異世界ソープランド ①
前回までのあらすじ:世界を救うために王都へやってきた主人公・根無草太ことウィード・ローツレスは、
王都神聖騎士団面々と出会い、男のプライドをかけた戦いをするため、異世界のソープランド「夢の国」へやってきた。
男のプライドをかけた戦いのため、ソープランドへやってきた。
これ正しいあらすじです。
「こんにちは~!」
「いらっしゃ~い☆」
「ようこそなの~」
な……、三人……だと!?
俺は戦慄した。
これから俺は、男のプライドをかけた……史上最も過酷な戦いに挑む……!
男として……聖騎士として、この戦いは絶対に負ける事ができない。
しかしながら、敵が用意した戦力も凶悪。
こちらはたった一人で勇猛果敢に挑んだにも関わらず、なんと三人もの相手が現れてしまったのである。
これは間違いなく、仇敵フレッドによる姦計……!
なんと狡猾で、極悪非道な男であろうか。
彼奴にはプライドというものが存在しないのか。はたまた、自らのプライド(ポケットマネー)をなげうってでも、
この戦いに勝利したかったか……。
今この場ではその答えはわからない。
俺にできることは、ただこの場を……戦いぬくのみッ!!
「お兄さんこういうところ初めて?私はドロシー、よろしくね!」
三人の中ではお姉さんの部類に入るのだろう。若干16歳程度に見える、
金髪でわりとおっぱいが大きめの女の子がドロシーだ。身長は155cm前後くらいだろうか。
自分の身長とあわせて計ればわかるか。
「私はキャスリーン、キャシーってよんでね☆きゃはっ☆」
ちょっと痛々しい感じもするが、年相応とはこういう事か。
14歳程度で丁度膨らみかけというおっぱいがよりエロティシズムを醸し出す。
艶やかな青髪というこの世界でも珍しい髪の色、そしてエメラルドグリーンの眼。
もう土地とか人種とかそういう言葉は一旦忘れよう。可愛い。そしてちょっと痛い。勝ちだ。
「あたしはエリザ、よろしくなの!」
三人の中ではもっとも幼く、実年齢は恐らく成人しているはずだが、
見た目10歳未満にも見えてしまうほどの幼さだ……ちなみにこの世界では12歳は成人であり、
このような夜のお店もOKだ。えっ?成人してなくてもOKなの?いやそいう事ではなく。
なのなの口調とは今後登場しそうなキャラクターのお株を奪う暴挙だ。
君ら三人、今回登場っきりよね。めちゃめちゃキャラ立ってない?
いいの?こんなにキャラ立ってていいの?
しかも三人の格好が驚くなかれ……なんと、ネグリジェにひもパンなのである!!
「ひもパン……!!!」
「ひもパンすき?」
「だいすき!!!!!」
「いい子~~!!」
ぎゅっ、と豊満な胸に抱かれる俺は、このまま冒険終わってもいいかなあなんて気持ちになっていた……、
いや、ダメだ!!ここで童貞を捨ててしまっては、我が愛しの幼女……じゃないな、
成人済みの良識ある女性達であるヒナやユユに幻滅されてしまう。待て、ユユって何歳だっけ?
そしてここで解説をしておこう。そもそも中世ヨーロッパの下着とはコルセットとか、
またはユニオンスーツと呼ばれる体全体を覆うものが多かった。
ふわっとした今で言うパニエ、昔で言うところのクリノリンスカートを履いているときさえ、
女性はノーパンである事が常識であり。すわったらスカートがふわっとしてノーパンなのに見えてしまうという事さえ珍しくなかった。
そこで作られたのがドロワーズという、ほら魔法使いとかが履いてるふわっとしたかぼちゃパンツみたいな奴だ。
同じく日本も着物文化では諸説あるが、とりあえずまあノーパンという文化は海外諸国と変わらず、
むしろパンツとか、毎日お風呂入りますみたいな文化はめちゃくちゃ最近、1900年代以降になってからなのだ。
……で、現場に戻そう。
少女達はネグリジェにひもパン。もうはっきり言ってここは中世ヨーロッパとは関係ない。
なんか……似たような文化が混在する別の世界だッ!
「じゃあきれいきれいしちゃうねっ!ささ、脱いで脱いで!」
俺の洋服をてきぱきと脱がしていくドロシー。手つきが慣れている。
さてはお前……人気だな!?
「でもおにーさん初めてだよね?どーしたの三人もつけちゃって☆」
「ほんとなの……貴族様なの?」
「お仕事なにやってる人なんですか~?」
手つきが完璧すぎるぞドロシー。
脱がしながら体をフェザータッチしていくのはやめて欲しい。
ここ最近禁欲しかしてないから半端ではない。
「俺は旅人で……職業というか、ジョブ?は聖騎士だよ」
「聖騎士様~!?」
「おっかねもち~☆!」
「聖騎士ってだけでお金持ちってわかるものなのか……?」
「もちろん!聖騎士様って皆羽振りがいいんだよ~」
皆。
皆ってことは……皆着てるのかここ。
いいのか。いいのか聖騎士。お前ら一応神の名の下に剣振るってるだろ……。
神の名の下に剣も振るってるし、自らの下の剣も振るっていたのか……。
「聖騎士様は羽振りもいいし、遊び方も紳士的だし……、
とにかくここの皆は聖騎士様たちの事が大好きなの」
「なるほどなあ……」
確かに、聖騎士ってことは全員童貞で、その上童貞を失ったら力を失うわけなので、
まず本番はできないし、かといって何もしなければ溜まっていく一方なので……。
そういう意味ではこういう場所が必要になってくるのかもしれない。
自然とお互いに良い関係になっている、という事か……。
風俗って基本その場所の闇が反映されてるとばかり思ってたけど、
ここみたいな高級店だと話は違うのかもなあ。
「なんせ私達……一人あたり10万アルテなんだよ!
それを3人もいっぺんに……すごすぎるよ!」
「10万アルテ?」
「あれ?おにーさん☆数学できない人?」
「そもそも数学という概念がここに……!?」
先ほどから王都の文化レベルの高さに驚かされてばかりだ……。
ここは本当にファンタジーか?明治か昭和あたりだったりしない?
「おにいさん、観光の人なの?アルテはここのお金の単位で、
1万アルテが他でいう金貨一枚分くらいなの」
「え……?金貨、一枚?」
「そうだよー☆驚いちゃった?」
いや待て、待て待て。
ここの金銭感覚はまだちゃんと理解していないが、
食事なら大体銅貨が数枚あれば事たりて……。馬とか多少高価なものでも銀貨でよかったよな……?
金貨?そういえば金貨使ってなくないか??何あれ?いくらなの?10万アルテとかもう意味わからん。
「……!……!」
「声が出てないの……。逆にその反応でここに来て3人つけてるのがすごいの」
「大丈夫だよお兄さん……ここは完全前払い制だからね……あとでぼったくったりしないよ!」
「げ、現代がすぎる……!」
「あはは☆おにーさんおもしろっ♪」
「むしろいくらでもお金払うのでここの文化について色々教えて欲しいんだけど」
「もちろんいいよっ!でもサービスしないと逆に悪いっていうか……さ、体洗お?」
きゅっと蛇口をひねってシャワーを……シャワーを!?
今何した!?こいつサラっと何した!?
「お?これが気になるの?」
「おにーさん本当にこの辺初めてなんだねー☆」
「これは魔道具の一種なの。店長特製の素敵アイテムなの。手元のハンドルをひねるだけで、
魔法によって調節された温度のお湯が出てくるの」
「はんぱねぇ」
「そして石鹸であわあわ~☆」
「うっ……!」
シャワーを体に浴び、ぬれた体に少女の細い手が這う。
体に石鹸を塗られているだけなのに、妙に扇情的で、思わず体が反応してしまう。
「やーっ☆おにーさん、びんかーん☆」
「やりがいありそうなの……」
「今日はたくさん、楽しんでいってね……!」
――やばい、この勝負、思ったより厳しいんじゃないか。
果たして、俺の旅はここで終わってしまうのか……!?




