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85地脈封印

前方から集団が現れた。

猿、狼、猪、鹿、熊、など今まで争っていた連中が一斉にこちらを包囲し始めていた。


こちらもホバーバイクを降りて集団戦を覚悟し迎撃態勢を整えた。

幸い3人も高濃度魔素を浴びて中毒症状は出ないようで万全の態勢で迎撃態勢に入り推定200を超える魔獣亜種集団に対面した。


「テルト!司令塔頼むぞ!3人で囲んで壁になるから危険そうな奴から潰してくれ。アーネ、リーブも前に出過ぎずに頼むぞ」


「「はい」」


3人の元気な返事を聞き武器を構えて獣共の出方を待ち、前面は強化種が多くその後ろに亜種が混じるが尋常じゃ無い凶暴種が最前列に躍り出てきて、戦端が開かれ最後尾から群率種が咆哮を上げ下っ端達も一斉に動いてきた。


猪、熊の凶暴種を先頭に半包囲で魔獣が接近してきて、先制でテルトの氷礫連弾で前面に展開していた魔獣の足を止めアーネが子蜘蛛を走らせ2匹を繋げる刃糸で足を切断し転倒を誘い一部に混乱を引き起こせた。まさかアーネの子蜘蛛にこれほどの力があり、しかも糸の切断力がこれ程高いとは想像出来なかった。なかなか嬉しい誤算である。でも人型の腰の辺りから蜘蛛の足が4本出てるのはどうも見ていて慣れないがあれはあれで刺殺力が高そうだから純粋に戦闘力が上がっていて、任せて安心だ。


「ドゴーーン!」


余りにも激しい音に視線を向けるとそこには8本足の猪凶暴種チャージボアの突進をリーブがその細い腕で大楯を向け受け止めていた。双方一進一退の力比べに持ち込まれて、空いた右手で自分の身長以上にある大剣で少しずつ削って、時にブレスを放ち器用に周りを見ながらこなしていた。

この娘もこんな細身の何処に力がって思うけど、元々龍だからこんなのも楽勝なのかね?


「ブォーーン」


よそ見をしていたら左側から殺気を感じ、体制を落とした所に頭のあった場所を丸太のような腕が通り抜けていた。そこから6本もの腕が暴風の如く吹き荒れ反撃の余裕も与えてくれない勢いで剛腕を唸らせる熊が正面にいた。その顔付きは残忍で口が裂け理性のかけらも感じられないものでクレージーグリズリーの名に相応しいものだった。


防戦一方も面白く無いから反撃したいが何処から行こう?薙刀使うには少々近過ぎるが…

腕が多くて早い動きだが意外と隙も多い…ここだ!

クレージーグリズリーの速射砲の如く繰り出されるパンチはストレートやフックなど織り交ぜて絶え間無く飛んでくるのだが腕の多さに振り回されどうしても手打ちで腰が入ってないからさほど脅威には感じず、チャンスを狙っていたが思っていた以上に早く訪れた。

こちらから見て右、グリズリーの大振りの左腕が飛んできたのを左足を引きながら右手で手首を掴みそのまま体をその場で半回転したことによりグリズリーは体制を崩し、さらに引き込み関節を決めながら地面に激突させつつさらに掴んだ腕をあり得ない方向に持って行き脱臼させる事に成功した。

本当なら脇差を突き刺して腕を再起不能にしたかったが痛みに暴れたグリズリーを押さえておくことが叶わず、間合いを取り薙刀を構えて接近に合わせ、一本不能にしたが5本の腕の隙間を縫うように蛇突で防御を嘲笑うように体に突き刺した。

しかも戻しながら逆嚙で肘の内側など柔らかい場所に刃を当て引くことで筋繊維を切り裂いて腕の反応速度を奪っていった。

こうなってしまったらクレージーグリズリーの脅威はほぼ無くなって、トドメを刺すのに心破打を打ち込み一瞬動きが止まった隙に首を落とし、脅威が半減したことで殲滅体制に入りチャージボアの側面を強襲!

腸を半分ぶちまけた所でリーブも正面から回り込んで逆から胴を一閃。

急所を捉えたようでそのまま沈黙してしまった。

大物2匹を始末して雑魚を相手にしている2人の元に行こうとするとそこに見える光景はさらに混沌としていて、乱舞する糸と氷柱の弾幕ですでにワンサイドゲームの様相を呈していた。

それならばと2人を誘導しつつ巨石の跡に進路を向け中程まで進んだ頃にはこの辺り一帯からの魔獣の襲撃は治まっていた。

魔獣達は俺達を脅威と捉えたのか遠巻きに眺めているだけだった。


襲ってこないならとわざわざ相手にすることも無いのでこの高濃度の魔素を吹き出す環境でみんなの体調を気にしながら噴き出し口の確認に向かった。幸いみんな多少の気持ち悪さなど感じてはいるが極端な体調不良も起こす事なくたどり着けて何が起きているのかを確認にした。

そこには巨大な石が倒れた事により、何やら木造の建物が潰れているようだった。

なんだろう?日本人的には近所の小さい神社というか廟というか…どちらにしても何かを祀っていた建物が崩壊しているように見えた。

もしこの予想が合っているなら何かしら御神体のようなものがあったのでは無いのか?

でも探すにしてもこの高濃度魔素の中に入らなくてはいけないがなんとなく自分ならいけそうな気がする…


やってみるか…でもこの娘達も付いてくるよな…よし!仕事を与えよう!


3人にこの崩れた巨石の撤去と出来たら再配置を頼んだ。おそらく時空バックを使っても容量が心配になりそうな大きさの石が3つあってそれを立てて三角形のように立ててあったのだからバランスが難しいと思うが時間つぶしには良いだろう。

そちらを任せて潰れた建物の発掘を進めよう。


まず建物を潰している巨石だけは優先的にどかしてもらって屋根だったと思われる瓦礫を撤去。

その中にはお堂の様な物がやはり潰れていて、その中の御神体らしき物は魔玉か?粉々になっているが透き通っていてまるで宝石みたいだ。


これが要で砕けた事によって魔素が漏れ出たのか?


ではこの欠片を集めて結合させれば再び抑えられるのか?


解らないが欠片だけを集めて効くかわからない練気合成を掛けてみるが形は穴開きながら1つに纏まりはしたが高濃度の魔素を浴びて妙な振動を始め再び崩壊してしまった。

こうなってしまうと代わりの物が無いといけないだろうがこれがなんなのか解らない…

1つ大きめの欠片を手に取りながら観察して、メガネの鑑定も弾かれ行き詰まってしまった。


こうなってしまうと思考のループで何も出来ないが悩んでるうちに頭上から激しい音がして見上げると巨石が合わさり三角錐が完成していた。

それに伴い3人はいつの間にか背後まで寄っていて、覗き込む様に後ろから俺の手の中の物を見たテルトは「魔宝玉なんんて珍しい物の欠片を持ってるのね」と呟いていたので、詳細を聞くと魔石から魔玉は多く魔素を吸収したら変化してそのさらに上で魔玉の表面的な光沢感の上をいき透明度ももった魔宝玉と呼ばれる核があるそうだ。

どうやらこの場所ではそれを封印石代わりに使ってでもいたのだろうと推測していた。

さて物は解ったがこんな物持ってない…でも魔石に魔素を吸わせて魔玉になるのなら大きめの物を用意すれば魔素吸って進化しないかな?

そんな思いつきはすぐに実行に移された。何個かの大きめの魔玉を取り出し並べてみる。

その間にお堂を再建し、魔玉を置く場所を作り様子を見たら思った以上に反応が速かった。何個かは破裂したが1つが光、周りの魔玉を取り込みどんどん純度を上げた様で光が落ち着いた頃にはまとわりつく様な不快な魔素は消えていて、いつの間にかこの空間は心地良い爽やかさを味わえる空間が出来ていた。


根本解決とは違うだろうが暴走状態にあった悪意ある魔素の噴出口、この場合は地脈と言っても良さそうだが、一旦制御下に入ったと見ても良さそうだ。

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