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31南部で実験

「おっちゃんおはよう!」


「おう!ケントちょうど出来てるぞ」


「おっちゃん相変わらず徹夜か?ロレッタもか?」


「ロレッタは先に寝てるさ。ワシはほれこいつを仕上げてたんだ」


「ほ〜これはなかなか俺でも予想外だ」


そこには今までの自転車とはまったくの別物が存在していた。

結局今までのを改造するよりは新造した方が良かったらしく、自転車というよりは両側サイドカー付きのバイクと言った方が良さそうな外見をしていた。

車輪も幅広に変更され、タイヤ代わりの肉厚な魔物の皮もオフロード向きになっているし小型ながらもサスペンションが入っていた。ここまで来ていてもなぜか動力は人力…


補助的に魔力を流せばサポートがあるがギアがあるとはいえなんだろうこのチグハグな感じ…速度は前より出るらしいが…う〜んこれは縦に並んでたらおしおきだべ〜とか言われちゃいそうだよなぁ〜


まぁ〜いいかそれよりもこっちリヤカーが繋げられるから今後なにかと使えるだろう。


「おいおいそっちよりはこっちを見てくれよ」


ゴルドはそう言うとロレッタを呼んでそれぞれの説明を始めた。


まずは俺の槍

これは穂が真っ直ぐな物から曲刀のようになり薙刀のような形状になっていた。

そこに柄には電子回路のような文様が入り材質も軽量化されているが強度が上がっていた。

この槍はさらに鍔の部分に魔玉が埋められていて柄に魔力を流すと鍔から放出する仕組みが取り入れられていた。

次に籠手は魔力を流すと盾のように展開される仕組みが入っているのと、蜂の針を飛ばす仕組みが組み込まれていた。

なんだろうこの残念なガンランスのような中途半端なライトボウガンのような…でもこういうものだと思えばいいんだよね?どうせなら概念説明して追求してもらおうかな?

まあいいか。このついでに作られた昆虫の羽のような蟷螂双剣の鞘背中に背負って簡易的に防御力上がったし武器も持ち歩けるしこれでいいとしよう。そのうち面倒な注文つけさせてもらえばいいだろう。


次にテルトは手甲だったかな?これは魔法発動補助具なようで威力が上がって消費も抑えられるようだ。

また魔力を任意の形に具現化する補助機能も入っているようで、これで物理障壁みたいな事も出来るらしい攻防一体のアイテムというところだろうか?


次がアーネなんだが…遊ばれたよねこの娘

いたって普通のメイドエプロンなんだよ?

しかも武器は鎖の無い鎖鎌だよ!?

どうするのさこれ…そんな葛藤を顔に浮かべゴルドに目で訴えるが逸らされた…

そんな時に丁度いいタイミングでロレッタは起きてきた。俺とゴルドが2人揃って訴えるような視線を向けたことで一瞬たじろいだがすぐに現場把握して説明してくれた。


どうやらアーネの糸を使う事を前提にしているようだ。

分銅も鎌も自分の糸を使い伸ばしたり縮めたり自由自在に扱えそうだ。

なるほどアーネの特徴をよく捉えて作られているようだ。

エプロンの方も実用性の他にクナイなどの暗器をしまえるようだし、それにエプロンを触媒としてフリルの1つづつから糸も扱えるように仕込んであるそうだ。これはこっそり糸を伸ばしてなどいろいろ使い道がありそうである。


そういえば俺1人でも遠中近だが3人でも遠中近なんだねバランス良いというかなんだろうね?

まあボチボチ行くとしますか。


早速3輪バイク?三輪車?に乗って旅に行くことにした。右にテルト左にアーネでリヤカーも宣伝がてらわざと荷物を積んでる様に見せながら行くことにした。本当は時空バックに詰めとけば良いんだけど、そこは世話になってるゴルドに儲けてもらわないといけないから動く広告塔代わりにならないとね。

でも本音はこれからいちゃつくであろう2人に暇を与えないであげようと親心なのである。ウッシッシ。


そんな2人がどうなるかは後の楽しみにして、村の中を低速で歩くよりはちょっと早いくらいの速度で走らせてみるとあっという間に回りに人が集まってきた。

かなり注目を集めたようで自分達がRGの店舗から出てきたことから、数人問い合わせに入っていったようだ。早速狙い通りに広告塔の役割を果たせた様である。

順調に注目を集めながら村の門まで着くと今度は騎士が気になっているようでこちらに問い合わせに来そうだったので、手元のスイッチを切り替えて速度を出して通過し、面倒な事は回ってこない様に逃げ村を飛び出してった。


この3輪バイクは4段階のスイッチがあり速度の変更が可能である。平地なら時速40kmも出そうでそれにプラスして魔力ブーストも使うとさらに70kmまで速度が出るようになっている。

これはなぜわかるかというと元々自転車に付いていた速度計が応用され、表示もそのまま時速表記なので自走モードとブーストモードを色分けされてそれぞれ数字が振られているのでそれを使用したようだ。

この他にもかなりのテクノロジーが廃車寸前の自転車から学ばれたようである。


その1つがサスペンションの仕組みだが魔石に風属性を付けなぜかエアサスペンションを実用化していた。

しかも悪路ように車高調整機能って…ゴルド実験しすぎだろう。

これも元は空気の入ったタイヤからなのだがあそこまで薄く加工出来なかったみたいで逆転の発想でボディに伝える前に間で衝撃吸収するためにサスペンションになっちゃったみたいです。

今後は俺からの意見を聞いて量産するか決めるんだろうな〜まあ良いんだけどさ。俺の旅は快適になるからさ。


さて肝心の装備の方なんだが、その前に俺たちに変わったことが1つあった。

光の玉吸収した時に繋がったままなのが今も生きていて、アーネは首輪でテルトも指輪が繋がりを持っている様で、マップに敵が入って方向を言う前に言おうとしてることがわかるらしい。

これはこれで便利なのだがどこまで繋がってるんだ?

下手な妄想が出来なくなる…ただ攻撃の連携は格段に良い。

遠距離にテルトが魔法で攻撃。耐え切ったのは俺の籠手のニードルガンで物理攻撃もしくはアーネの糸で分銅や鎌攻撃倒せたらメガネが勝手に回収。だからいちいちバイクもどきを降りずに攻略が完了していく。

それにメガネに管理させタブレットがマップと魔物の出現位置、種類の記録をさせている。

おかげで俺はほとんど操縦で済んでいるというか操縦に集中しないといけなくなってきているからなのだが、道が無いから歩くよりは早いぐらいで木を縫うように調整に次ぐ調整で周りを見る余裕が無くなっている。

だからテルトは遠距離攻撃、アーネは中近距離みたいな役割が出来つつあり、なんとも不思議な旅が始まったのである。


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