反撃の狼煙編……間幕 新たな刺客!? 赤貧の神・シルクと牛ヌイグルミモーモーの二人旅その①
こんばんわ、楽しんでいただけましたら幸せます。
運命的すぎて世界中を祝日にしてやろうかと思ってしまいたくなるあの日のことは今でもはっきりこっきり覚えているのです。
うちが兄さまに告白されたあの日、ずっと一緒にいようと言われたあの日。
もう一度いってやるのです『ずっと一緒にいよう』なのですーっ!
嬉しさで瞳を細めて頬を真っ赤にしながら他の女が寄ってこないように兄さまの身体に全身をこすり付けながらマーキングしたあの日から始まったはずのラブストーリー。
それなのに! それなのに全く逢えないのですーっ!
うちの心はハートブレーク寸前なのです!
もうもうこの世の中の恋の類のものを全て呪ってやりたくなるほどのセンチメンタルなハートがブレークして悪神になってしまいそうな勢いなのですーっ!
なので八つ当たりなのです! ぶつけてやるのです! このイライラをぶつけてやるのです!
兄さまに逢えないス・ト・レ・ス……このドロドロネバネバストレスをてんこ盛りに乗せて眼前の奴らを睨んでやると背中に冷たい汗がドバドバ流れ出ますよーっという具合に悲愴な面持ちを浮かべてやがります!
「節操がないのです! いくらうちがプリティすぎる神様でもいきなり襲いかかってくるなんて夏祭りに飛んでいる蚊よりもタチが悪いのです」
「モーモーも同意見モー、喝上げ上等の怖い貧乏ねーちゃんと小さく可愛らしい牛のヌイグルミにいきなり襲いかかってくるなんてガウガウ族長よりも品がないモー」
襲いかかってきた大勢の変質者?どもが体験した地獄と目に映る圧倒的な劣勢の光景。
とはいえ、この変質者どもは何者なのですかーっ!?
「やはり路傍の石程度の三下では相手にもならないですな、流石は上級神である赤貧の神シルクと言ったところです」
うちの視線を涼しげに受け流すヤロー(男)が一人いるのです、辺りを見渡し溜息を吐くと無表情でこちらを見てきやがるのです。
「何処の馬の骨がわからない奴の出迎えは要らないのです! 刑事ドラマの出前のかつ丼には憧れますがおっさん達の出迎えは要らないのです!」
ここは兄さまが居ると言う学校がある街の外れっぽいペンペン草も生えてなさそうなスラム街みたいなところなのです。
うちが拾った結構良い奴である小さい牛のヌイグルミ・モーモーと共に学校に向かっている途中に襲撃っぽいものを受けてしまったのです。
「そんな顔で見つめられると惚れてしまいそうになる」
うちの前に立ちはだかるおっさん……性別は男、顔立ちはモンキーをヤンキーにしてゴリラで割ったようなペンギンなのですーっ! 全身を包み隠す薄手のコート……その下には何も着ていなければ真正の変質者なのです!
「ぷぷぷーっ、うちのストライクゾーンは兄さまだけなのです! ド変態ぽいペンギン顔魔神はとっとと尻尾を巻いてトイレに引き籠ってうんもーを詰まらせて『困った困った』と叫ぶのがお似合いなのです!」
うちの私念(疫災)が混ざった濃度の濃いはずの神気をぶつけても動じない怪しすぎるおっさん……只ものではないのですーっ!
「貧乏ねーちゃんは後ろにさがるモー、モーモーはあいつが羽織っているコートに何か嫌な予感がするモー」
うちを庇うように小さい牛のヌイグルミが前に出たのです! こいつ中々の男気なのです! 後で頭をよしよしと撫ぜてやるのです!
「ほーうこれは驚いた、もしや『赤貧の神封じ』の御符で縫われたコートの意味に気がつくとは優秀なボディガードを持っていますな」
「煩いおっさんなのですーっ! うちには兄さまをとっ捕まえてあっはんうっふん蜜月子作りライフと言う崇高な使命があるのですーっ、さっさと倒れている変質者どもを拾って怪しいホモっちバーに帰るのですーっ!」
「貧乏ねーちゃんの言うとおりモーっ、ここで退いてもられないと癇癪おこした貧乏ねーちゃんに『ほーらほーら、直火であぶってやるのですーっ』と言いながらモーモーが一口焼き肉になって貧乏ねーちゃんに喰われる恐れがあるモー! おっさんに捕まっても焼き肉になりそうな予感満載モーッ! どっちに転んでも明るい未来が見えないなら貧乏ねーちゃんの力になるモー!」
「ちっこい牛は良く言ったのです! 手早く片付けて学校に着いた暁には特別出血大サービスでうちの直属の弟にしてやるのですーっ! 大いに感謝しやがれなのです!」
「あのお方の命令は赤貧の神・シルクのみ……粗雑な作りの牛は死んでいただきましょう」
「プリティーホルスタイン風ヌイグルミなモーモーのことを馬鹿にしたモー! 許さないモー! 自称最強部族っぽいアニマルヌイグルミ族に対する侮辱モー!」
いかがでしたか?
間幕・シルクとモーモーの二人旅も少しずつ入れていきます。
今後ともかきくけ虎龍作品を宜しくお願いします。




