1/5
あした世界が終わるから
タグは地雷避けで付けているので、ネタバレがあります
ふと、気持ちが途切れてしまった。
もういいや。
なげやりな心地で、わたしは隣を振り仰ぐ。
いつ見ても、整った男前だ。
「あした世界が終わるから」
いつもと変わらない一日。戦争が起きるわけでも、隕石が降るわけでもない。なんの変哲もない、ただの一日。
でも、世界はあしたで終わる。
「どうせなら楽しんだモン勝ちですよね」
けれどそんなことを知っているのは、世界中でわたしだけだろう。
「どうせ全部忘れちゃうし、最後にバカなことしません?」
「……バカなことって?」
突拍子もないことを言ったのに、彼は笑いもせずに続きを促してくれた。優しく、思慮深く、大人びたひと。だから好感を持った。
こんなバカなことを言っても、きっと彼は笑って許してくれるだろう。
もし怒って嫌われてしまったとしても、どうせあしたで世界は終わるんだし。
わたしは笑って、その一言を口にした。
それがいったい、どんな結果を生むかも知らずに。
拙いお話をお読み頂きありがとうございます
続きも読んで頂けると嬉しいです