表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪された悪役令嬢は契約で国を買い取る ~支配ではなく市場で無双します~  作者: 朝凪ことは


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/102

第66話 蒼き商都の女王

 商業都市連合セレスティア。


 海に浮かぶように広がる白亜の街。


 塔と水路。

 金と硝子。


 そこは、軍ではなく“契約”で支配される都市。


 王国使節団を迎えたのは、ひとりの女。


 蒼いドレス。

 銀の髪を束ねた冷ややかな瞳。


 イザベラ・ノクス。


 商業連合の代表理事。


「ようこそ、均衡の王」


 口元は微笑む。


 だが目は値踏みしている。


「お招きに感謝します」


 ルーカスは一礼。


 レティシアは隣で静かに観察する。


 応接室。


 円卓。


 壁には各国の契約書が額装されている。


「帝国との会談、見事でした」


 イザベラが先に言う。


「情報は速いのですね」


「商都ですもの」


 微笑む。


「利益の匂いは逃しません」


 直球。


「王国は今、面白い」


「面白い?」


「強くもなく、弱くもない」


「読めない国家は、商機です」


 レティシアが口を開く。


「では、いくらで動きますか」


 空気が一瞬止まる。


 イザベラの目が細まる。


「率直ね」


「時間は有限です」


 静かな火花。


「王国は、三国協定を提案しています」


 ルーカスが言う。


「帝国・王国・商業連合」


「相互監視と貿易安定」


「監視?」


 イザベラは笑う。


「私たちは中立です」


「中立は、最も強い立場ですわ」


 レティシアが返す。


 視線がぶつかる。


「あなたが動けば」


「帝国は露骨な圧力をかけられない」


「代わりに」


「何を望む」


 イザベラが問う。


 ルーカスは答える。


「触媒安定技術の一部、商業用途限定で共有」


 沈黙。


 レティシアがわずかに眉を動かす。


 これは事前に打ち合わせていない。


 イザベラの瞳が光る。


「大胆ね」


「均衡は、分配で保つ」


 ルーカスは迷わない。


「王国が独占すれば、帝国は奪いに来る」


「共有すれば、奪う意味が薄れる」


 沈黙。


 やがてイザベラが言う。


「あなたは商人の思考をしている」


「違います」


「国家の思考です」


 静かな応酬。


「条件がある」


 イザベラが言う。


「王国は、私に直接連絡できる窓口を設ける」


「外交ではなく、実務の回線」


 レティシアが即答する。


「私が担当します」


 視線が合う。


 互いに笑わない。


「いいでしょう」


 イザベラが立ち上がる。


「商業連合は三国協定に参加します」


 契約書が差し出される。


 署名。


 均衡は、大陸規模へ拡張された。


 夜。


 水路沿いのテラス。


 イザベラが一人、ワインを飲む。


「面白い王ね」


 秘書が問う。


「信用できますか」


「信用はしない」


 微笑む。


「だが、尊敬はする」


 遠く。


 王国の旗が風に揺れる。


 レティシアは静かに呟く。


「敵ではありませんわね」


「味方でもない」


 ルーカスが答える。


「均衡の一部だ」


 商都の灯りが海に映る。


 王国は、孤立していない。


 均衡は。


 拡がり始めている。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ