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夜
夜の空。
星々が綺麗に見えて小さな光る音を立てながら瞬く、暗いお空。
くじら雲は満月の前をゆうっくりと飛んでいた。
満月は実はとても綺麗だという事をそして色を変えることを、くじら雲は知っている。
ぷしゅう~と潮の形をした雲を吐き出す。
それは満月の光の照らされて少しきらきらと光って消えて行った。
くじら雲は満月と会話していた。
何を会話していたのかは、ひみつだった。
雲語を、満月も話せるのだろうか。
ビー玉色の瞳はきらりと、きらりと光ってまるでそれが一つの星の様であった。
ふと、くじら雲は眼下の海を見下ろした。
海ではほんものの鯨たちが潮を吹いて、満月の夜を祝って、ジャンプして舞っていた。
くじら雲は、ふと思った。
何を思ったのかは……。
満月と神様だけが知っているのだろう。
くじら雲は、満月に別れを告げてまたゆうっくりと暗い空を飛び始めた。
星たちの囁きに耳を澄ませながら、ゆうっくりと飛んでいたのだった。
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