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34南部探査2日目午後

双頭蛇を倒した後周辺探査で歩きながら調べてみるとこの辺りは警戒心もない小鹿の魔物がたくさん生息していて、こいつらがいっぱい居る辺りは植物がほとんど生えていなかった。


逆に蛇がいたところの方が植物が生い茂っていた。

こう考えると生態系の維持に一役かっていたのかもしれないと思うと蛇を退治したのは失敗だったかもしれないが、倒してしまったのだからしょうがない。


貴重な薬草を根こそぎ食べられてるから、この小鹿は今後駆除対象でいいかもしれないからまたバイクもどきに乗り込み、小鹿の生息域を調べるのに少々内陸側へと足を延ばし探索を続け、小鹿は相変わらず多いのだが猪の集団を見かける事が増えてきた。

この辺りは魔物の集団ごとに生息域がある程度棲みわけられているようで、先程の蛇のように間引き役が存在しバランスが保たれているかもしれない。


グワァーオ〜


突如腹の底に響くような咆哮が轟いた。

ここから見ておくの木のあまり生えていない山の頂上に黄色と黒の獣が現れた。かなり遠くに居るのだがこの距離でもわかるくらいの巨大さである。10mは超えているであろう虎のようなものが一気に山を下り、ここからではよく見えないが猪の集団らしきものに突っ込んで一方的に屠っているようだった。


あの虎はこの辺りの生態系の頂点なのだろう。ここの山には近づかないで、気付かれないようにその場を後にするとしよう。


さすがに南部は人の手が入っていなかっただけあって、とんでもない魔獣が生息していそうで、今後は心して進まなくてはいけないだろう。今あんなのに出くわしたら無事に切り抜ける自信がない。

10mのトラって睨まれただけでチビる自信があるから当分は避けたいところである。


その後は海岸方面を中心に南下を続け、平地がそこそこ増えてきたので今日の宿営予定地を見渡せる範囲で山狩を行う事になった。


「テルトそっちに小鹿が3匹いるから任せるよ。アーネ猪の群が左にいるから警戒してね」


「はぁ〜い。任せてぇ〜」


「かしこまりました。ご主人様子蜘蛛の視界と接続して警戒にあたります」


今はこの辺りの魔物の実力測定中です。さっきみたいな魔獣が居ないかも確認の意味も込めてで今夜の安全確保に警戒しています。

小鹿は小さいながら角の攻撃と跳躍力を生かした立体的な機動で翻弄させようとしてくるが攻撃手段が限られているので、苦もなく対処出来ている。

これなら成り立て冒険者が慣れてきた辺りで対峙していい練習になるだろう。


そんな考え事をしているうちにテルトは小鹿を氷槍で貫き氷漬けにして処理が終わっていた。

次にアーネの方から猪がこちらに進路を変えたと警告を発した。

数は5匹一匹が風貌が違うので魔獣クラスと他4匹が子供と思われるファミリーのようだ。


進路的にぶつかりそうでその場に留まり、やり過ごそうとしたのだがこちらの方が風上だったようで気づかれた。

親猪が一声鳴くと子供達が一列に並んで前足で地面を掻いていた。

肉眼距離では茂みがあって見えないのだがアーネの同調した子蜘蛛の目で見たものがこちらにも伝わっているので、こちらの戦闘態勢も完了している。


狙いとしては茂みを突破してきたらまずアーネが蜘蛛の巣トラップで動きを阻害させ、そこに俺がニードルシートで辺り一面地面から針を打ち出しダメージを与え正面からテルトが魔法の弾幕を張ることにしてある。

弾幕で足止めしている間に俺とアーネで接近してとどめまで持っていくように打ち合わせしてあるが猪の魔獣種に効くのかの検証も兼ねているので効かない場合はフリーで攻撃になっている。


ま〜行き当たりばったりでと言われそうだが作戦はスタートした。


猪達はまず子供達が茂みの中から突撃してきた。

体格も2mないくらいだが迫力満点である。

四頭同時の横一線一網打尽を狙って来たようだ。そこにアーネの粘着糸が引き上げられ足を絡ませ、四頭は頭から地面に突っ込み勢いを落とした。

そこに隙間なく地面から現れた杭が体を貫いていった。

おかしい…昔は剣山みたいに針のようなものが下から貫いたはずなのだが今見えてるのは腕よりも太いどう見ても杭サイズが打ち出されていた。


まだ致命傷にはなっていないのだが四頭ともどこかの足を貫かれていて、もう移動は出来なそうだった。

子猪が移動手段を失ったと判断し、ここで当初予定を変更してテルトは親猪に備えた。


親猪は子猪が全滅に近いダメージを受けたのを確認し茂みから跳躍して飛び出してきた。その跳躍力は茂みから四頭も飛び越え20m位は飛んだように見えたが、その勢いを殺さないまま、5m級の物体が突進してくるので見た目は大型トラックが突っ込んできたようにも見える。


テルトは親猪の足に向かって氷槍を打ち込んでいるが効果は薄いようで、勢いを止められなかったから左にアーネ右に俺とテルトが回り込むようにして突撃を回避した。


親猪は避けられたのでゆっくりではあるが向きを変えようと振り返り始めたところで、アーネが分銅を糸につけ後ろ足2本を絡め取るように巻きつけ行動を阻害、テルトも当てにくい足よりお尻を狙い氷槍を打ち込み、俺も籠手にある蜂針ボウガンを打ち込みながら接近を試みた。


しかし親猪は何事も無かったように向きを変え、右前足が地面を掻き始め、ブルルと唸り声をあげた。

この時点でアーネの糸は簡単に引きちぎられた。


そこでアーネは子蜘蛛を大量に呼び出し親猪に取り憑かせ、体にたどり着いた蜘蛛は牙で噛んで攻撃しているようだった。偵察用と思っていたが攻撃手段も兼ね備えていた様だった。


テルトは攻撃が効きにくい事から攻撃手段よりは行動阻害に舵を切った様で、地面を液状化させて、足が沈んだところで再硬化させて足止めを成功させた。


俺は側面に回り込み腹の柔らかそうなところに槍を突き込みさらに捻りながら槍の砲撃、雷砲を発動させ至近距離からの雷撃が猪の体内をかけめぐり、体は痙攣し神経網を破壊し生命活動は停止したようだ。まだそんな倒すのに苦労はないがこれほどの巨体を相手するには今後も3人で連携を必要とするだろう。


親猪はそのまま俺が解体してる間に子猪はアーネがクナイを糸で繋ぎ額に投げ込みとどめを刺しては引き抜いてで四匹全てを仕留めた。


「これで全部だね。そんじゃ〜小屋出そうか」


「ねぇ〜ケントぉ〜夜間の魔物とかは調べるの?」


「調べた方がいいだろうけど張込みやる程は今は装備がないよね〜」


「ご主人様。猪を一匹いただければ囮にして、子蜘蛛を常駐させ観察は可能です。」


「それいいね。けど寝ないでやるの?」


「いえ子蜘蛛の情報を後で回収も可能です。いくつかは繋いですぐに見えるようにしますが他は朝になったら戻るようにしておきます」


「わかった。それじゃ任せるね」


「かしこまりましたでは準備をいたしますので、ご主人様少しお待ちいただいてよろしいですか?」


「うん。いいよ。その辺に薬草ありそうだから拾ってるから終わったら呼んでね」


アーネは猪の首を掻き切り血を辺りに撒き臭いが広がるようにしてその中央に猪を置いた。

そこから四方八方に子蜘蛛を地面に木の上にと立体的に猪を見張るように配置し何が来ても良い様に周囲を監視の目で固めて行った。


これで翌日子蜘蛛がどんな情報を集めるのであろうか。

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