桜舞い落ちるころ(男2 女1 推奨)
★風に花びらが舞うその丘で貴女はどこか遠くを見て言った。
☆「以前、読み耽った書物にフランス語でこう書かれていました。
桜の花言葉は『Ne m'oubliez pas(忘れないで)』だと。だけれど、私にはそんな烏滸がましいことは言えません」
*紅色の振袖、桃色の美しい髪、薄紅色の艶やかな口紅にほんのりと塗られた頬紅。貴女の美しさは、いつまで経っても色褪せない。
★あの春の月夜に出会った我らは、ここで終わりを告げられるだなんて誰が思っただろう。
*「さくら姫、そう言っていつも貴女は自分を卑下してしまう。悪い癖です」
★「そうです、さくら姫。貴女は出会ったときもそうして泣いていた」
*「これ以上、僕らに手を伸ばさせないでください」
★「これ以上、離れがたい存在にならないでください」
☆「この国で、桜の花言葉は『純潔、精神美』。私は名付けられたときから、そうなることを定められていたのかもしれません」
*「………っ」
★「さくら姫に、神のご加護こそあれ」
☆「……さようなら、愛しき人たち。私は、坂を下ります。」
★その美しさゆえに、神に見初められしさくら姫は。
*夜が明けてしまえば、もはや手の届かぬ場所へ。
★我らの心など塵芥。
*ただ『淡泊』に道を違える。
☆「………ほんとうは」
★「嗚咽を堪えたその喉より」
*「手が出そうになるほど貴女を愛していた」