47タウザンフォール2
「ねぇ〜ここジメジメして髪がまとわり付いて気持ち悪いよぉ〜」
「滝の裏だし、上に行けば少しは減るかもよ」
トカゲの群れを突破した後、子蜘蛛情報から作った地図を元に二階に向かう階段を目指していた。
滝裏で最下層なのもあり、足元は悪く、霧状の水分が洞窟内に流れ込み充満していた。
テルトが言っていた髪も湿気を含み、風呂上がりの半乾きの様な状態になっており、尻尾もペタッと張り付いていつもフサフサの尻尾はぺったんこになっていた。
それだけ水分があるのでテルトのブラウスも肌に張り付きそうになっている為、中の物が薄っすら透けて見える様な状態になっており目のやり場に困ってしまう。
しかもブラウスの中には何もつけてないと来たもんだ。絶対わざとだろう。先端が視認出来るぞテルトさんよ〜
「ケント様間もなく階段前の魔物地点が迫っております」
「どぉするぅ〜ここの寒さにも弱そうだから氷でいくぅ〜?」
「そうだね、初っ端は俺串刺しで放つから氷が無難かもね。炎はここじゃ〜サウナになりそうだから」
「ではわたくしは子蜘蛛を集めて、糸状縛界を展開いたします」
「頼むね。基本は初撃足止め各個撃破でいこう。その内通用しないの来るだろうけどその時はなんとかするよ」
そんな打ち合わせをしつつ子蜘蛛マッピングとレーダー活用で難なく分岐点を突破してついに階段前広場にたどり着いた。
そこには多種多様な大から小までのヘビが群れているのだった。
「えーと…どうしようか…」
「ちょっとこれはいやねぇ〜」
「一度にこれ程の量は困りますね」
およそ10m四方の部屋に5mクラスのアナコンダ見たいのから、50cmも無い生まれたてのまで地面も見えないくらいビッシリと埋め尽くされていた。
なんか昔の処刑方法でこんなのあったよね?たい盆とか言ったっけ?
まーそんなのいいや。
さてどうしようか?
猛毒薬とかポイズンミストとか使えるけど毒蛇いたら効くのかな?
燃やすと煙がすごそうだし…水で溺れることは無いだろう?
生き埋めにするにも階段まで埋まってしまいそうだもんな〜
熱水で煮る?貯まる前に気付かれるだろう…
「ねぇ〜これだけいるとぉ〜一気にやらないと危ないわよねぇ〜少しづつ水流し込んで氷魔法使えば一気に凍らない?」
ふむ
それは有りだな。
それならちょろちょろ水を流し込んで部屋中満たせば普通よりも全体を凍らせるのは早そうだ。
凍らなくても蛇って確か冬眠したよね?体温低下で行動は鈍るはず。
いけるかもしれない。
そうなると時間かかるな。
並々水を満たさないと効果が薄そうだし、少ないと上の方の連中逃げちゃうよな?
それなら触雷で電気流せば感電して動けないところを凍らせるか?
ダメで元々!試してみる価値はありそうだな。
「テルトその案乗った。ちょうど入口が部屋に向かって傾斜しているから壁に向かって水魔法を打とう。そうすれば部屋に流れ込むと思う。俺も協力するから、部屋が水で満たされたと思ったら触雷で感電させるから動きを止めてる間に氷魔法を叩き込んで一気に凍らせよう」
「アーネは部屋の隅に水来てるか確認を頼むよ。もし凍らないのが出たらその時は対処任せる」
「おっけぇ〜」
「かしこまりました」
作戦はすぐに決行された。
まずテルトは湿気が多いことを利用して少ない魔力で水を生み出して、ホースで水撒きする様に入口の右側の壁に向かってぶつけて、壁を伝って落ちた水は壁に沿って部屋に流れ込み始めた。
俺もウォーターラインズで極力低温にして左の壁にぶつけて同じ様に部屋に流し込み始めた。
だいたい両方普通の水道を全開にしたくらいの勢いだから1分間に50Lくらいかな?そうなると10×10mを貯めるには…計算するのが怖くなった…どう考えても何時間って単位になるよな?そんなに魔力が持つのか?
しかしせっかく水撒きしたのに無駄にはしたく無いな。
1時間だけ溜めてみるか?
そこで減った分は休憩して回復してからやればいいだろう。
それで行ってみよう。
1時間後
結局地形の影響で全てには水は届いていなそうだった。
でもこれでいいだろう。
水の溜まったところにいる奴らが苦しくて上に出てきている。
濡れた体で動き回って蛇同士で水分を与えあっている。
これならしばらく魔力回復の時間を取っても平気そうかな?
ちょうど隣に広い空間があるからミニ小屋を出してテルトを休ませた。
俺は瞑想をして気を練り始め、その間アーネは見張りをしてくれた。
ある程度回復したところで俺の気をテルトに譲渡して準備を完了させた。
まずは入口の近くに行き、また少し水を流し込んだ。
これを導火線代わりにして触雷を発動。
目の前にある部屋の中ではすべての蛇がビリビリ震えていた。
その隙にテルトは拡散しやすい様に氷弾を連発して、氷のオブジェが生産させていった。
マップの敵表記もすごい勢いで減っていきすでに残りは1割を切っていた。
さすがに大型個体は耐久力がある様で生き残りのほとんどが3m以上ありそうな奴らだけだった。
それでも少し表面が凍っていて動きがかなり制限されているので、アーネが子蜘蛛と連携して蛇の首を絞めていっている。
文字通りに絞め殺して吊るして皮剥いで解体までしてるんだけど、部屋は子蜘蛛が吊るした蛇が暖簾のようにぶら下がっていた。皮は良いとしてその肉はどうするの?食うのか?
美味いのかそれは…
なんか言い知れぬ不安を感じながら俺は氷漬けの蛇たちを砕いて処理するのだった。
蛇は結局大型個体だけ回収してその他は土魔法で沈めた。
簡単に言うと埋めたって事なんだけど、底なし沼みたいにして沈んでいったのである。最近のテルトは随分と力技が増えた様な…
きっと気のせいだよね?うんそういう事にしておこう。キニシナイキニシナイ
それでよりによってこの場にミニ小屋出しちゃうの?
次の階に行く前に魔力の回復?ま〜それは必要な事だけどさ。
蛇がまた集まらないか?
えっ子蜘蛛に警備させる?
なんでアーネが乗り気なのかな?
それでどうして2人して俺の腕を取って小屋に向かうのかな?
これは寝るだけの小屋だよ?
まだ寝る時間じゃ無いよ?
有無を言わせてもらえず部屋に連れ込まれた俺は2人の高まった感情を鎮めるために利用されるのであった。




