神の教育方針計画
修羅の思惑が少し出てきます。
「お~い修羅、いいパパさんやってるか~」
と気の抜けた女性の声が聞こえる。一応今回は玄関から入ってきたらしい。
「俺は、パパでは無い。」
すぐさま俺は反論する。
「シャオちゃんまた来たよ~。」
俺の反論を無視し玄関から入ってきた女性は俺の腕に抱かれていたシャオに話しかけた。女性の服装は簡単なもので、薄黄色のTシャツに空色のジーンズという格好だ。この服は俺の世界で作られていたのもで、数百年前彼女に話したら『欲しい』とせがまれ俺の空間から数百着色違いのものを出してやった。彼女は、その服をすごく気に入り外出する時はこの服をよく着ている。
彼女の名前は『ミスラ』この世界の最高神だ。俺が赤子を連れて帰ったと他の神から聞きつけ、物凄い形相で窓をぶち破って俺の家に侵入してきた。俺が「何の用だ。」と聞くなり「この世界に全くと言っていいほど無関心だった貴方が何故!!」と俺の肩をグワン、グワン揺らすので「拾った。」とだけ答えた。
その日から事情を聞き出そうとよく俺の社兼家を襲撃してくるようになった。今回は普通に入ってきたが、毎回変な侵入をしてくるから家の修理が日課になりつつある。これほどまでミスラが俺を意識することは無かった。
この世界の神は『感情』を持ち他のものと交流し信仰を集める。しかし、『感情』によって他に有利な事は決してしない。異世界神の俺はもともと感情の喜怒哀楽がうまく出せない。その為、信仰はぼちぼちでこの世界の『神力』集めはじわじわしか集められない。『神力』とはそのまま神の力で、破壊さてた『俺の世界の重要なものと』と『それを別空間に留めること』で半分以上の力を使ってしまった。その為この『死んだ男の体』とこの世界の最高神『ミスラ』の助けが無いとこの世界に移転することは出来なっかただろう。出来ても知識だけの幽体のような存在になっていた。そして俺は留めた空間のもので新しい世界を創造しようとしている。力が全快ならちょっと無理をしてすぐにでも創り出すが、半分以下の状態で移転、その後400年経ってようやく半分まで回復出来た。そして、俺はこの世界にあまり干渉しないと決めている。この社兼家も俺の世界の技術と材料を使用している。
そんな俺が初めてこの世界のものを育てている。ミスラは俺の心境の変化が気になって最初は来たが、今ではシャオのことが気になってしょうがないらしい。そうそう、シャオが俺の事をパパと言いだしたのはミスラのせいでもある。来るときに『パパさん頑張ってる~』と言いながら入ってくるのでおそらくシャオの中では『パパ(仮名)』という名前みたいなものだろう。
「あれ~シャオちゃんもう眠いのかな~」
ミスラの声で腕に抱いていたシャオを見ると目を眠そうにパチパチしていた。
「ふぅ、寝かすか。悪い。」
「え、ええいいわよ。」
俺はミスラの返事を聞きシャオを布団に寝かしつけた。
「貴方、変わった?」
「いや、変わらんが。」
何を言い出すのだ彼女は?
「ん、いえ気のせいね。その子今後どうするの?」
「荒野で生きていけるようになったら放す。」
「わかったわ。貴方のやりたいようにして。」
「じゃ。」と言ってミスラは帰っていった。
俺は彼女の背中を見送りながらシャオの今後について考えていた。最終目的は荒野で『生きていける』ようにする事。今は読み書きと知識に重点を置き、その後体力や力を付けていけばいい。幸い魔族のシャオは成長が早い。2年もすれば荒野で生きていけるようになるだろう。その後は好きに生きていけばいい。二度と俺には合わないだろうから。
私ミスラは最近気になることがある。『武神修羅』の事だ。あれほどこの世界に一線を引いていた神が赤ん坊を連れて帰った。どこかで拾ったと適当にはぐらかされたが、あの子は魔王の子だ。一瞬見てすぐ分かった。赤ん坊なのに魔力がただ漏れしているから当たり前よ。彼は気付いて無いようだけど・・・まぁ、彼だから仕方ないわね。どこで、どんな事があって出会ったかは分からない。でも魔王の子か、あの子が彼をいい方向に変えてくれるといいのだけれど。
もう少しして数年後又は番外編になりそうです。