片眼を抱く少女の竜
ア・メサア島は中央から沸き立つ光の柱に照らされて、夜の間も明々と光を授けてくれている。
その光は外部から観光客を呼び、そしてこの島の生活を成り立たせている。今やこの島の主要産業は観光業だ。そして私もその恩恵に授かり日々観光客相手に働いて賃金を貰う立場である。
私の勤めるホテルには一年中引っ切り無しに外部からのお客…観光客が訪れ、そのおもてなしの為に昼の早い内から動き出さねばならない。「昼の早い内」なんていうと本土の人は思わず笑ってしまうらしいけど。なんせ島の外は朝の早い段階から目覚めて一日の始まりの為に準備を始めると言うのだから。
でもこの島は夜に目覚めて、夜に動く島。
だから昼から働くのが本土の人の言う「朝早くから」という事なんだろうなと。
今の時刻は昼の14時。
本土からの客人達に言うとまだまだ早朝と言っても良い時間。
うちのホテルでは朝食も昼食も提供していないのでこの時間帯はまだまだ余裕がある。
そんな事をまだはっきり目覚めていないぼーっとした頭の片隅で考えながら私がホテルの裏庭内に干してあった宿泊部屋のベッドシーツを取り込む作業をしているとこんな「昼」っぱらから慌ただしい足音が遠くから聞こえてくる。聞き覚えのあるバタバタとしたあの足音はきっと、うん。寝ぼけた頭でもハッキリ判るんだけれど。あれは私の彼氏、キリエド。
「お、おいっ!クハク!?聞いたかよ!あの話!!」
ガサガサっ!とホテルの敷地を取り囲んでいる低木の垣根をかき分けながらキリエドが私の名前を呼びながら駆け込んできた。垣根の中を無理やり通ってきたので体中に葉や小枝が絡みついているのを見て私は少し呆れてしまった。
「こんな早くから何…?私、昨日も遅かったからまだ頭がぼーっとしてるんだけど…どしたの?ていうかキリエドもこんな早くから起きてて大丈夫なの?今日も仕事ある日じゃなかったの?」
「そんなモンどうでもいいよ!あーもう聞いて無いのかよ!?島中で大騒ぎだぜ!?」
「え?…何かあったの?ウチの人らは何も聞いてないけど。」
「そっか、このホテルは観光客に合わせて営業してっからなぁ…!いやいやもうそんな事もどうでも良くてだな!!オアキッパ様の!この島の首領オアキッパ様の屋敷が崩壊したんだよ!!」
「はぁ…!?キリエド、何言ってんの?屋敷が崩壊?」
本当に予想だにしない突拍子も無い事をキリエドが言うものだから私も声を上げた。
だけど彼の顔は真剣そのもの、嘘をついている様な感じでもない。嘘でこんな勢いは出せないであろう。今現在、彼の顔は私の目の前にあってその距離ではありえない大声を出しているのだから。
「本当だよ!昨晩倒壊つーの!?なんか屋敷が崩れてバッラバラになったんだってよ!?」
「ちょっとちょっと!何言ってるのよ!火事とかでも無くて!倒壊!?!?」
いや。
火事でもそれは大変な事なのだけれど。
この島の代表であるオアキッパ様の屋敷が、倒壊?
あの屋敷でこの島の指針が決まり、政治刑事全てを取り仕切っているあのオアキッパ様の屋敷が倒壊?
そこで暮らしていたオアキッパ様達は無事なの?もしオアキッパ様に何かあればこの島で暮らす私達のこれからの生活は一体どうなるの?今のオアキッパ様は先代と同じく観光業に対して柔軟な姿勢を見せていた。島の古い人間達の中には未だに観光業に対して厳しい視線を向ける人達もいる。私の今のこの生活は?そもそもオアキッパ様は無事なの?様々な疑問が一瞬に頭の中を駆け巡る。
「あーーーーー!!もう良い!!俺だってこの目でまだ確認してねぇんだ!!俺らも屋敷まで行こう!!実際に確かめるんだ!!」
そう叫び終わらない内にキリエドは私の腕を掴んで走り出してしまった。
「え!?あ!?キリエド!もう!!キリエドーーーー!!!」
私の悲鳴も聞こえないと言わんばかりに私のか弱い女の腕を掴んで走り出したキリエド。
裏庭をグルっと回って表玄関の辺りまで直に飛び出してそのまま屋敷のある方向に走り出したのだ。
「先代様と今のオアキッパ様がいるから俺の仕事も成り立ってたんだ!お前との未来も見れたんだ!」
「そ、それは判ってるけど!!キリエド!!」
確かにその通りだ。
私達は将来働いてお金を貯めて二人で独立する計画を立てていた。
休みがあった日の夜なんかは私とキリエドで裸で愛し合いながらその終わりの話はいつもこの事であったのだから。夢物語の様だったけど、少しずつお金も確かに溜まって来ていた。夢が段々と現実になっていくようで日々嬉しかった。毎日外で働いている日に焼けた彼の肌がいつも逞しく見えている。
でも、もしオアキッパ様に何かがあって。
もし、新しい代表が決まって今の観光業政策【二千三百萬計画】が中止になる様な事があったとするならば。私達の夢は永遠に夢のままになってしまう。そんな不安が引かれる掴まれた手の体温越しに彼からも伝わってくる様であった。
…
……
………
「うっっっわ・・・・!凄い人だかり……。観光客も混じってるんじゃないアレ?」
ロンロが遠目からオアキッパの屋敷を見つめてげっそりした様な声で呟いた。
「すごーい!あんなに人が集まってるの初めて見た!これがお祭りって奴!?」
見慣れぬ光景を目の前にメルバーシは嬉しそうである。
「違う違う!お祭り違う!…島の一番偉い人の家が一晩の内にいきなり崩れ去ったんだからそりゃみんな見に来るよ!何事って思うよそりゃ!」
ロンロ達は光の柱の近くにあった崖…10人のオアキッパの使いと名乗って間者達と一騒動起こした場所からUターンをして昨夜訪れたばかりのオアキッパの屋敷の目の前まで足を運んでいた。そして遠目からでもハッキリと判る人だかり。屋敷はメルバーシが作り出した遠視する鏡の術で見た通り、やはり見事に倒壊している。中々立派な佇まいであったのだが今はみる影もない。あの術で見た異様な光景は真実であったのだ。オアキッパ自信が魔女としての術法を振るい己の屋敷を破壊していたあの信じられない光景はまさしく真実であったのだ。
「何事ってさ、自分で壊してたのにね。自分の家を。」
メルバーシがワケガワカナイッスと言う様な疑問の表情を浮かべながら呟く。
「私だって判んないよ!!…多分メルバーシの名前と存在を私が知っていたのが何かしらのトリガーだと思うんだけどさ。あそこまで取り乱すって何だろうな…。まさか己の家を崩壊させるほど取り乱すなんて想定外でした……。」
「人間って不思議ね、ワーハッハッハ!!!バカミテー!!!!」
ゲラゲラと大声を上げてメルバーシを笑う。
「いやほんと不思議でしょうがない…。癇癪を起こすにしても度が過ぎているってモンじゃないよコレ…。」
ある種、呆れながらロンロが再び屋敷の方へ目線を向ける。
遠目でも判る程に屋敷は見事に足元から崩壊、その倒れ込んだ屋根には無数の斬撃痕が残っているのである。
「そんでさロンロ、行くの?あの中へ。大勢の人混みを掻き分けながらさ。」
オアキッパの屋敷前にある門の前には大勢の島民と、きっと騒ぎを聞きつけた観光客もいるのであろう。まるで島中の人間が集まっているかのようなこの島の規模では信じられない程の人間が集まっているのである。その人々の騒音が離れたロンロ達の方まで聞こえてきているのである。本当にお祭りの様である。
「あんまりというか…悪目立ちするだろうから気乗りはしないけど。オアキッパも私に話があるっていってたし。それにやっぱりあの監視の術が解かれているのも気になる。…屋敷の倒壊とも何か関係あるかもしれないしね。……はぁ~~~~~。」
ロンロは大きな溜め息をついた。
「大丈夫だよ!何かあったらさっきみたいに守ってやるから!」
「それが一番心配なの!!あんなにギャラリーがいたらほんっっとおおおおに悪目立ちするでしょうが!!!あんな身のこなしが出来る人間はこの世にいる訳無いんだから!!!」
「でもさ、オアキッパは魔女だよ。建物一つを崩壊させる程の力を操れる魔女。それに敵の本陣ともなればさっきみたいな10人じゃ済まないんじゃない?私が守らなくて大丈夫?」
「それよそれ!…はぁもう。こんなに騒ぎを起こしたら本国のリッターフランにまで報告が…。もう遅いかもしれないけど。だからと言って無残無惨と拘束されて死んだりするつもりもないけどね!あんたの作った穴底に漂う『時の止まった人達』は救わないと!!」
「あれもさー、私が寝ている間に勝手に私の家たる寝床にクアン・ロビンの連中が放り投げてたんでしょ?ワケワカンネー!自分の家は壊す!勝手に同胞を私の寝床に投げつける!整合性が無い!!!非常識でしょ!!バッカじゃないの!!」
「何か理由があっての事よ。じゃないと本当にただの狂乱の気分屋の頭がおかしい人達って事になるでしょ…。仮にも2300年以上もこの島を統治していた一族なんだから。多分…。」
しかしロンロも断定は出来なかった。
いきなり己の屋敷を破壊し始めた光景をメルバーシと二人で目撃していたからである。
はっきり言って完全に理解不能であったからである。
「頭がおかしいに一票!まぁ行ってみれば判るって!なんかあったら守ってやるから!あ!クアン・ロビン首領オアキッパが私の知る人だったらズタズダに引き裂くけどね!」
メルバーシはロンロの背中を両手で押して彼女の歩を無理やり進め始めた。
大変な笑顔であった。仇敵を己の顎と爪で引き裂ける絶好のチャンスが到来しているかもしれいなのだから。
「絶対やめてよ!ていうか2300年前の人間が生きている訳が無いじゃん!!」
「それが不思議なんだよね。昨日までは確かに居たよ、あいつら。」
「え?いた?何処に!?」
「判んない。でも気配は確かにこの島全体からしていたの。あの忌々しい、今の魔機から伝わる新しい魔法の力じゃない。もっと古臭くて原始的なあの魔の気配と魂の匂いが。」
「古い魔…?んん?」
「私が眠っている間も常に感じていたの、あの嫌みったらしい気持ち悪い魔の感じ。それが今朝になって起きて見たら一切しなくなってんの!お陰で気分がめっちゃ良い!!」
ロンロは両手を腰に当てて俯きながらも、その眼は上を見上げつつメルバーシの言葉を聞いて思考し始めた。
(大地を歩く地這蝶、海から這い上がるバクタリバッタ…本土では見られない特異なこの島独自の生物達。それにオアキッパの魔女の力を古の物と言う太古からの生き証人、ていうか生き証竜かな?そのメルバーシの発言…。近代成立された魔学ではなく古代からの魔が、その古の魔術がこの島全体を生態系ごと包み込んで独自の進化を促進した可能性が…。『古代の魔』を成し遂げたのはかつてこの島にメルバーシを追ってやってきた古代の人々?何の為に?)
「いや、決まってるかそんな事。」
自らの思考に結論をだしたロンロは顔を上げてメルバーシを見つめた。
自分とそっくりの顔と、そっくりの金髪の長い髪を持つ彼女を。
「ん?」
メルバーシはロンロの視線に気づいて見つめ返してきた。
「ま…私の推測だけどね、黄金竜・つまり貴女を追いかけてきたかつてのクアン・ロビン一族が古の魔の力を使ってこの島を自分たちの都合の良い様に作り替えたんじゃないかって事。もちろん作り替えた理由はただ一つ。黄金竜メルバーシ、絶大な力を持つ竜の貴女をこの島全体を利用して封じたのよ。…多分、メルバーシの話を聞いて推測するにそれは竜としての貴女の力が欲しかったんでしょうね。間違ってる?」
メルバーシをそれを聞くとニッコリ笑って答える。
「そうだよ!卑怯な奴らでしょ…!」
少し残忍な笑顔を浮かべて彼女は笑う。
ロンロはその顔を見て自分はこんな表情を浮かべる事が出来るのかと少し驚くと同時に同じ顔でやられるのは少し勘弁願いたい。
「でしょうね、大体おかしいもん。生物学にはそこまで詳しく無いけど地這蝶みたいな生体を持つ昆虫なんて存在しないし類似性があるものも存在しない。海から這い出るバクタリバッタみたいなのも本土じゃ聞いた事が無い。…それにホテルで連日食べている独特な食材の数々も。それはこの島とこの周辺の海域全てを2300年前を境に古の秘術で『加工』されたと見るべき。離島だから本土とはかけ離れた進化を遂げた生物がいてもおかしくないけど…ちょっと突飛すぎ!!大体海水に適応した昆虫って何なのよもう…。」
「そう、クアン・ロビンの奴らは人の身でありながら私…竜のこの私を封印する為にその身丈に会わない術を使用した。ロンロなら判るでしょ?ね?」
ロンロは島の中心部から湧き上がる、明るい昼間の陽射しの中でもしっかりと肉眼で見える程の金色の霧を放つ光の柱を見上げながら答えた。
「私が友人の魔女、ハルバレラの起こした事件を解決した時のあの街とある意味同じ…。つまりこの島の生態系を、魔脈の流れを、大自然から島の形、周辺の海域まで利用して巨大な術式を展開させる為の魔学的に言えば術式実行プログラム…古代から伝わる魔法使い、魔女の力での理屈から言えば…それは。」
喋りながらロンロはメルバーシの顔の目の前で右手の人差し指をクルッと回して縁を描いて見せた。
「つまりメルバーシ。この島全体が、ううん。この島周辺全体がクアン・ロビン一族が2300年前に加工した魔法陣そのものなのね。貴女という絶大な力を持つ黄金竜を封じる為の。」
「ご名答!さっすが学者様!近代魔学の知恵の結晶!素晴らしい若き大天才!!!よくぞ見破りました!!」
「散々貴女からヒント貰ってたんだから!…ある程度の魔学者なら誰でも気づくっての!」
でも少しロンロは照れながら答えた。
「言葉、色々覚えたでしょ私?ロンロから借りているタブレットとかいう魔法の板のお陰だよ。」
「でしょうね…その学習能力も人智を超えているわ、たかが数日でよくそこまで…。」
ロンロは肩をすくめて呆れながら返答した。
「ふっふっふ、私も天才ですからね!まぁ竜たる私が人の基準で見られても微妙ですけどネー!」
『彼』の為に人間になるんじゃなかったのかお前は、と心の中で呟きながらロンロがメルバーシを見つめて呆れた表情を浮かべる。
「まーともかく!…この門前に群がっている人混みをなんとか掻き分けて屋敷の中に入りましょう!本土からの調査員たる私が屋敷崩壊の異変に気付いて駆けつけたとあらば首領側も最低限対応してくれる筈!それからメルバーシ!!今の首領オアキッパがどんな状態か判らないけどけーっして!決して自分から襲い掛かってはダメだからね!!良い!?謎も解けないまま首領をヤッちゃったらあんなの体は永久にこの島の穴底かもしれないからね!OK!?」
「はいはーい、自重させて頂きまーす!…なるべくね。」
またニヤっと笑って好戦的な表情を作るメルバーシ。
ロンロは頭を抱えながら、ある程度の覚悟を決めながら人混みに向かって歩き始めた。
島全体から、そして滞在していた観光客らも含めて大勢の人間がこの屋敷前に集中して集まっている。
まるでメルバーシが言う通りある種のお祭りの様である。平均的16歳よりも小柄な女の子であるロンロは人混みで弾き飛ばされるわ揉みくちゃにされるわ足を踏んづけられるわ肘が右頬にぶつかって悲惨な表情を作ってしまうわ、髪は誰かの服か鞄にひっかかるわボッコボコにされてしまった。
同じ様にロンロの姿を借りているメルバーシも痛みこそないが相当うざったかった様で不機嫌な表情を浮かべている。
二人はボコボコの揉みくちゃになりながらなんとか人垣を掻き分けて門の目の前にまでたどり着いた。
元々首領一族の屋敷は他の島民は安易な出入り禁止である。
観光客もそれを察知しているしある一定の距離から屋敷に踏み入れようとする者はロンロ達以外には誰にもいなかったのである。
「うあ゛あ゛あ゛…。さ、最低にも程がある…。島に来て一番キツかった…。ゲホゲホ!」
なんとか人混みから脱出して門を抜け、敷地内に足を踏み入れたロンロは髪と服をボロボロボサボサにしながら地面に四つん這いとなって荒げた息を整えようとゼーゼーと苦しそうに呼吸をしている。
「なんで人間ってこんなに距離近い空間作るのさ…馬鹿?」
体力的な消耗は無い物の同じく顔と着ているワンピースをボロボロボサボサにしているメルバーシも不機嫌そうに答えた。
「あ゛あ゛あ゛…今回ばかりは同意する。貴女の人間って不思議な部分…。ううっ。」
二人とも手櫛で髪を最低限整えて服を正し、埃を叩いて姿勢を整えた。
「…さぁ行くよ!首領オアキッパの元へ!監視の目の術が解けた事にこの島全体にかけられた術式の事!色々聞きたいのは山々だけどまずはこの目の前の屋敷崩壊の原因ね!そっから問い正していきましょう!」
「おー!2300年も閉じ込めた恨み!!!今こそクアン・ロビンをぶち殺すぞー!!!!」
「止めろ!!!いいから大人しくしろ!!!しばくぞ!!!」
ぎゃーぎゃーとじゃれあい?ながら二人は崩壊した屋敷へ向かって足を進めていったのであった。
しかし…目前に広がる凄惨な光景はより近くで見ると凄まじいの一言であった。
まるで刃物の様な鋭い切れ味を持って建物のいたる所が切り刻まれ屋根は落ち、その屋根にも鋭い巨大な刃が降りかかりその形の大部分を失っているのである。
ロンロとメルバーシは崩壊した屋敷の前で足を止めてその惨たらしい姿となった昨日まで立派なこの島一番のお屋敷であった瓦礫の山を見つめる。
「魔法の力で大きな刀剣の類でも作り出しのかしら…、それを無茶苦茶に振り回して。柱や壁もズタズタ…。昨日訪問した時は暗がりの中でも立派な木造のお屋敷だったんだけど…凄い。」
「あーねー、まるで私達が持つ竜の爪が走り回った跡の様だね。…模倣かな?」
「かもしれない。クアン・ロビン一族が何の為に黄金竜を封印したのか?単純な考えだけどそれはその神代の力を自分達の物にする為他ならないと推測するわ。絶大な古代の魔の力をもってしても、この島全体を作り替える程の大規模な術式を展開しないと封印すら出来ない程の強力な竜の力。…恐らくそれが欲しかったんでしょう。」
「そうねー、竜の一族の力の末端でも欲しかったのかな?時代が移り変わり竜の力が失われていくのを惜しんだのかな?こっちとら人間になりたいってのにねー!?」
「あーほんとだよ。まるで真逆だ、ハハハハ…。」
言われてその通りである。
話しながらロンロは自然と笑みが浮かんできていた。
竜の力が欲しかった2300年前のクアン・ロビン一族
人間になりたいと願う2300年後の黄金竜メルバーシ
なんとも皮肉なすれ違いだと崩壊した屋敷を見つめながらロンロは思うのである。
「本来ならば…」
少し離れた位置からこちらに話しかける声が聞こえてきた。
ロンロは屋敷であった瓦礫から目を離し、その声が聞こえてきた方向に振り向く。
老婆だ。
この屋敷の、首領を世話をする女中の一人であろうか?
少し見覚えがある様な気がするとロンロは思ったが、昨日の出来事はオアキッパとの対面でのインパクトとその後メルバーシに空中に投げ飛ばされた事が大きくどうもあまり印象に残っていない。
「本来ならば五体満足で出会う事はありませんでしたでしょうに。」
その老婆は無表情のまま冷酷な発言を二人に向けた。
その言葉を聞いたメルバーシを目を吊り上がらせて犬歯をむき出しにして怒りを見せたのが直に判ったのでロンロは一歩前に出る。手を彼女の胸元まで上げて怒りで爆発しそうな彼女を制止させて老婆に返答する。ロンロ自身も顔を強張らせている。
「先程…ここに来る前。ア・メサアの中心部の大穴、この島の象徴たる光の柱の沸き場所付近を調べていた時です。私達二人は刃物で武装した数人組の男達に襲われました。私にその手の専門知識はありませんが恐らく手練れな様子も伺えました。彼らは、貴方達この屋敷の人間の人達ではありませんか?」
「ええ…その通り。流石は本土からいらした学者先生で。しかし私がここに努めて50年以上…貴女のように幼くそして鋭く頭の切れる先生は初めてですがね。」
「よくも抜け抜けと…!」
メルバーシが力と恨みを込めて老婆を睨みつける。
「やめなさい!…しかしこの事はしっかりと本土に報告します。この島は独立した自治権をお持ちでしょうが事が正式な手続きを持って渡島してきた私達に対する殺人暴行未遂ともなると話は別、しっかりと本国の法に従ってしかるべき捜査を受ける事になるでしょう!」
「未遂ですか…なかなかどうして…。」
老婆は驚いた様な呆れた様な、そのどちらもが入り混じった笑いを浮かべる。
「それはまた後の機会にじっくりお話ししましょう!私も被害者として本国警察機構の聴取や捜査に同行するでしょうし!…それより首領様にお聞きしたい事があります!この通り本国リッターフラン対魔学研究所の職員としてこの島の調査を受け持った身としてです!あの屋敷がたった1日で崩壊、そしてその痕跡に魔法痕が見受けられます!その訳をお聞かせ願いたい!」
「秘密にも出来ませんでしょう…それに、首領様自身がお二人に面会を望んでいらっしゃいます。」
そう言って老婆は彼女たちに背を向けて敷地内の隅にある小屋に向かってゆっくりと歩を進め始めた。ついてこいと言っている様である。
「ちっ…!やっぱりクアン・ロビンは信用ならない!…殺るか?」
「殺らない。メルバーシ判らない?あのお婆さん凄く疲れているの、目の下のクマも酷いし疲労感が表情から伝わってくる。多分一睡もしていないんでしょうね、お年寄りには酷な話。」
「はぁ?敵に同情してんのロンロ?こっち殺そうと襲ってきた連中を差し向けたんじゃないのあいつら?」
「一般的に人間はお年寄りを大事にするのよ、どんな立場でもね。」
「わっかんね!」
メルバーシが不機嫌に答えた。
「人間になりたいのなら覚えときなさい。それにあのお婆さんが一睡もしていない理由もあの小屋の中に入れば判るかもね。屋敷が崩壊したという事はあの建物の中に首領オアキッパがいる…。」
ロンロが緊張した顔で行先を見つめながら答える。
「いや、いないよオアキッパ。屋敷を壊した後にどっか別の所にでもいったんじゃない?」
「そっか、いらっしゃらないのか…って、へ?さっきお婆さんが面会がどうたら言ってたけど!?」
「それが人間の形になって味わった人混みが珍しくてそっちに気を取られてたけどさー、さっきからこの周辺からオアキッパの力を全く感じないんだけど。」
「んんんん?じゃあお婆さんは何の為に私達を出迎えてきたの!?まさかあの小屋に入ると罠が!?」
「うーんそれも魔法や竜の力みたいなモンは一切感じない。なんか抜け殻みたいねハハハハ!!」
屋敷の方を見つめると先程の老婆が小屋の前で二人を出迎える様に立ってこちらを見つめている。
まるで喋ってないでさっさと来いと言わんばかりの視線を向けながら。
「ま、まぁその小屋に入ったら落とし穴があったとか、いきなり入り口を閉めて刃物で襲い掛かってきたとか銃で撃たれたとかなったらその、メルバーシの力で私を守ってくれる?」
ロンロが顔を引きつらせながら問う。
「楽勝。人間の反射神経で私の反応速度に追いつける訳が無いし、多少の飛び道具でも打つ前に察知出来るよ。」
メルバーシが興味無さげに不愛想に答える。10人の手練れらしい武装した男達に襲われても怯える様子すら見せなかった彼女であるのでその程度の罠や不意打ち等本当に楽勝であったのだ。
「じゃあ行くか…。いったい全体誰があの小屋にいらっしゃるのか…。そもそもこの島の首領たる人が自分の家を壊して行方不明とか全体未聞過ぎるからどっちにしろ状況集めて現地に派遣されている対魔学研究所調査員としては警察機構に協力する身分だから行方を追わないとだし…。はぁ……。」
「人間って色々大変だねー、責任とかいう奴?」
「まーね。社会人になると尚更ね。あー大学飛び級なんかするんじゃなかった!!」
ロンロがもうちょっと学生生活を味わえば良かったという後悔の叫びをあげながら小屋に近づいて、そして老婆に促されるまま中にメルバーシと二人で(ロンロだけは恐る恐る)足を踏み入れたのである。
外の昼間の太陽を遮断するかの様に小屋の小さな窓の前には濃い黒色の様な塩梅の布が掛けられている。引き戸の入り口にも大きな暖簾の様に布がかかっており、そのお陰で室内は暗闇に包まれているのである。何故こんな事をするのか?もしかして罠か何かかとロンロが一瞬訝し気にそれらに視線を巡らせていると奥から人の気配がするのを察知した。
「…。」
暗闇に目が慣れていないロンロはぼんやりと浮かぶ人影をまだ判別出来ないでいる。
小さな小屋の中央には布団が敷かれており、そこに上半身だけぼんやりと暗闇に浮かぶ長い髪の女性の様な存在をようやく彼女が察知した時、その人影が弱弱しい声を一言だけ発した。
「…ようこそ。可愛い可愛い、真実を知る学者様…。それに一族の監視を察知した異能の方。」
「どなた…ですか?」
「私の名前はケユウ・ウン、昨日までこの島の首領・オアキッパだった者。」
「ケユウさん…?オアキッパだった者…?」
声は弱々しく力無く、されどその音は昨日はっきりとその耳で聞いた首領オアッパの声であった。
しかし目の前の布団から上半身だけ立たせているその姿は弱々しく、どうにも記憶の中のあの豪胆で挑発的であった首領オアキッパ・インズナと一致しない。ロンロはまだ考えを整理出来ないでいる。
「驚いた…!ロンロ!!この人ってマジで首領オアキッパだよ!いや!さっき言ったみたいに抜け殻!?力の痕跡が僅かに残ってるのを感じる!!でもこの人はもう昨日までのクアン・ロビンじゃ無いよ!?うん!違う!!」
「へ?え!?は!?はい…!?」
状況を全く把握出来ていないロンロがしばらく狼狽えている内にこの小屋の暗闇に彼女の眼が慣れてくる。そのぼんやりとした影がしっかりと形を持って見えて来た時、そこには真っ赤に染まった包帯を顔中に巻いたその女性の、その片目だけが光る様にこちらを見つめて来ていたのである。
「……! オ、オアキッパ!!…様!?」
「昨日まで…昨日まではな。」
長い髪は整っておらずボサボサで、弱々しい声には一切のハリが無く。
そして今にも消えてしまいそうな力無いその姿は首領の姿とは似ても似つかぬ様相ではあったがそれは昨日面会したこの島の首領オアキッパ・インズナだとはっきりと、そしてようやくロンロは理解できた。
「そ、その…!!失礼ですが…!お怪我を…!?屋敷の崩壊と何か関係が…?」
「私はの…学者様。己自らの手でこの目を引き抜いて握りつぶしたのよ。あの眼の中にはその異能の方が言う通りクアン・ロビンの魑魅魍魎が蠢いていたのだからね。フフフ……。」
その言葉を聞いてロンロの表情は一気に引きつった。
流石のメルバーシも驚きの顔を隠せない。
そして自ら目を引き抜いて握りつぶしたオアキッパのその姿と光景を想像したロンロの背筋は一気に凍り付いた。
「ゆっくり…ゆっくり話す事にしましょう。…失礼だがこんな姿と体の身、あまり大きな声はだせんでの。近づいて貰えるか?」
「…は、はい!」
ロンロは布団が敷かれている場所に移動する為、一段高くなっている床の前で靴を脱いで恐る恐るケユウの元へ近寄った。メルバーシも真似をしてそれに倣う。二人は、弱々しく体を持ち上げた昨日まで首領オアキッパだった存在の元へゆっくりとかけよって腰を落とした。
「ありがとう学者様と異能の方…。そして初めまして。昨日までの記憶にはあるのだがね…フフフっ。実に不思議な感じだ。」
血だらけの包帯に包まれた顔から優しい笑みがこぼれる。
昨日までの高圧的で威圧感しか無かった彼女とはまるで、いや本当にこれは別人の様だとロンロは思った。
「貴女はケユウさんで、お怪我をなされてはいますがその顔立ち背格好からはその、同一人物の様に見えるのですが…昨日までの首領オアキッパとは別人だと…?そういう事で宜しいのでしょうか…?今一つ理解を超えていて…。」
「うん…あのクアン・ロビン一族の力の気配を感じないよロンロ。この人は別人、残った力もどんどん弱くなっていく!もうあと少し経つだけで痕跡すら消えてなくなるよ。」
ケユウの代わりに横に座っていたメルバーシが答えたのである。
「それは良かった…。異能の方、そなたの言う通りだよ。私はもう首領オアキッパでは無く…この島の代々受け継がれてきた古からの習わしは今日を持って終わりを告げた。」
そう言いながら弱々しいながらも彼女から笑みが浮かんだ。
「古からの習わし…その、もしかしてですけども。竜を封じて己の力にする為の術式…首領オアキッパが。いや、2300年前のクアン・ロビン一族が作り出したア・メサア島全体を使う為の術式と何か関係が?その身を持って、首領一族の血が何かそれに関係していたとか…でしょうか?」
「…ほう!これは驚いた。流石は幼き身にして学を修めた天才様よ。最早そこまで理解しておられたか。」
「ケユウさんだっけ…?うん、そうだね。貴女はもうクアン・ロビンじゃない。抜け殻の空っぽのただの人間だね。私が憎んだ憎んだあの忌々しいクアン・ロビンじゃない。でも今朝まではそうだった!はっきりと感じていた!そうだよ!2300年間ずーーーーっと感じていた!」
「こ、コラ!ちょっと!メルバー…いや妹!!妹ちゃん!?落ち着いて!何言ってるの!!」
自分から黄金竜の化身であると正体をバラしそうな会話を始めたメルバーシを慌てて制止しようとする。メルバーシと呼ぶ訳にもいかないので『妹ちゃん』という不思議な呼び方をしてしまった。まだこの屋敷に来る前に男達に襲われたばっかりである。もしもの時の為に自分の警護も兼ねて屋敷内に連れてきてしまってはいたが少しロンロはその事を後悔する。
「2300年間も憎んだ?忌々しい?まるでそれは…うっ…!ああ……ああっ………。」
ケユウが残った片目、それは右目ではあったが。
その右目が激しく疼き彼女に何かを伝えようとしていたのである。
左が監視の眼として、そしてその監視をする者達の住処であったのならば。
その右の眼はこの島の穴底にて竜を縛り付ける為の力を管理する竜を捕えたア・メサアの網の本体。
そしてその右眼は竜の化身を目の前にして激しく疼き、その存在を本体の魂たるケユウにはっきりとその正体を伝えたのである。
「大丈夫ですか!?ケ、ケユウさん…!?誰か、誰か人を!!」
立ち上がろうとしたロンロを顔を抑えていない方の手でケユウが制止した。
「大丈夫…問題は…ない…。ぐっ……。ただ、ただ、たった今!…しっかりと理解した…。黄金竜メルバーシ……。そこにいたのか…。」
「オアキッパ…、いやもう違ったね。貴女は既に全く関係ない。でも『彼ら』は何処に?うっすら残る痕跡しか感じないよ。」
右眼を抑えていたケユウがゆっくりとその手を放して、彼女をしっかりと、そして時間をかけて見つめていた。ケユウの右眼にはロンロの姿そっくりの女性と重なる様にして黄金竜の姿が映し出されているのだった。
「まさか…まさか幼き時に母様から聞いた黄金竜が、禁忌の名メルバーシがその物が我が目の前にいて、しかも自分から足を向けて訪ねて来るとは…フハハハ!あの魑魅魍魎がこの様子をみたらさぞ驚いた事であろうて…ふふふっ。」
二人の会話に呆気にとられるロンロとは違い、メルバーシは緊張した表情を一切崩さなくなった。
「だからクアン・ロビン共は、何処に消えた!?」
低い声と、小さな動物ならその視線の迫力だけで命を奪いそうな程に鋭い圧を持ってケユウにメルバーシは再び問いかける。
「2300年間も蠢いていたが…ようやく今朝死んだよ…。消えた。私が、終わらせた。その代償がこの姿よな…。」
「そう…。ありがとう。」
「礼を言ってくれるか…?憎しみと恨みが渦巻いておるだろうに?…そなた自身がその爪と牙を持って引き裂きたかったのでは無いか?」
そう言ってケユウは驚いた。
「雑魚共はどうでもいい。この島を支配する『力の核』はまだ感じる。それに歴代の首領か、血の薄まった奴らも大勢いたからそいつらはそこまで興味も無かった。だがまだいる。まだ感じる。てっきりそっちの方向に首領のアンタは逃げたのかと思ったよ。」
「血の薄まりか…そうか……。そしてなんて事……。私が全て滅ぼしてケリをつけたと思うていたのに……。力の核…それは肝心の『クアン・ロビンのオアキッパ』か!!我が!我が己の左眼を握り潰す前に何かしらの方法で…逃げてしまっていたか…っっ!!」
ケユウは両手を握りしめ悔しさで震える。
残った右眼からはその感情の高ぶりで涙が溢れて来る。
左眼を中心に包む包帯は更に一層その赤さを暗闇の中で増す。
震えが、
悔しさが、
無念さが、
苛立ちが、
絶望が、
血となって溢れる様だ。
「この片眼を!左の眼を己で引き抜いてまでして!この一族の呪いを解いたと思っていたのに!!あのクアン・ロビンの初代オアキッパ!!あやつだけは逃げ通していたのか!!!」
「でも、貴女のやった事は無駄じゃないよ。」
メルバーシはケユウのを顔を両手で包んで抱きしめた。
「…。」
「だってそうでしょう?2300年間の中で。それは人の短い生の中、幾度と無く代替わりする中で。誰一人として貴女の様に傷ついてまで己を取り戻そうとした人はいなかった。歴代の誰もが永遠の生と竜の力に心奪われて堕落していっていたのに。」
「……。」
「貴女は自分を取り戻そうとした。偉いよ、弱い弱い人間が、己をここまで血を流してまで傷つけて、命の危険を冒してまでそれを成し遂げようとしたんだもの。人を、人間を見直したよ。ケユウはその行為を持って本当に自分を取り戻していたんだね。」
「メルバーシ、ありがとう。そして詫びる……、オアキッパを逃してしまった事。」
「ううん。それもありがとう、私が私の爪と牙を持って決着をつけられるのだから。だから泣くのは止めて、体を治して。貴女はまだ生きていけるから。私の中の竜の魂が貴女はまだ死なないとはっきり予兆してているの。だからゆっくり、ゆっくり休んで。後は私に任せて。」
「ありがとう、すまない…。ありがとう…。」
メルバーシはそのまま優しくケユウを抱きしめ続けた。
彼女の右眼から涙がこぼれるのも、左眼に巻いた包帯から滲む血が己の着ているワンピースに染み込んでいこうとも。
ロンロ・フロンコはその光景を見ている事しか出来なかった。
ただ目の前でメルバーシのやっている事と、ケユウが成し遂げたと言う事を素直に受け入れるしか無かったのである。
しかし彼女、魔学者ロンロ・フロンコにはある一つの仮説が脳内の片隅に浮かんでいた。
黄金竜を封じているこの島全体を利用した術式が崩れ去ろうとしている今、近代魔学に例えて考察した場合である。その魔術力場のトラブルを解決する為に何かしらのセーフティシステムが備わっている筈だと。古代の魔術にも似た様な「トラブル解決策」が用意されている筈だと。
それがオアキッパの左眼に住み着いていた初代首領が逃げ出した方法その物では無いかと。
横から話を聞いている限り、信じられない話ではあるが首領オアキッパの左眼に歴代クアン・ロビン一族の魂や人格?と言った者達が多数寄生し、住み着いていたと言うのである。そのほとんどがメルバーシの言う「雑魚共」であろう。
ただ、その中で一つケユウが言った『クアン・ロビンのオアキッパ』これが初代首領の事では無いだろうかと。その名を受け継いで歴代の首領一族はこのア・メサア島を統治してきたのでは無いかという事を。
話を戻す。
もし歴代首領に身の危険や今回の様なある種の内乱が発生した場合、そのトラブル解決策の一環として首領の魂?(そんなものは本来魔学的には認められないのだが)や
人格(こちらは記憶や思考パターンの残留として認められる)を
どうにかして切り離して保護し、また復活再起の為にバックアップさせて安全に保存する魔術的システムが働いているのではないかと。
その事をイチ学者として二人に提案してみたいのであったが…。
「それはちょっと…今はまだ……。」
肉体も精神も共に疲労して涙と血を流すケユウと
それを抱きしめて受け止める黄金竜の化身の少女、メルバーシ。
二人の間に言葉を挟むのを、今はまだロンロは躊躇ってしまうのであった。




