表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【癒やし】蒼龍くん物語 〜小さな龍と学ぶ、心を調えるための「禅の智慧」〜  作者: 佐藤 堅明
第1章:気づきの門(第1〜12話)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/22

第5話:頑張りすぎてない?執着を捨てる「放下着」の智慧

こんにちは、佐藤堅明です。


勉強したり、経験を積んだりするほど、私たちは「こうあるべき」という重たい荷物を、心に増やしてしまうことがあります。


「もっと立派にならなければ」「失敗してはいけない」 そんな思いに縛られて、動けなくなっている方へ。 今日の蒼龍くんの姿が、心を軽くするヒントになれば幸いです。

「日々是好日」「平常心是道」「知足」「脚下照顧」と、四つの大切な教えを学んだ蒼龍くんは、毎日真面目に修行に取り組んでいました。


(これだけ真面目にやれば、僕はもう立派な龍の子だ。誰にも負けない!)

彼の心には、いつの間にか「立派な修行者でいなければならない」という新しいこだわりが生まれていました。


ある朝、蒼龍くんは修行の準備を始めました。

空を飛ぶ練習には、もしもの時に助けられるようにと、重い岩のお守りを両翼に結びつけました。

瞑想の練習には、心が乱れないようにと、友達から借りた、様々な教えが刻まれた大きな木札を抱えました。

そして、いつなんどき人助けに出くわすかもしれないと、たくさんの食料や水が入った大きなカバンを背負いました。

「よし!これで完璧だ!」


意気揚々と飛び立とうとした瞬間、体はグラリと傾き、彼の小さな翼は、地面から少しも持ち上がりません。

「あれ?どうしてだろう?僕の力は、この前よりもっと強くなったはずなのに…」

重い荷物に押しつぶされそうになりながら、蒼龍くんはそれでも必死に羽ばたこうと試みますが、呼吸は乱れ、汗が噴き出し、ついに力尽きて、ドサッと地面に座り込んでしまいました。


その様子を見ていた玄龍さまが、静かに近づいてきました。

「蒼龍よ。おまえは、何をそんなに抱え込んでいるのじゃ?」


「玄龍さま…僕は、もう『おっちょこちょいな怠け者』ではないと証明するために、完璧な龍になろうと、必要なものをすべて持ってきました。でも、力が足りません…」

玄龍さまは微笑みました。「おまえが持っているものを見てごらん。それは、本当に『今、この瞬間に』必要なものかのう?」


蒼龍くんは荷物を見つめました。

重い岩のお守りは、「失敗してはいけない」という過去の失敗への恐れでした。

教えの木札は、「立派な龍でいなければならない」という自分への期待という執着でした。

カバンの中の食料は、「いつか来る大変な未来」への尽きることのない不安でした。


玄龍さまは、静かに教えを説きました。

「『放下着ほうげじゃく』。すべてを下ろしてしまえ、という意味じゃ。」

「おまえは、過去の失敗、未来への不安、そして『完璧で立派な自分』というこだわりを、まるで重い荷物のように抱え込んでいる。それは、おまえが今、本当に成すべきこと、すなわち『今、この瞬間の最善』を尽くすことを邪魔しておる。」


蒼龍くんは、ハッとしました。

「そうだ!僕は、今空を飛ぶ練習をしたいだけなのに、過去や未来の重さに縛られていたんだ!」

蒼龍くんは、恐る恐る、一つ、また一つと荷物を下ろしました。

重い岩を外し、木札を置き、カバンを地面に置きました。

すべてを下ろした蒼龍くんの体は、羽のように軽くなりました。大きく深呼吸をすると、彼の体から白い息が勢いよく吐き出されました。

「ああ…なんて軽いんだ!」

彼はそのまま、スッと空へと飛び立つことができました。


「必要なのは、今、目の前の最善を尽くす力と、それ以外はすべて手放す勇気だけじゃ」

蒼龍くんは、執着を手放し、肩の荷を下ろすことで、本当に自由になり、軽やかに修行に励むことができるようになったのでした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


放下着ほうげじゃく」。 直訳すれば「投げ捨ててしまえ」という、少し過激にも聞こえる言葉です。


私たちは「過去の失敗」や「未来への不安」、そして「他人からどう見られるか」という重い荷物を背負いながら、今日という道を歩もうとしてしまいます。 けれど、本当に大切なのは「今、この瞬間」を生きること。


もし、あなたが今「苦しい」と感じているなら、それは荷物が多すぎるサインかもしれません。 一つだけでいいので、その荷物をそっと地面に置いてみませんか。 下ろしてみると、驚くほど高く飛べる自分に気づくはずです。


次回の蒼龍くんは、あれ?小鳥のピィとキューに嫌われちゃった?そんなお話です。


合掌


佐藤堅明


※本作は現在、「曹洞宗 蒼龍寺」のFacebookでも同時連載中ですが、こちらの『なろう』版ではより読みやすく整えてお届けしています。まずはFacebookの最新話に追いつくまで、毎日更新を続けてまいりますので、楽しみにお待ちください。


イイネ!と思ったら下の☆☆☆☆☆をタップして応援お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ