第11話 重たい朝
いつもと少し違う朝。外はまだ薄暗く、部屋の中は静かすぎて自分の息づかいがうるさく感じる。
ベッドから起き上がって、デスクの前に座る。昨日は、ネットが繋がらなくなったトラブルを何とか解決したけど、なんか胸騒ぎがする。
PCの電源を入れる。ピピッと音がして、画面にメーカーのロゴが出て、少し文字が流れる。
Windowsのロゴが出て、丸い点がくるくる回る。……いつもより、回るのが遅い。ログイン画面が出るまで、妙に時間がかかった気がする。パスワードを打って、デスクトップへ。
壁紙の猫が、いつもの位置でこっちを見ている。
「よし、今日も頑張るか。」
コーヒーを淹れて席に戻る。ブラウザを起動しようとマウスを動かすけど……なんか、カーソルが引っかかる。クリックしても反応が遅い。
「え?」
Wordを開こうとしても、アイコンをダブルクリックしてから数秒待たされる。ファイルエクスプローラーを開くと、フォルダが表示されるまでモタモタ。全体が、まるで重い荷物を背負ってるみたいに遅い。
「うそ……またかよ。」
右下のタスクバーを右クリック → 「タスクマネージャー」。
開くのに、いつもより時間がかかる。
ようやく出てきた画面で、「プロセス」タブを見る。ディスクの使用率が……90%超え。CPUは低め、メモリも余裕あるのに、ディスクだけが真っ赤。
「ディスクが……重すぎる。」
「グラン! 助けて! 今度はPC全体がめちゃくちゃ遅いんだ!」
【グラン】
「おはよう、ゆうた。……随分と疲れた声だな。何が起きてる。」
「起動から遅いし、クリックしても反応が悪い。タスクマネージャー見たら、ディスクが100%近く張り付いてる!」
【グラン】
「ふむ。古いHDDの典型的な症状だ。特に最近のESU更新が入ると、バックグラウンドでいろんなメンテナンスが走って、HDDが悲鳴を上げるケースが多い。」
「メンテナンスって……何が?」
【グラン】
「Windowsが自動で検索インデックスを作り直したり、更新ファイルの最適化をしたりしてるんだ。HDDだとそれが遅くて、PC全体が引っ張られる。まずは原因を特定しよう。」
「どうすりゃいいんだ……」
【グラン】
「タスクマネージャーで、何がディスクを食ってるか見てみろ。」
俺は「プロセス」タブを並び替え。ディスク列をクリックして高い順に。上位に「Windows Modules Installer Worker」と「Service Host: SysMain」みたいなのが並んでる。ディスク使用率が跳ね上がってる。
「これか……Workerってやつがヤバい。」
【グラン】
「TiWorkerだな。Windows Updateのバックグラウンド作業担当。古いPCだとこれが暴走しやすい。
次にSysMainはSuperfetchの後継で、よく使うアプリを先読みする機能だ。HDDだと逆効果になることが多い。」
「じゃあ止めるのか?」
【グラン】
「まずはSysMainから。サービスを止めてみよう。GUIでできるぞ。」
スタートを押して「サービス」と検索 → 「サービス」アプリを開く。→ 「SysMain」を探してダブルクリック → 「スタートアップの種類」を「無効」に → 「停止」ボタンを押す → OK。
「止まった……ディスク使用率が下がってきた!」
少し待つと、ディスクが50%くらいまで落ちて、クリックの反応が少しマシに。
「うおお、ちょっと速くなった!」
【グラン】
「いいぞ。だがこれだけじゃ完全じゃない。次はディスククリーンアップをやってみろ。更新の残骸が溜まってる可能性が高い。」
俺はスタート → 「ディスククリーンアップ」と検索 → Cドライブを選択 → 「システムファイルのクリーンアップ」ボタンを押す。「Windows Updateのクリーンアップ」「一時Windowsインストールファイル」などが大量に出てきた。全部チェック → OK → 削除。
数分後、容量が10GB以上空いた。再びタスクマネージャー。ディスク使用率が安定して20%台に。ブラウザもサクサク開く。Wordもすぐ起動。
「やった……普通に戻ったぞグラン!」
【グラン】
「ふっ。よくやったな。SysMain無効とクリーンアップでHDDの負担が減った。だがな、ゆうた。」
「ん?」
【グラン】
「HDDはもう限界が近い。更新が続く限り、こんな症状は繰り返すぞ。まだ序の口だ。」
「……わかってる。でも、今日はこれで乗り切った。」
俺はコーヒーを飲んで、息を吐いた。
壁紙の猫が、一瞬だけ尻尾を揺らしたような気がした。まだ終わらない……




