27即席警備員
現在レホの村はケントが救出してきた女性達の看護で人手が割かれていた。
村長宅を中心に精神状態別に宿屋や大型の家に分散して収容され、村の女達は看護で付きっ切りで対応にあたり、男達は道具や看護に必要な物を集めてきては指定された家に届けに行ったり、薬草などの収集に向かっていた。
捕まっていた女性達の中で比較的に負担が軽かった人にはあえて仕事として炊き出しをさせていた。
今日は村長の一存で食料を集めて村全員分の食事を準備させている。
考える暇を与えず、ひたすら作業に没頭出来る環境を用意したのである。
それもあって冒険者を中心に肉調達隊が結成され、あまり遠くには行かないようにしてもらい村の警護も兼任でお願いされていた。
しかし南部には不測の事態に備えてあまり奥には行けないが頻繁に回るように指示が出ていた。
村から20分くらいの距離に魔物の製造工場のような場所があったのだから、警戒レベルは非常に高くしてあるようだ。
それと現在ゴルドは大忙し、緊急用に昆虫種に効く武器を製造依頼されていた。万が一に昆虫種が溢れてきて虐殺されるだけならちょっとでも効くものをと村長とギルドからも依頼されていた。
ギルドの方も人造の魔物を作る技術があるならいずれ王国などでも出喰わす恐れがある事から先行して開発するようにと依頼がされていた。
始めゴルドは受けないと言っていたのだが村長が俺に昆虫種の死骸を持っていたら提供してくれと言われ、仕方なく蠍の背中部分を提供した。
すると村長は近くにいた冒険者を呼び止め自分の武器で甲殻を切ってくれと依頼していた。
冒険者はさっそく一般的な両手持ちの剣で甲殻に打ち込んで行った。
キーーーン!
辺りを静寂が支配した。
冒険者の剣は甲殻を少ししか傷つける事しか出来なかったのである。
それを見たゴルドもさすがに事態の深刻性を認めた。
そこでゴルドがある程度ダメージを与える武器が作れない場合は昆虫種出現の報が入り次第、村を棄てる方針が決定された。
そのため南部の出現地(始めに魔法陣で吸い込まれた所)には立ち入り禁止にし近場に監視所を設け、連絡員と足止め要員を置く事に決まってしまった。
そうなんです…私ことケントは足止め要員として監視所待機が依頼されました。
連絡員は冒険者の中から素早さを売りにしている者をあてられていた。
ケントの仕事は緊急時しか無いので監視所までの道作りを行っていた。
時々ゴルドに呼ばれて実際に戦った者の意見を聞かれたり、昆虫種の攻撃を聞かれたりで武器開発の参考にされていた。
そこでたまたま思い出した蜂の針を見せたところゴルドが食いついてきた。
蜂の腹に手を突っ込んだら針が連写したって事が気になったらしい。
そこでバックの中にある蜂の腹を取り出して見せた。
ゴルドが触っても何も起きないのだが諦めきれない様で、また腹に手を突っ込めと言われた。このなんとも言えないねちょねちょと言うかぐにょぐにょと言うか微妙に気持ち悪い感覚にまた襲われていた。
しかし何も起こらなかった。
そこで魔力を流してみろと言われたのだが室内で平気かと問い返すと外に連れ出され、蠍の甲殻の前に立たされ狙いをつけさせられた。
魔力を流せと言われてもケントにはイマイチわかっていなかったのだが、そこでイメージとして触雷をする事になった。
右手についた蜂の腹から伸びる針を蠍の甲殻に向け徐々に触雷に流す魔力を上げていった。
すると蜂の針は規則正しく打ち始めた。何本かは甲殻に弾かれていたが当たりの良い所は貫通すらしていた。
それを見てゴルドは研究用にくれと言ってきたので、打ち込んで撃ち尽くしたのと今のを贈呈した。
そのついでと言っては変なのだが蟷螂の腕クワガタの顎などもついでに渡しておいた。
それを見たゴルドは途端に目を輝かせた。
どうやら職人魂に火が付いたようだ。
下手な鉄製武器なら昆虫甲殻を加工した物の方が強度が良いらしくしかも軽いらしい、これが魔獣種ならもっと良いのが出来るとまるで少年になったかのように興奮していた。
そしてなぜか俺が持ってる良い素材があったら専用武器を作らせろと言ってきた。ま〜最近の俺は魔力で作れちゃいそうなんだがここは職人のアイデアというものを見てみたいのでお願いする事にした。
リクエストを聞かれたので慣れている槍か剣辺りで欲しいのと中距離から出来たら遠距離も行けたらなんて贅沢な事を注文してみた。
さすがに昆虫素材だけでは厳しいだろうと鋼、真銀、白金、金剛鉄と魔石、魔玉も少し渡してみた。
魔玉も大量討伐の中でいつの間にか小さいながら混ざっていたようでそれを渡しておいた。
これでしばらくは監視所に行っているのでその間に新製品作って、そのテストをしながら今の槍を改造する事になった。
新製品よりはこの槍愛着湧いちゃって手放したくないのが本音なんだよね。
そんなわけでゴルドの武器を製造待ちで監視所にしばらく張り付く事になった。
一方テルト達は女性達を魔力で診断していた。
外見変化では判断つかないようで魔力を使った検査で身籠っていないかの診察が行われていた。
アーネの情報を元に子宮に埋め込まれた魔石の状態を診察していった。
テルトともう1人は捕まったばかりで何もされていなかったが、だいぶ昔に捕まったであろう人は複数個存在していた。
ほとんどの人は魔石の寿命が尽きてそのまま石として残っていたが数人の体内にはまだ活動の疑いがあり、その人達を再び集め直しテルト、アーネ、シャロルを中心に監視兼看護で付きっ切りで当たる事になった。
それは1つの家を借り切り近付けないように柵を巡らせ、その回りに冒険者が待機出来るように徹底されていた。
このような厳戒態勢は救援物資が届くまで続くのであった。




