過去への固執
あとがき、お気をつけて、やべぇ奴なのは変わりありません。
小さな娘っ子、紡が去った後、改めて仁琵を呼び戻した。彼奴は何時も通り気だるい瞳で煙管を吹かしている。立ち話も何だからと座るよう指示すると、黙って切り株に腰掛ける。
仁琵はまた煙管に口を付けると、深呼吸でもするように息を吸った。それから僅かに離すとふぅっと長く息を吐いた。初老の渋い薄茶の空気がこの森に溶け込んでいく。
目上の前で煙草なぞ。と、とやかく小言を言うつもりはない。此奴は後天的に得た体質上、基本的に煙管を吸っていなければならない。そうでもしないと、録にこの世界を見ることが叶わないのだ。飛梅公の娘の如く。ま、あの娘と違って、此奴は自主的に願い出た口だし、その事に後悔もない。だからこうやって『撒き続けて』いる。
「舞楽様、今までお姿見せなかったのですね」
「野暮だろー? うら若き男女の逢瀬を邪魔するとか」
落ち着いた物言いで、そう呟くと、ゆっくりと瞬きをした。瞳から感情を読み取りにくいが、姿を見せなかった事を怪訝に思っているようだ。せっかく澪月を認識出来るのだから、貴方も顔を出せば良いのに。と顔に書いてある。まぁ、私にもお使いに対する気遣いと言うものがあるのさ。
「年齢とか関係なく。好きな子とは二人きりで居たいんだよ」
学童期真っ盛りの気難しい子の前に、主である私が一緒に居たら嫌だろう。言わば仲良く話している最中に、母親が首突っ込んで、あれやこれやら質問するもんだ。本人にとって気が気じゃないだろう。だからあえて出来うる限り隠れていた。ま、目を掛けすぎると余計な嫉妬をするから。というのも無きにしも非ずだが。
まぁ、そんな繊細な心の話は今は置いといて。今は紡の事に着いてだ。
目は口ほどに物を言う。って言うじゃないですか。
だから私の作品には目に特徴があるキャラが多いです。
それにしても久しぶりですねー。凛。
君への好きを超えるようなキャラを作ってしまったよ。
その分物語性、訳分からないけど。