45戦闘観察
旅をスタートしてバギーは順調に滑り出し軽快に飛ばして行った。
四輪にモーター内臓し、魔玉がバッテリー代わりの電気自動車のような仕組みだが、パワーもあり多少道が悪くてもスイスイ走る。
しかもバイクベースのような形状の為、車体が軽いから泥濘も影響なく走れているしタイヤも大きいので安定感があり、走らすのが楽しくてしょうがない。
今度は完全に魔力制御にした為、テルトもアーネも運転できるようになり、魔力量に比例してスピードが違いがあるだけで、アーネが最高時速50km、テルトで60km、俺で85km程まで出せるようだ。
どうも俺の使える気とは変換効率が違うようでほとんど俺が運転だが、たまに疲れた時に交換してもらえるって状況はありがたい。
村を出てから平坦な場所で2人に練習して貰ってから山道が増えるところまでは運転してもらった。獣道のような所しか無くなってきた辺りからは俺がずっと運転をしている。
このバギーはハンドルがバイクのなので、ハンドルの手前にスタンドがあり、魔導の書庫を設置して情報をリアルタイム表示で、2人からも索敵状況などが見えるようになっている。
索敵が見えるおかげでいちいち支持しなくても、走行中に近寄ってくる魔物は2人がそれぞれ遠距離攻撃で仕留めてくれている。
テルトは各属性の玉がバスケットボールサイズと矢が槍サイズで打ち出し近距離には手に各属性を剣のように纏い打ち払えるようだ。また別の指輪の能力で鞭のように扱い遠くの魔物でも打ち絡め取って近くに引き寄せたりしていた。
アーネは何本も糸を操り球を遠心力で打ち出し打撃を与え、ワイヤーノコギリを振り回しては切り裂いて、始末すればフックで手繰り寄せ、魔物程度では相手にならない程である。
バギーのボディも昆虫種の甲殻を使用してるので、軽量でいてなお頑丈でちょっと食らったくらいでは凹みもしなかった。
もうなんというか戦車というか装甲車というか、もうね〜鉄壁すぎないかなこれ?
だけど俺たちは剥き出しなんだから無事ではないとは思うんだけど間違ってるかな俺?
しかし装甲車の様なバギーでも獣道がいよいよ細くなりすぎて進み辛くなってしまった。
「そろそろ道が狭いから歩きだけど平気か?」
「大丈夫よぉ〜ちょうど体を動かしたかったとこよぉ〜」
「ケント様この程度の障害は障害のうちに入りません」
まぁ〜ロレッタ作のこのストッキングはそう簡単には中に傷をつけないとは言っていたけど、それでもミニスカートで草むら歩き回るのはイメージが違うよね〜
なんでロレッタはこういう系統を作りたがるのかね〜
嫌いじゃないけどね。
むしろ好き。
いや大好物ですけどね。
目のやり場に困るんですよ。
テルトはノースリーブの脇から胸元がチラチラ見えしかもタイトなスカートでヒップラインがピチッと出てての絶対領域。
アーネも和服で上は鉄壁なのにミニの為動くたびに合わせ目からのチラリズムと絶対領域。
俺の理性は何処までもつのだろうか…まさか自分がここまで足フェチ要素を持っていたとは思わなかった。おっぱい星人は自覚してたけどヒップラインにも反応するとは…俺はただのHENTAIか?
ふー無心になって魔物相手に暴れるとしますか。
ちょうど禿鷹みたいなのが襲ってきたし、石突砲でまずは迎撃っと。
今度のは気を流し方次第で前みたいな針と散弾が使い分けられる機能になっているから、手元で変更できるし装填はないしありがたい機能だね。原理は空気鉄砲で高圧の空気を連続生成される土系鉱物が受けて魔力が通うと解放されて玉が飛ぶらしい。深くは考えないでおこう。
まずは空を飛ばれてるから散弾でダメージを与えてっと。バシュッバババ
〈よし!羽に当たって動きが鈍くなった。〉
これなら直径5cm長さ20cmの蜂針砲でも捉えられるだろう。
プシュンプシュンプシュンプシュン
そんなに早くはないが連射機能で撃ちながら追いかけられる。
〈よし!胴体に当たった。悶絶してる。もう一発。〉
禿鷹はよろめきながら高度を下げてきた。
よしこれなら薙刀の鍔からの雷をぶっ放してっと。落雷の様な音と共に稲光が禿鷹をとらえた。
禿鷹は感電して撃ち落とせた!
全速で間合いを詰め、首に向かって薙刀の刃を下から打ち上げた。
首は切断と同時に放物線を描き飛んでいき、体は力無く崩れ落ちた。
この新武器は強度が凄く振り回しても力の入りがまるで違う。
すぐに体に馴染んでくるようだった。
その後も俺は出てくる魔物を力任せに屠り、ストレス発散に努めるのだった。
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テルトの戦闘
ケントとの生活が長くなり、魔力の復調はかなり進んだ。
魔導の指輪を貰ってからは威力も増大したし消費も改善されより一層ケントの役に立てるようになった。
今回はロレッタがいろいろ苦労してくれて試作品ながら使わせてもらえている。
魔力増幅や魔力の具現化など普通と違うアプローチの仕方も面白いし、ケントと共に行動するならとその補完的な意味合いでも用意してくれた。
遠距離には今の魔法の威力アップ!
中距離には鞭化してその射程は魔力に比例して伸ばすことができた。また近距離には腕に魔力を纏い剣化する事で対応力をもたせたようだ。
これで1人でオールラウンドに動けるようになり、主攻からサポートまで幅広く対応でき、より一層ケントの役に立つことに喜びを感じているのであった。
ただ問題は魔力の総量が心許ないので、全力で戦うとすぐに魔力切れを起こしてしまうことだ。
ケントから融通してもらえるとはいえ、それに頼ってしまっては足を引っ張る事になるのでなんとか改善しようとしているのである。
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アーネの戦闘
ダンジョン脱出以降いまだに吸収された核を通して眷属状態にあり、ケントを主人として慕っている。
その繋がれている見えない鎖を通して、いろいろな力の使い方がアーネにも流れた。
もともと蜘蛛なのもあり、糸を使う事には長けているのだが攻撃向きではなかった。
それを先に物を付けることで用途に合わせ利用できるようになり、糸自体も強度を増やせ、勢い良く振ればワイヤーのように扱えるようになっていた。
また子蜘蛛召喚で四方八方に散らし索敵や毒牙攻撃、糸の中継などの幅広く使役し諜報活動にも力を発揮していた。
この諜報能力も糸の伝達で遠くにいても情報を集め、敵が来てもすぐに反応でき、蜘蛛の巣を最大限に活用しようと努力していた。
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この3人だと戦闘方法は比較的アウトレンジが主体になりつつあった。
アーネの蜘蛛の巣結界で行動が先読みできるようになり、視覚外からの不意打ちで行動妨害しケントが中近距離からちょっかいを出し、遠距離からテルトが魔法を叩き込むのが最近の主流で、魔獣クラスが近距離に近づかれても回避して再び距離を取ることが可能になっている。
テルトかアーネに回り込まれたとしてもその時はケントが近距離から一撃叩き込むので、余程実力のある魔獣でない限りは安定して叩きのめすことができている。
新武器の仕様テストもある程度終了して、いよいよ最大の難関タウザンフォール峠に差し掛かるのであった。




