57石採取
明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします
石切場で壮絶な奴隷の使い捨て現場を見たケント達は一旦裏の林に隠れる事にした。
巡回の兵士も奴隷が逃げないようにする見張りで外部からの攻撃は想定してはいないようである。
見える範囲で働いているのは20人程の奴隷で、窪地に10人程の怪我人が居るようである。
詰所にはレーダー反応で30人程の存在が確認されているがそれ以上の情報はここで入手はどきそうになかった。
さて…俺はなんでこんなに悩んでいるのだろう?
もしかして奴隷を助けたいのか?無理やり襲われて連れて来たって話に理不尽さを感じてなんとか出来ないかと考えているのだろうか?
自分の事ながら解らなくなってきた。
「ケントぉ〜これがこの世界の当たり前の出来事よ。弱い者は隷属されても文句は言えないわぁ〜。それに私の頃よりは楽よぉ〜」
テルトの言葉がズドンと心に響いた。
この世界の常識…確かに今まではこれで来ていたのだから当たり前なのだろう。
しかし救える命をそのままと言うのも何かスッキリしない…
それを決断できないって事は俺がまだ弱いって事なんだろうな…
人が死ぬのが当たり前に見られる世界と、何があっても管だらけにして生かされてしまう医学の発展した日本生まれの俺との差なのだろうか?
それでもわがままになっちゃうのかな?
そんな悩みが顔に出てたのか予想外な所から予想外なツッコミが入ってしまった。
「お兄ちゃん助ける事はは良い事だと思うの。でも助けた後はどうする気なの?」
うっ…言葉に詰まってしまった。
確かにそうだ。助けた後クレセントに連れ帰るにも輸送手段がない。
俺たちはバギーがあるとしても他の人は徒歩の移動に成ってしまう。しかも食料もない。
それなら近くの集落に預けるかで自立して貰うにしても奴隷という身分ではまた捕まってしまうかもしれない。
俺は悩む以前に問題の先送りしか出来ないのか…
くそ〜これが俺の限界か?
「ケント様助けるにしてもキングランドワームの方はいかが致しますか?助けた後では足手まといになってしまいましょう」
クッ…確かにそうだ…
そこまで考えてなかった…
現状はどうにも無理って事じゃないか…
こんな事を考える時点で偽善って事になってしまうのか?
しかし!
やらない善よりやる偽善!
所詮は自己満足の世界の事だ。
こうなったら夜間、人がいない時間に目立たないところで石を採取して、その時に怪我人だけでも少し回復させて死なない程度にはなって貰おう。
その後キングランドワームを狩りまくって鉱石回収して、その時に腹の中に武器を持ってたらそれで何処かの集落に引き渡して自活して貰おう。
それで行こう。
今はもう自己満足って事で納得しよう。
そうと決まれば話は早い。
まずこの石切場の南側のまだ開発の進んでいないエリアで大々的に石を取りまくろう。思った以上に質が良さそうだからついでにもらって行く事にした。
目標は城が出来るくらい?そんなに取ったら地形変わっちゃうか?
そんな事知ったこっちゃないな。
ここは高さがあるし、切り出すのに魔法も必要そうだから全員での参加だな。
上からテルトに魔法で切り出して貰ってアーネの子蜘蛛で転倒防止や命綱管理してもらって、リーブには龍になって貰って高所作業で荷下しか?
俺は気を纏って適度に石を切断で良いかな?
後はバックに入れるのは誰か手が空いてる人がやれば良いだろう。という事で夜間作業になるから崖の上で奥まったところに適度な広さの場所を見つけ、ミニ小屋を出して早めに休憩する事になった。
今日はご期待のような事はしませんよ?
夜に動くので純粋に睡眠ですよ。決して四人で運動するわけではないですからね。
今は日が高いが大人しく目を閉じるのだった。
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眩しい…うっすら目を開くと西側の窓から日が差し込んできて顔に当たっていた。
だいぶ日が傾き窓から入った日がちょうど顔に差し掛かったようでその陽射しの眩しさで目が覚めたようだ。
3人はまだ寝て…いなく狸寝入りのようだ。
こいつらずっと寝てなかったのか?どうやってこいつらを起こす振りをしようかと考えていると…
キーン、キーン、キーン、キーン
まだ石を切り出すのに金槌を叩く音が響いてる。
「もうそろそろ終わりそうか?」
「はい先程より音は減っております」
「ちょっとぉ〜アーネ!予定が台無しじゃない!」
「あっ…」
こいつら何か企んでやがった…アーネが自滅してくれてなんとかなったっぽい?
そんなのは放っておいて、そろそろ準備をしようかね?
奴隷と見張りのいる所は避けて南側に行くとしよう。
ここで表面は弄らないようにして、そこから中に入ったところで1m幅で20mくらいの長さでテルトに切れ込みだけ入れといてもらおう。それを縦5列横3列準備だけして、人が居なくなったら下に降りて下を切り離してバックに入れる準備をしよう。
ただここは高さが150mくらいあるから50mづつくらいで高さも切り分けてしまっておけば使う時に便利だろう。
テルトが作業中の間はアーネの子蜘蛛を偵察に行かせて、奴隷が撤収完了とともに作業を本格化させる事になった。
程なくして作業は終了し、奴隷は寝床に戻されたようだが見張りはまだいて、奴隷の監視数人と後は詰所に戻ったようだ。
この程度の見張りならもう始めても問題ないかな?
アーネの監視体制はそのままに作業を次の段階に進ませた。
リーブの頭にテルトと二人で乗せてもらい、テルトの魔法で石の切断を任せ、50mで奥まで一気に切り離して隣の2列に移動して上が無くなってから下に移動する予定で進む事になった。
たまに切断音が響いたりリーブの羽ばたく音にドキドキしながらも切り出していった。
結局は心配したものの自分達の盛り上がった声でこちらの音は見張りには全く聞こえていなかったようだ。
それならばと調子に乗って切り出しを進めてしまい、気づいたら同じサイズの石が追加で増え合計で100個を超えてしまった。
本当に城でも作ってしまおうかな?
でもこんな事を考えるより、人助けの方が気になってしょうがない。今回は物資がないのでどうにも出来ないが人助けだけは自己満足で良いから何かやりたいと考えてしまった。
そこで思いついたのが窪地の怪我人だけでも回復薬だけ与えたくなってきた。
ここは偵察だけでつまらなそうにしていたアーネに依頼をした。
忍びの技で天井裏から糸を垂らしそれを伝せ、毒を垂らし暗殺した技を逆手に取る事にした。
今回のは毒の代わりに回復薬を垂らして飲ます事にして、回復薬が大量には在庫がなく全員には飲ませられないのでちょうど良かった。
各子蜘蛛に少しづつ回復薬を持たせて口に垂らす事になった。
少量づつではあったが怪我した奴隷の顔色は少しは良くなったようだ。
たとえ自己満足と言われようともこれで心置きなくこの場を後にして狩りを優先するのだった。




