(6)新闘技台
ついに秋分の日がやってきた。
俺たちはロードラストとルミナスフローラをトレーラーに載せ、近畿国際空港を抜けて湾岸線をひた走り、神戸港に到着した。
そこに広がっていたのは、巨大コンテナが無造作に積み上げられた迷路。まるで戦場だ。クレーンがゆっくり動き、重機がゴトゴトと音を立てている。完全にギミック付きのバトルフィールドだった。
「金、かかってんな…」
思わず漏らす俺の声に、隣のアヤカがニヤリと笑う。
「めっちゃ燃えるじゃん!」
アヤカの目は輝いている。俺もつい笑ってしまう。横を見ると、ユイもルナも感慨深そうにフィールドを見上げていた。
「広いですね…。地形を使った戦術が重要になりそうです。」
ルナが真剣な顔でつぶやく。その表情は少し緊張しているけど、逆に頼もしく感じた。
手続きを終え、無事に会場入り。前回の県大会みたいに遅刻で怒られる心配もなく、気持ちよくスタートを切れそうだ。
そして、いよいよ初戦。専用車でアリーナに向かう車内はピリついた空気に包まれていた。窓の外には観客席の熱気が見える。その熱量に、俺の胃がキリキリしてくる。
会場に着くと、司会の軽快な声が響いた。
「皆さん、お久しぶりです!そして初めての方、こんにちは!私自身には特に興味はないと思いますが、司会の坂本です!」
笑いと歓声が巻き起こり、場内の熱気が一気に高まる。
「相変わらず軽いな…」
俺がつぶやくと、隣のアヤカが小さく笑った。
「まぁ、それが持ち味でしょ。雰囲気が和むからいいんじゃない?」
そんなやり取りをする間にも、会場はどんどん盛り上がっていく。
そして、次の瞬間――
「さて、今回のスペシャル解説者をご紹介します!全国大会優勝経験を持つ、葉月マコトさんです!」
場内がどよめき、拍手と歓声が湧き上がる。
俺たちも思わず顔を見合わせた。「え、あの葉月さん?」アヤカが驚きの声を上げる。
ステージ中央に現れたのは、長身の男性。カジュアルな服装だけど、圧倒的なオーラを放っている。葉月さんはマイクを握り、軽やかに話し始めた。
「皆さん、こんにちは!今日は試合の魅力をたっぷりお届けします!」
その言葉に、会場全体が再び沸き上がる。
観客も、俺たちも、期待感で胸がざわざわしてきた。
「次の全国大会では三対三のフォーマットが採用され、戦術構築がこれまで以上に重要になります。選手たちが次を見据え、どんな布石を打ってくるのか、ぜひご注目ください!」
その言葉に、俺はハッとした。
「やべぇ…。勝ったらまた仲間探しか…」
呟いた俺に、アヤカがすかさず肩を叩く。
「先のことより今でしょ!集中して!」
彼女の言葉に、少し肩の力が抜けた。そうだ、まずはこの試合だ。ここで全力を尽くさなきゃ、何も始まらない。
観客の歓声が高まる中、俺たちは静かに闘志を燃やし始めた。
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