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――魔法暦563年、デュランド王国――
「シオン、お前はこのパーティーにもう必要ない、出ていけ」
「そうだな、君、戦闘で何かしてる?」
「錬金術も役に立たない。荷物持ちとしても心もとない……」
「ごめんなさいねぇ、でももう決定したの」
「……」
「じゃあな、魔力タンク君」
「……あっそ」
喧騒賑わう夜空の下、シオン・グレイシスはパーティーから追放宣言を受け宿を後にした。
錬金術師としての実力は役に立たず、有り余る魔力を供給させられ続けるだけの日々。
当然の様に雑用を押し付けられる上、依頼の報酬も全体の一割以下、極めつけは幼馴染であり恋人のアリシアがパーティーリーダーのガイアにしつこく詰め寄り、肉体まで許したというのを他のメンバーから聞いた。
持ってた全てを奪われた。居場所も、魔力も、金銭も……好きな人も。
無一文で街を出る。
王都デュランドを出て全てを後悔してきた。
好きな人と一緒に冒険者になった事、
能力が役に立たずパーティーメンバーの言いなりになった事、
好きな人を嫌いな奴に奪われた事。
全部自分がハッキリしなかったせいとは言え、全部が嫌になった。
(やり直そう……知らない土地で……)
それは錬金術師シオンなりの決意だった。
誰からも必要とされなかったら誰かに必要とされるまで努力しようと。
この錬金術を、大量の魔力を。自分のために使おうと……
――続く




