9.愛
刺さる視線を、なおざりにして抱きしめられている……。
……まさか、ほんとうに……こうくるなんて____。
もし、抱きしめられたら記憶も身体も治す……という賭けをしていた。しないと思ったのに__。僅かに残した構築の光。これは、このまま消えるはずだったのに、まさかね。
にしても、
「ながい……!」
ヴァイが抱きしめたまま離れない。ので、このまま進めようと、他の者を手招きする。ちろちろと歩いてくる。
「あの〜、これってどういう……ことです?」
まぁ、聞かれるわよねと、微苦笑する。いざとなると、言いにくい……。恥ずかしい、かも。
「……さすがに、策も無しに……。一つは………………。……懸けたのよ……」
「懸けた?君が?だれかに?」
「うるさいわねぇ__。……いいでしょう?」
やはり見つからない。探ってみるが、兄様の気配はない。選んだんだもの当然、死んでる……死んでいるはずなのだが……クローンも同じく、見つけられない。心配だ。
払った代償と残ったものは釣り合うのだろうか。果たして、償えるのだろうか……。愛する資格は残されているのだろうか。……でも、決めたのだ。決めたのだ。
「いつ離れるのよ……?あなた」
愛してみせる、全部。兄様、みんな、みんな、エミリア。愛してみせるね、すべて。いつか、いつか、話を聴いてね。
「……もっと……もっと優しくしろーーー!!!」
おわり




