光のようなものじゃ。」

「その光を、この世界に、目の前の相手に届けるためには、二つの道具が必要なのじゃ。」


玄龍さまは二つの言葉を教えました。

一つは、『和顔わげん』。和やかで、穏やかな顔、つまり笑顔のこと。

もう一つは、『愛語あいご』。優しく、思いやりのある、温かい言葉のこと。

「心の中の光は、『和顔』という窓から差し込み、『愛語』という声に乗って、初めて相手の心に届くのじゃ。

眉間にシワを寄せ、鋭い言葉で正しさを説いても、それでは相手はただ怯えてしまうだけじゃろう。」

「『和顔愛語』とはのう、修行の基本じゃ。どんな真実も、どんな優しさも、まず笑顔と温かい言葉で包んで、初めて相手に受け入れてもらえるのじゃよ。」


蒼龍くんは、すぐさまピィとキューを探しました。そして、ピィとキューを見つけると、深呼吸をし、眉間の力を抜き、心からの笑顔を作りました。


「ピィ、キュー。ごめんね!さっきは、怖い顔で大きな声を出してしまった。君たちに、優しく笑いかけて、『一緒に探そうよ』って言ってあげればよかったね。」

その笑顔と優しい言葉を見た瞬間、ピィとキューは安心して蒼龍くんのそばに戻ってきました。


笑顔と優しい言葉という、誰でもできる、最も簡単な二つの修行。それが、人と人との心を結びつけ、世界を明るく照らす魔法の光だと知った蒼龍くんでした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


和顔わげん愛語あいご」。 私たち僧侶が、最も大切にしている修行の一つです。


難しいお経を覚えることよりも、厳しい修行に耐えることよりも、目の前の人に「和やかな笑顔」と「思いやりのある言葉」を届けることの方が、ずっと難しい時があります。


正しさを振りかざすのではなく、優しさで包んで差し出す。 鏡を見たとき、もし自分の眉間にシワが寄っていたら、蒼龍くんのことを思い出して、ふっと表情を緩めてみてください。


次回の蒼龍くんは、もう二度と会えないかもしれない不思議なカモメに迫ります。


合掌


佐藤堅明


※本作は現在、「曹洞宗 蒼龍寺」のFacebookでも同時連載中ですが、こちらの『なろう』版ではより読みやすく整えてお届けしています。まずはFacebookの最新話に追いつくまで、毎日更新を続けてまいりますので、楽しみにお待ちください。


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