神の決意
ようやく本編に向けて話が動きます。
赤ん坊を社兼家に連れて来て早2ヶ月。修羅は赤ん坊の世話を無表情で淡々と行った。「ム、分かった」や「少し待て」と赤ん坊が声を出した後に答えるのが大半で、ほとんど自分から話はしない。まぁ、話したとしても赤ん坊には理解出来ないというのもあるが、赤ん坊とは一線を引いて接しているからである。
「むぅ。」
「ん?シャオまた飯か?」
赤ん坊に『シャオ』という名前だけは与えている。大きくなって呼ぶ時困るので付けた。名前を付けた時に気付いたがこの赤ん坊は女の子だった。
「ぷ、ぷぁぷ。」
「ん゛?」
「ぱぱぁ、めぇ~し!」
「・・・」
やばい、俺をパパと呼んでいる。飯は出すが注意しないとな。
「俺はパパじゃない。それに飯はやるが、一人立ちできたら俺はお前とは決別するぞ。」
「む!パパ!!パパ!!」
(決別、ダメ絶対。パパは何処にもいかないの!!)フム、たかが2ヶ月でここまで懐かれるとは・・・それに自我がもう育ち始めている。さすが魔族だけはある。
魔族は濃い魔素のあるリュート大陸に多く住んでおり、周りでは様々な魔法が跋扈している。魔族は数ヶ月でヒューマンでいう5、6歳の知識を取り込み、体を動かし遊び回る。俗に言うと『野生あふれる大自然で生き抜くため、生まれて直ぐ立ち上がる動物』のようなものである。ここで親が注意して見ておかないと誰かの魔法の的になって死んでしまう。数年経てば10代20代の容姿になり、20~30歳から老いは緩やかに始まり数百年同じ姿の者もいる。今リュート大陸で生きている魔族はそんな経験を積み生きている。多くの種族が魔族(リュート大陸に住む住民)を驚異と判断し数百年対立してきたのは、強すぎる魔法と、何年経っても変わらない姿に恐れた為だった。
俺が育てる赤子はそんな魔族の『魔王』と呼ばれた男の娘らしい。まぁ、あの女の言葉を『信じれば』だが、『俺は』信じよう。不可視で歩いていた神の俺を見、その上赤子を渡したのだからな。その奇跡を起こしたあの女に免じて、赤子を自分で生きていけるまで育ててやる。そうだ、俺を嫌いになるまでしごいてやる。そうしたら自然と俺から離れていくだろう。
修羅は改めて赤ん坊の『シャオ』から『距離を置き好意を持たれないように』と決意した。
※最後を修正しました。




