第13話 突然のフリーズ地獄
俺は今日もパソコンの前にへばりついていた。
締め切りまで残り数時間。キーボードを叩く音が虚しく響く。
「うわっ! またかよ!」
画面が完全に固まった。マウスカーソルは動かず、Ctrl+Alt+Delも一切反応しない。
強制終了をしても、再起動直後から同じフリーズが即座に再発する。
「グラン! 助けてくれ! 今度はマジで死ぬ! 原稿が30分分吹っ飛んだ!」
俺はグランに現状を説明した。
【グラン】
「状況は把握した。今回は通常起動では無理だ。回復ドライブを使え。」
俺は慌ててUSBポートに回復ドライブを挿入した。電源ボタンを長押しして完全シャットダウン。
再起動時にF12を連打してブートメニューを表示させ、回復ドライブを選択した。青い回復画面がゆっくりと立ち上がる。
俺の指は冷たく汗ばんでいた。
「ここからどうする?」
【グラン】
「トラブルシューティング → 詳細オプション → コマンドプロンプト を選択しろ。」
黒いコマンドプロンプト画面が現れた。
心臓の音が自分の耳にうるさいほど響く。
【グラン】
「Cドライブをチェックする。chkdsk C: /f /r と入力してEnterだ。時間がかかるぞ。」
俺は震える指で一文字ずつコマンドを打ち込んだ。
黒い画面に文字が走り始める。
「お、始まった!」
画面には「ファイル システムの種類は NTFS です」という文字と、スキャン状況を示すパーセンテージが表示された。
俺は椅子に深く腰掛けたまま、息を殺して見守り続けた。コーヒーすら飲む気になれなかった。
40分以上が経過した頃、ようやくチェックが完了した。
Windowsが起動し、デスクトップが現れる。
壁紙の猫がいつもの位置でこちらを見ていた。試しにブラウザを開き、原稿ソフトを立ち上げてみた。
……カクつきが明らかに減っている。フリーズの気配が消えていた。
「グラン……直った! これで原稿を書き直せる!」
【グラン】
「よくやった、ゆうた。chkdskがエラーを修復したようだ。」
俺は失った分の原稿を必死に再構築し、夜遅くにようやく納品を終えた。
全身の力が抜け、背もたれに体を預ける。重いため息が漏れた。
電源を落とそうとマウスを動かしたその瞬間—— 壁紙の猫が、画面の端で一瞬だけ背中を丸めたような気がした。
まだ終わらない……




