太る薬(4)
京香が薬を飲み始めて、一ヶ月が経過した。
「京香!」
良子の言葉に、以前よりふっくらした京香が笑顔で返事をした。
「ごめんごめん。お待たせ」
「もう!遅い!でも、許す!」
「ありがとう」
京香と良子は、笑顔を向け合う。
一通り買い物などを済ませると、いつもの喫茶店に入った。
京香はアイスロイヤルミルクティー、良子はアイスコーヒー、そして、二人分のパンケーキを注文すると、会話を始めた。
「それにしても、ほんとにあの薬屋の薬は、効果あるんだねぇ」
程よく肉が付き、健康的な体型になった京香を見ながら、良子が言葉を発する。
良子の言葉に、京香も頷く。
「ほんとに。私も、こんなに効果があるとは思わなかった」
「薬は、今も飲んでるの?」
「ううん。目標体重の五十五キロになったからやめたの」
「そうなんだ。もう飲むことはないの?」
「なんかね、増え過ぎた体重を、元の体重に戻すことは難しいらしくて。これ以上増えると後々大変かもしれないから、とりあえず、一旦やめたんだ」
「なるほどねぇ……」
二人の会話がキリよくなったタイミングで、ロイヤルミルクティーとアイスコーヒーがきた。
京香が、ロイヤルミルクティーを飲むのを見ながら、良子が言葉をこぼした。
「あー、私も痩せる薬を飲もうかなぁ……」
良子の言葉に、京香は微笑む。
「良子は、そんなに太っているわけじゃないし、今のままでも十分魅力的だよ」
京香の言葉に、良子は嬉しそうに笑顔を浮かべた。
「京香がそう言ってくれるならいっか! 京香、ありがと!」
「どういたしまして」
二人はクスリと笑い合うと、他の話をし始めた。
話の口火を切ったのは、京香だった。
「そう言えば、最近めっちゃ良い曲見つけたんだー」
「なんて曲?」
「なんか、セリフみたいなタイトルでね。『ケ・セラ・セラと歌うと花が咲くよ』っていうタイトルなの」
「へー、誰が歌っているの?」
会話は途切れない。
そうこうするうちに、パンケーキがきた。甘い香りが、京香と良子を包む。
京香は、鼻から大きく息を吸い込んだ。
「良い匂い。いただきます!」
京香はそう言って、フォークでパンケーキを一口大に切り、その切ったパンケーキを口に運んだ。
そして、目を細めながら、感想を口にした。
「んー! おいしい!」
そんな京香を、良子は優しく見つめた。
あたたかい日差しが、窓から差し込む。
彼女たちの青春は、まだまだ続いていく。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
さて、一ヶ月が経って、京香は健康的な体型になりました。
パンケーキを美味しそうに食べる京香を優しく見つめる良子は、本当に彼女を心配していたんだなぁと思います。
そんな彼女たちの青春は、まだまだ続くわけです。
健康的に元気に青春を謳歌してくれることを、作者として願います。
次はどんな物語になるのでしょうか?
ぜひ、続きもお楽しみいただけますと幸いです。




