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俺にラブコメを仕掛ける強襲型幼馴染  作者: 一葉司
終章 悠斗と倖楓
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選挙に向けて

短めです。

 朝からくたくたになりながらも午前の授業を受けきり、昼休みを迎えた。

 寝過ごしたとはいえ、倖楓は弁当の準備をしていたので昼食を調達する必要はない。

 ただ飲み物は必要なので買いに行くことになる。

 自販機は購買などとは違って混み合うこともないので、俺ひとりで2人分を買いに行くことにした。


「じゃあ買ってくるけど、何が良い?」


 自分の席で弁当箱を取り出そうとしている倖楓に聞くと、その手を止めて思案顔をする。


 昼食を取る場所は教室を選んだ。

 二学期が始まってからいつも使っていた場所を転々としてみたのだが、どこも暑い。

 唯一、周りの目がなく空調がある場所である生徒会室は、次の生徒会長が茉梨奈さんに決まるまで使えない。

 これも茉梨奈さんが生徒会長になれればの話にはなるが、あの人の対抗馬が現れるとは思えないので心配はいらないだろう。


 ということで、倖楓に寄ってくる生徒も減った今なら教室で食べてみるのもいいだろうとなった。


「ゆーくんは何にするの?」

「んー、普通にお茶かな」

「じゃあ、私も同じの!」

「わかった」


 倖楓のリクエストを聞いた俺は、財布だけを持って教室を後にした。




 ガタンと自販機が音を立ててペットボトルを排出した。

 それを取り出そうと屈んで手を伸ばしたその時、後ろから声をかけられる。


「悠斗君」


 俺は自販機からペットボトルを取り出し、上半身を起こして振り返った。


茉梨奈(まりな)さん、どうかしたんですか?」

「あら、用事が無いとあなたに話しかけちゃダメ?」

「そういうわけじゃないですけど」


 苦笑しながら俺が答えると、茉梨奈さんがクスクスと笑う。


「冗談よ」


 夏休みに茉梨奈さんの告白を断ったが、あれからも以前のように気兼ねなく話せている。

 ただ、前より茉梨奈さんが冗談を言うようになった気がする。


「そういえば、もうすぐ選挙ですね。準備は順調ですか?」

「そうね、今のところ問題はないわ。明日には告知されるんじゃないかしら?」

「前も言いましたけど、選挙中に何か手伝えることがあれば言ってくださいね」

「大丈夫よ、悠斗君にはもう十分協力して貰ってるから」

「何もしてないですけど…」

「そのうちわかるわ」


 そう言う茉梨奈さんは意味深な笑みを浮かべている。

 この人がこういう顔をすると背筋がゾクッとさせられる。


「今話してはもらえないわけですね…。わかりました」

「最近の悠斗君は物分かりが良くていいわね。これも誰かの教育の賜かしら」

「サチに育てられた覚えはありません」

「あら、私はお母様のことを言ったつもりだったのだけれど」

「………」


 無言で茉梨奈さんを睨んだが、全く気にした様子はない。

 むしろその反応が見たかったと顔に書いてある。


「十分楽しんだし、そろそろ行くわね」

「人で遊ばないでください」

「それくらい出来ないと、人の上には立てないわよ」

「さようでございますか…」

「それじゃあね」


 茉梨奈さんは手をヒラヒラさせてどこかへ去って行った。


「俺も戻らないと」


 もう1つお茶を買ってから、俺も教室へ戻ったのだった。

次回更新は日曜日になると思います。

変更があればお知らせしますので、よろしくお願いします。

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