お別れ
迷宮都市へ入った俺達は、まずは人通りの少ない所へ行き、周りに誰も居ないことを確認した所で、馬車をアイテムボックスへと収納した。
これで馬だけを連れて行けば問題無しだ。
「相変わらず凄いスキルじゃの。」
「ホント、こんな馬車まで収納出来るものなんだね~」
「でも、こうして大荷物を持たずに旅が出来るのですから。」
「そうじゃの。あたいが最初に旅をしたときなんか、沢山の荷物で苦労したからの。」
「こればっかりはジェニファーに感謝だな。
よし、それじゃ馬を売りに行こうか。」
「「「は~い(なのじゃ)。」」」
俺達は乗合馬車の詰所へとやってきた。
「こんにちは~」
「いらっしゃいませ。」
「すいません、馬を買い取ってもらいたいのですが。」
「はい、買取ですね。馬は外でしょうか?」
「はい。」
「では査定しますので、少々お待ちください。」
「わかりました。」
折角だから査定するのを見せてもらうとしよう。
「すごい…」
馬を見た店員が一言ボソリと言った。
「どうしたんですか?」
「あ、いえ、あまりにも立派な馬でしたので。
ケガも無さそうですし、筋肉の付き具合も良いし、これなら金貨2枚で買い取っても良いかもしれませんね。」
「あれ? 金貨1枚と銀貨5枚じゃないんですか?」
「通常でしたらそうですが、この馬は通常と違ってものすごく立派な馬ですので、高く買い取らせて貰います。」
「こちらとしては高く買い取ってもらえるのなら文句は有りませんが…」
もしかしたら毎日お疲れさんと言うことで、HPポーション改を与えていたのが原因だろうか?
走って傷ついた筋肉が修復して超回復したとか? 有り得る…
「では、金貨2枚で買い取らせて頂きます。」
「はい、確かに。」
俺は金貨2枚を受け取った。
「他に何か御用は有りますでしょうか?」
「えっと、最後に餞別と言うか、餌を上げてもいいですか?」
「はい、かまいませんよ。」
許可が貰えたので、馬の所へ行く。
こっそりアイテムボックスよりニンジンを取り出し、馬へ与えた。
「ブルルルッ♪」
馬は嬉しそうにニンジンを食べた。
「アルデの街からここまで俺達を連れてきてくれてありがとうな。
お前と一緒に旅が出来て良かったよ。また機会が有ったら一緒に旅しような。」
俺は鬣を撫でながら言った。
「ブルッ!」
馬は声を出して首を振った。
もしかして言葉が分かっているのだろうか?
「じゃあ、またな!」
俺は馬と別れ、乗合馬車の詰所を後にした。
お疲れさまでした。




