90また新武器
クレセントに戻って何もせずにグータラ出来るわけもなく、あれこれと手伝わされて、商家が進出してきても負けない売りになる商品も出来始め、順調に発展の後押しをしていた。
この発展の一端を担う為にケントと肉食系三姉妹はタウザンフォールに向かっていた。
装備の方は現在の装備は没収されて代用で槍だけ借りて、他の物は帰ってくるまでには作っておくそうだ。
今回の目的はタウザンフォールの気脈を荒らされて無いか調べるのと、その後の状況確認に奇形種がどうなっているのかの確認、運送で使う竜の増加をお願いできるかの確認で訪れた。それに偶にはリーブを合わせてやるのも親孝行になるし、最近戦闘続きだったから息抜き目的でも行きたいのである。
最近クレセントが自分の家があってのんびり出来るはずなのに、何かと色々用事が舞い込み居づらい状況にも困ったものがあるので、今回の旅は急がず歩きながら気ままな旅である。
歩きついでにこっそりと道を整備して行きやすくし、ホバーバイク程度が通れるくらいに道を作って進んでいった。
魔の森を経験した後だとこの辺りの危険性も無いに等しく、龍の勢力が居るから変な奴も近寄らない様で、かえって平和になったかと思うほど、ハイキング気分で行程を消化していった。
滝に近づき、途中で向こうも気づいた様で迎えを寄越してくれ、お世話になりつつショートカットで最上部のボス部屋だった広間に運んで貰った。
広間には今までただの空間だけだったのだが、どうやら人型だとイロイロと都合がいい様で人型で利用できる部屋が作られていて、その部屋の中には貴族の邸宅かと思われる調度品が並ぶ豪華さを醸し出していた。
そしてこの部屋の主は現在、銀色の髪のものが金色の髪のものを組み伏せて汗を流していた。
なぜ髪の色でと思われる方も多いと思いますが現在比較できるものがそれしかなかったからであります。
両者共に裸で髪色でしか比較が出来ず、とても行為に集中している様で未だにこちらに気づいた様子は無く、こちらも出迎えの者含めて唖然として開いた口が塞がらないまま立ち竦んでいた…
減ってしまった龍種を増やすためとはいえ流石にグロードの体がやせ細ってないか?
その分クロワさんのスタイルが以前に増して凄くメリハリついて、飛びつきたくなる様な体つきをしている。
ただ…今の思考を読み取ったのか背後から鋭い冷気を感じるので何があっても口が避けようとも言えないだろうとも思った。
ケントの背後から放たれた冷たい刺さる様な殺気のおかげで二人がやっと気づいてくれた。
二人の表情も驚きと戸惑いを含んでいたが嬉しそうに微笑んでいた。ただ一名解放された事による安堵が含まれていたのは心中察するものがある。
さて場所を応接室の様な部屋に行き、本題に入り、気脈の暴走を行う者がいてこちらに影響は無いか確認したが、地下ダンジョン部分のリーブとクロワさんが閉じ込められていた部分を弄られた形跡は有ったのだが、能力が上がる事は有っても害は無いのでそのままタウザンフォールに流れ込む様にして眷属強化に利用したそうだ。その為奇形種問題も一気に解消して、随分数を増やせた様だ。
この話が向こうから出たのを幸いにこちらも気脈浄化用の魔宝玉設置を追加でまえふりに、竜車増便に伴う協力お願いをしたらクロワさんは二つ返事で引き受けてくれて、ここでの問題は全て解決し、逆に人型を取れる者も数人社会勉強させて欲しいとお願いされ、こちらの交流事業も展開されていきそうだ。
ただこちらの交流事業はどちらかと言うとHENTAI的な事を求めてそうなので、そこだけが心配だが、なる様にしかならないだろう。後のことは知らん。この辺で難しい話は終了して、後はのんびりと数日お世話になり、若者と手合わせしたり、夜は夜で…この辺りのことは想像にお任せしてコメントは差し控えさせてもらい、タウザンフォールを後にするのだった。
ただ帰り道なぜか、金龍銀龍もついてきて、クレセントに龍種の家を作る事になりそうだ。
空も飛べる龍種と地上を走る竜種を管理してくれ竜車のレンタル方面で協力を仰げる様で、社会勉強の一端として拠点を持つそうで、予想以上な後ろ盾を引き連れて帰還が叶ったのだが、クレセントではなるべく人型のみで生活してもらって変身できないものを使役している形をとってもらう様になっている。
報酬は欠損再生剤でいいそうなのだが今後の金龍グロードの体が心配になるのだが発言を許される状況は与えられそうに無かった。
帰り道は竜の都合で竜が通りやすい道を作っておく事になり竜が勝手に作ってくれるので、みんな仲良くお話しながら楽しい旅路だった。ただケントとグロードは通じ合える部分がありお互いがお互いを讃える様に今度二人で酒を汲み交わす約束を取り付けるに留まり、盛り上がる女性陣の話を聞きいるのだった。
クレセントにたどり着き、屋敷を作るまでは居候して貰い、竜車運送のクロッカを紹介し、話し合いを進めてもらっている間にゴルドに呼ばれて嫌な予感を覚えつつ、工房に連れ込まれ、白い布に包まれた物体の前に案内された。
そこには大きく3つ布をかけられた者があった。大きさ的には2mを超える物もあり、またとんでもない物を作られた様な気がして、気分が落ちていくのが実感できた。
「楽しみじゃろう。まずはこいつから見てくれ」
ゴルドがそう言うと一番低い布を取り払った。
そこから現れたのはなんとも中途半端な鱗模様のドラゴンメール。
これは余り物や欠片を集めた有り合わせの見本用だそうだが基本構成は俺のと一緒らしく部分部分に仕上げの違うパーツが見て取れた。
ゴルドはそれら丁寧な仕上げのパーツを外しこちらに来て一個一個付け足していった。
そして出来上がった姿を見せられて、ピカピカ光るよく目立ちそうな鎧姿の俺がいた。
やはりこうなったか…歩く広告塔は目立ってなんぼ。しょうがないよね…
ただこの鎧は武器の格納が予想以上に効率が良さそう。4本の脇差は存在を消したのかと思ったが、足の膝下側面に収納され、刃幅も幅広く防具としても機能して、しかも蹴りを入れた時には僅かに出ている刃で攻撃の助けにもなりそうだし、持ち手も膝蹴りでつき刺せそうでなかなか凶暴な仕組みになっている様だ。もう2本も背中の肩から下に入って防具兼隠し武器として、鍔も邪魔にならないものにリニューアルされ、今までの動作の邪魔にならない設計とされた様だ。
これなら普通に使えそうかな?そんな安堵が顔に出ていたのかゴルドはニヤリと笑みを浮かべ次の布を取り払った。
次の布から現れた物は異様なバランスの薙刀だった…見た目そのまんま…使い慣れた薙刀は何処へやら…余計なものが付いている…
刃渡り1m50cmと異常な長さと持ち手が1mと変なバランス?見ようによっては確かに大型の薙刀と言えるだろうけど何故に逆向きに2本も刃をつけたのやら…日本刀のような曲刀を背合わせで切先をくっつけた状態で見ようによってこれはカットレザーだな。ちょっと異質なカミソリって感じだ。
持ってみた感想は意外と軽い。片手でで振り回しても問題なくいけそうだ。
実際持つ柄の部分は1mだと少々頼りない感じだが扱いとしては悪くは無い、むしろこれは大剣の様に振るえるのも有りかもしれない。使い慣れない不自然さはあるが両手で扱うには薙刀としては柄が少々短いか?扱いに困って悩んでいるとゴルドが手を出してきて1m程の棒を出してきて取り付けた。
持ち手が延長された事でバランス良く振り回せる。成る程…納得だ。先程の軽いと感じたのもこの長さになれば丁度いい。これなら今での物と遜色なく使えるし刃渡りがあるから色々出来そうだし長さもその都度好きな物に出来そうなのは接近戦でもいけそうだ。
色々技を試してチェックしてるとゴルドは大木を持ってきた。
そしてそれに切りつける様に催促してきた。
頭上で一回転させ勢いを付けて横薙ぎに一閃するがあまりにもの硬さに手が痺れそうになるが、当たった逆の刃が鍔から一回転して両側から刃で挟む様になりさらに食い込み、柄を無意識に引くと大木は見事に切断された。無意識に体が動いて引切りしたけどこの動きはハサミだよね。なんか違うけど…仕組み的には高枝切りに近く無いか?…ハサミはハサミでもこれは…(黄昏)




