宿
「それじゃ、次は宿を探すか。」
「酒が旨い所が良いのじゃ。」
「そうね、後食事も美味しい所がいいよね~」
シャルもウンウンと頷いている。
「冒険者ギルドで聞いてみましょうか?」
「そうだな、そうするか。」
俺達が冒険者ギルドへ行こうとした所で、声を掛けられた。
「あ、あの!」
声を掛けられた方を見ると、シャルと同じくらいの男の子が居た。
目が隠れるほどのボサボサの髪と、汚れては居なかったが、服はすこしボロボロで見た目は少しみすぼらしかった。
「何かな?」
俺はその子に聞いてみると。
「い、今宿を探しているって聞こえて。
も、もしよかったらウチに来ませんか!」
どうやら宿の勧誘らしかった。
この子の恰好からすると、そんなに良い宿とは思えないが、特に宛ても無いしなぁ…
「どうする?」
とりあえずみんなに聞いてみることにした。
「う~ん、どうなんだろう?」
「あたいは構わないのじゃ。」
「ハルさんにお任せします。」
シャルは何でも良いよ? って顔をしていた。
微妙に反対が1、賛成が1、どちらでも可が2か。
「お、お願いします!」
男の子は必死にお願いしている。
とりあえず1泊くらいはしてあげても良いかな。
「わかった、とりあえず今夜はお世話になるとするよ。」
「ほ、本当ですか! ありがとうございます!!」
男の子はしっかりと頭を下げてお礼を言った。
「それでは案内します!」
男の子はそう言って前を歩き出したので着いて行くことにした。
大通りから1本中に入った裏通りにその宿は有った。
少し古びた建物だが、作りはしっかりしているみたいだし、泊まる分には問題なさそうな感じだ。
入り口にはお店の名前の看板が出ている。
「やすらぎ亭か。」
「はい! 僕の自慢の宿です!」
男の子は扉を開けて中に入ったので、続けて入ることにした。
「お父さん! お客さん連れて来たよ!」
「何! 本当か!」
「あ、こんにちは、今晩宿をお願いしたいのですが。」
「もちろん喜んで! ありがとうございます。」
「とりあえず5人何ですが、おいくらですか?」
「家は1人部屋が銅貨7枚、2人部屋が一人銅貨6枚、4人部屋が一人銅貨5枚となってます。
食事は食堂で直接払って頂く形式になっております。」
「それじゃ、4人部屋が1つと、1人部屋を「「「2人部屋でお願いします」」」…はい。」
「えっと、4人部屋を3人と、2人部屋を2人で使うで良いのかな?」
「ヨロシクオネガイシマス。」
「た、大変そうだね、銀貨2枚と銅貨7枚だ。」
俺はお金を支払った。
「ありがとうございます。直ぐにお部屋に行くのかな?」
「いえ、一度街を散策してこようと思ってます。」
「分かりました。では、戻られましたら声を掛けて下さい。」
「それでは、行ってきます。」
「行ってらっしゃいませ。」
宿を出ようとした所で、男の子が声を掛けてきた。
「今日は泊まってくれてありがとうございます。」
「気にしなくて良いよ、思ってた以上にしっかりとした宿だったし、値段も高くなかったからな。
えっと…そういえば名前知らなかったな。俺はハルだ。君は?」
「ハルさんですね。僕はケリーと言います。宜しくお願いします。」
「ああ、ケリー宜しくな。」
こうして、とりあえず今日泊まる所が決まったのだった。
実はケリーは…




