(8)月華対決
ルナを気にしているうちに、いつの間にかロードラストの紹介が終わっていた。気付けば、スクリーンにはルミナスフローラが映し出されている。
目を奪われた。
あの白銀の装甲――ルナリウム製ってやつだっけ?ただの金属のはずなのに、まるで星空そのものみたいに輝いてる。観客席から「おお…」って感嘆の声が漏れて、俺もつい見惚れてしまう。
いや、何だこれ、機体がこんなに綺麗でいいのか?
「この機体は、俊敏な動きを得意としています!操縦するのは新鋭、ルナ・ヴァルド選手!どのような戦いを見せてくれるのか、注目です!」
司会の声に、ざわざわっとした空気が広がる。
「ルナ・ヴァルド…さっきのCEOと同じ名前じゃないか?」
「娘?それとも親族?」
そんな囁き声がいろんな方向から聞こえてくるけど、みんなただの憶測だ。スクリーンに映るルナは少し緊張した表情をしていて、それが余計に注目を集めている。
すると、ざわつきを断ち切るように司会がまた声を張り上げた。
「続いて、京都代表の登場です!古都の誇りを背負い、優雅な戦術を見せつけてくれるのでしょうか!まずは、西園寺家の誇りを体現する――『ミヤコフェニックス』!」
拍手と歓声の嵐の中、金色の羽根を備えた巨大な機体がゆっくりと現れる。
その洗練されたフォルムに、俺はただ息を飲んだ。
いや、なんだこの威厳……。
美しさと強さが完璧に両立してるって、こういうのを言うんだろうな。
「すげぇ…。」
気づいたら声に出てた。隣でアヤカが身を乗り出して、
「ヤバい!めっちゃかっこいい!」
って興奮してるのが、妙にリアルでおかしい。
解説者の葉月さんが、冷静な声で語り始めた。
「ミヤコフェニックスは遠距離攻撃に特化しています。燦然フレアシールドで高い防御力を誇り、焔尾バーストキャノンの威力も圧倒的です。」
さらに、操縦者として名前が挙がったのは西園寺千鶴。あの優雅な手の振り方でさえ、観客から「さすが西園寺様!」って声が飛ぶ。やっぱり別格なんだな、名門ってやつは。
「そしてお次は、迫力満点の近接戦闘型――『シシガミアーマー』!」
漆黒のボディに朱色の縁取りが入った筋肉質な機体が現れると、観客が息を飲む音が聞こえた。いやいや、これこそ圧がすごい。さっきのフェニックスとは違う意味で、威圧感がハンパない。
「これぞ京都の重装型ムーンギア。轟雷スマッシュフィストの破壊力、獅子牙クローの機動力――脅威です。」
葉月さんが淡々と説明を続けるけど、俺にはもう迫力が全てだった。
操縦するのは藤堂一馬。剣道の達人だって紹介されて、「かっこいい!」って声が観客席から上がる。
ああ、わかる。
その険しい表情、ただの操縦じゃない。
剣道をやってる人特有の集中力を感じる。
「京都代表の洗練された戦術と、和歌山代表の未知なる可能性。この試合は注目に値します。」
葉月さんが締めくくったとき、ふと視線を感じて振り向くと――ルナだった。
硬い表情の中にも、ほんの少しだけ微笑んでるように見えた。何かを伝えたいみたいだけど、言葉にはしないんだな。
「俺たちの力、見せてやろうぜ。」
自分に言い聞かせるように、フィールドを見据えた。
その瞬間――戦いの幕が切って落とされた。
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