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昼
お昼の空。
本当に天気の良いお昼真っただ中の空。
ちょうど、眼下の町の時計台は十二時の鐘を鳴らし終えたところだった。
くじら雲は空をのんびりと揺蕩っていた。
くじら雲は実はちゃんと食事をしていたが、どうやって、何を食べているかは……ひみつだった。
ぷしゅう~とくじら雲は雲の潮を吹いた。
潮の形をした雲はすぐに消えてしまう。
ふと、くじら雲は思った。
思ったが何もせず、ただひれを動かして方向転換を始めた。
何処へ行こうかと悩みながら。
花畑の上空を飛ぼうか……。
それとも、海の上を飛んでみようか……。
ビー玉色の瞳を閉じて、ちょっと考えた。
決めた。
くじら雲は何処に行こうと決めたのか、それもまたひみつ、だったのだった……。
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