100直帰?
ナフラツでメリス家の長男ウォルターに別れの挨拶がてらいろいろ話をして、大量の回復薬を押し付けて一路南に進路をとった。南に行けばソウワルガから東に進路をとって山越えでレホ街に行くか南東にタウザンフォール経由で行くかで検討しているが後方拠点となりそうなソウワルガに国王が逃げているらしくそこの様子だけでも伺っていく予定だ。
ネガキア近郊からホルドア経由の方が道も整備され早いのだが、随分と我儘な連中がいるらしい場所の側を通るのは精神衛生上良くないし、万が一捕まる様な事になれば自分がどうなるかもわからないから避けて通るつもりだ。
どうもこちらは反国王派の拠点とされている様で、メリス家と別に実力派の新進気鋭クレスト侯爵家を引き入れて画策しているいかにも貴族と言える連中が取り巻きについている様だ。しかもあのクレスト家だ。レホ街にいつの間にか来ていて会議の席でこの偵察行を無理やり押し付けてきたあいつである。
こいつは派閥ごと集合場所としてホルドア方面を支配地域として囲い込んでしまっており、交通の要所として富の集まる地域性を見込まれて無理やり取り上げられてしまったらしい。その一環でレホ街にもちょっかいをかけてきているらしい。
そんな経緯もあるし、あっち方面は行ってもゾンビ集まるコルテレット国だから暫くは関係なしでいい分クレスト一派に対処して貰うつもりだけど、どっちにしろ騎士団や宮廷魔術師のお抱えをいっぱい抱えてる連中なのでなんとかするだろう。
その分国王の方は移動距離が少ない事で文官団が中心で逃亡の際に騎士の損耗が激しかったのだが、メリス公爵自体が昔冒険者として名を馳せた実績から、慕っていた冒険者の協力でなんとか勢力を確保できている状況だが、かなりジリ貧な状況で手持ちの回復薬を押し付けているのだが、この方面はこのままでは追加を持ってくるまでは保たないだろう。
急いで帰るつもりだがそれまで持ちこたえてくれれば御の字だと思う。
それとソウワルガに国王が居る事でその取り巻きがどんな連中か見てみたいので、休憩地としてソウワルガにより守備に着く騎士を指揮する奴がどんな奴かだけ確認して、すぐに出発する。
ナフラツからソウワルガまでは移動に2日の距離だったらしいがナフラツが粘った事で、ソウワルガがどのくらいゆとりを持って対処できる様になっているのかを見てみたい。
メリス家が不毛なナフラツに張り付くのでソウワルガ自体の戦力がどこまで確保出来るのか、それ次第でタウザンフォール経由の直通ルート開拓してもいいのかな?
さてソウワルガに移動なのだがマザーが北に動いてから魔獣達もなぜか北に動く…あいつの存在感で魔獣が逃げていたのかな?
すれ違いざまに始末してるがすぐに逃げていく。
その為すれ違う冒険者なども次々とナフラツ目指して一攫千金を狙う拠点にでもするつもりかもしれない。
戦力が増えるのはいいが補給がね…
そうこうしてるうちにソウワルガに到着。
偵察行初日の様な混乱はすでに収まりを見せて、指揮命令系統がしっかり整ってきている様に見えた。
国王がトップダウンでいろいろしているそうだ。
文句ばかりの連中はナフラツからカノマト奪還かガトチヤ行きを告げられ、ガトチヤ方面はホルドアで指示受けろって反国王派のソウワルガに来た連中をとことん飛ばしたらしいそうなると残ったのは国王の勅令の元よく動く者達が残り冒険者にも協力を仰ぎ復旧に向け動き始めていた。
その為ナフラツ方面にも冒険者の護衛をつけた補給隊が結成された様で、一先ずは安心できる状況になりそうだった。
それでもウォルターとの約束があるからもう直接クレセントまでの直通の道を開拓するつもりでタウザンフォール経由で飛ばしに飛ばした。
タウザンフォールではクロードもクロワも居なかったがあの懐かしの髪の毛長く顔を覆いまるで某映画の井戸から張って出てくる様な雰囲気を持った怖いラミア、名前はナタリーが対応してくれて、暇なドラゴンの遊び場として簡単に道作りをしてくれるそうだ。
彼女は見た目が損してるが実は優秀な秘書タイプでテキパキ仕事を采配してくれた。
だが彼女自身が隠密能力が高すぎて、本人無自覚で気づくと背後に立たれていたりと何度か悲鳴を上げそうになっていたし肉食系三姉妹もかなりびびらされていた様で改めてナタリーの凄さを実感することとなった。
そんな出来る秘書貞○ラミアのナタリーに道作りを任せ自分達は前に作られていた獣道程度の道を飛ばしに飛ばして一気にクレセントに駆け込んだ。
クレセントでは西から入ったが北門付近では材料を運んできた馬車と製品を運ぶ馬車でごった返していた。
南門からも獣人の操るリアカーがいくつか来ている様で、村の中心街は武器を失った冒険者達が新しい武器を手に入れる為に行列をなしていた。
武器の方はゴルドの弟子がフル稼働と獣人の研修生を有耶無耶に混ぜ込んでこき使いなんとかこなせているそうで、リアカー部隊も希少な素材を提供してもらっているってことで差別意識がある様な連中でも黙らせているそうだ。
どうしても獣人=奴隷って認識の連中は粋がって突っかかって来るのも居たがそこはゴルドがてめぇに売る様なもんはねぇ!帰れって!やったもんだから他から来た様なお偉いさん達も武器が無くては何も出来ず、大人しく従ったそうだ。
そんなわけだが俺達が帰って来たのが知られるとあっという間に主要な連中が集められて、店も弟子でこなせる規模まで販売量を落としての販売になったので行列はあっという間に伸びていった。
その列を見ながら現在集まったジャック、ゴルド、マーサ、オリオン騎士隊長、ホウロ支部長と話を進めた。
ここで今回カイル様やスルピーノエリア長(出世した)はレホ街から離れられないので、オリオンとホウロはそれぞれ代理で連絡員を仰せつかっているので開拓時からの知った仲で忌憚無く情報交換を行った。
こちら側からはナフラツが最前線として奪還されているが補給が持たないし、ソウワルガに国王が避難したが後方支援基地にするには混乱していて時間がかかる事、そしてコルテレットの南部街サウリカは壊滅、それにコルテレット方面にはゾンビが集まってきている。
またソルジットはカノマトで魔素が噴出し、とんでもない異形な魔獣が多数現れ、街が丸ごとダンジョンになってしまいそうなくらい居て、親玉らしいのは北に移動していた事を伝えた。
そしてこちらでは貴族の争いからレホ街とホルドア街が今後の事で歩み寄れず分裂して、補給部隊はレホ街には運がそれ以外にはもう行くことはないらしい。
やはりあの時の偉そうな貴族はこの時に反国王に動く連中と行動を起こそうとしていてカイル様は国王派だと宣言して一触即発になったそうだ。
だからこの混乱を避ける様に冒険者はクレセントまで来て体制を整えようとしているそうだ。
これはある意味好都合?
ケントの中にバラバラだった考えが繋がり始めて行った。