異世界の教師
No.2
名前:ユウ・オルセン
職業:教師
注意:異世界の教師は生徒にその世界の物事を教えるだけではない。
魔物などが出現した場合子供たちを守る役目も持っている。
♢
教師ユウ・オルセンは生徒からの人気の高さに定評がある。
教師歴6年。長年の経験から他教師からの信頼も厚い。
今日は彼の仕事を覗いてみよう。
彼の担当は『算数』。異世界とはいえ基本知識は日本とさほど変わりはない。
足し算や引き算は勿論掛け算、割り算も無論としてある。
「今日は昨日の続き、掛け算をしましょう。」
彼がそう声をかけると
「はい!」
という声を合図にして授業が始まった。
色々なパターンの式を丁寧に説明する其の姿は教師も含め皆の憧れの的であった。
「先生、ここってどうやって解くんですか?」
生徒からの質問も即座に答え、さらに応用も説明する。
この授業方法は彼の教師人生で学んだ事の賜物だった。
だが、平穏な授業は簡単に進むわけも無く——
♢
「ここの式は『3』が4個あるから—」
いつもと同じように教師ユウ・オルセンが授業をしていると、鈍い音と共に部屋にあるガラスが割れた。
割れたガラスから入ってきたのは1体の“緑鬼”と数体の“粘体種”。
平穏とした授業は、突如として混沌の渦に巻き込まれた。
「う、うわぁ! あれ“緑鬼”だ! 図鑑で見たことある!!」
1人は叫び、1人は泣き、刻一刻と沈んでいく教室で、彼は動いた。
「“緑鬼”に“粘体種”か…。比較的弱い魔物で助かった。」
そう、教師ユウ・オルセンである。彼は教師になる前、冒険者であった。
10段階ある冒険者ランクのち上から2番目のAランクに位置し、『多技の剣士』
とも呼ばれたユウ・オルセン。
そんな彼にとって“緑鬼”、“粘体種”を倒すことなど容易である。
ユウ・オルセンはどこからともなく現れた剣を手に持ち—
「使うのは久々だが…《ミリアル流剣術『白虎燕尾』》。」
と、自身の流儀と其の技名を瞬時に紡いだ。
刹那、彼の姿は忽然と消え、“緑鬼”は首が、“粘体種”は体が爆散した。
その後、彼は黙々と魔物の残骸を片付けた。
後ろにいる生徒たちは唖然とし、教室は沈黙を紡いでいた。
「ちょっとやり過ぎたか…?」
小声でユウ・オルセンがそう言うと、後ろから生徒の声が聞こえた。
其の生徒は彼を称賛した。目にも留まらぬ斬撃で魔物を瞬殺した姿はカッコ良く、気高かったと言う。
♢
こうして、彼の人気は更なる上昇を遂げた。
彼がAランク冒険者だった事は知らされておらず、教師共々にも衝撃が走った。
「まさか、こんな事になるとは…」
教師ユウ・オルセンはその日から最高の毎日を送っている。
子供達に勉学を教え、トラブルには即座に駆けつける。
彼の人気は、今後も上がり続けるだろう。




