並行異世界編……ここは学校? 廊下って埃っぽいのですねーっ!
こんばんわ、楽しんでいただけますと幸せます!
ここは学校、そう、『たんぽぽ荘の家賃徴収人』を教育する異世界の学校。
先ほど、一年生の教室にて妖怪小豆とぎが座敷わらしに小豆を喝上げされて、御手玉の具に使われていた衝撃シーンを目の当たりにした……こんにちは僕です。
話は変わりますが綺麗な声が聞えます。
その声は音楽室と書かれたプレートが乱雑に刺された部屋から聞こえていました。
「さぁ、唱和しましょう」
「「「はい!」」」
一人暮らしのお局様が「彼と結婚できないのならもう掃除なんてしないわ!」と言いきった掃除ストライキほどに、たまりにたまった埃層が廊下一面を覆う中に響き渡る場違いに美しい声。
それは学園生活でありそうな先生と生徒のやりとりのようだ。
そんな声を聞きながら僕は永遠に続くと錯覚しそうなほど長い廊下を歩いていた。
視線の先には寝ぐせ混じりの蒼い髪を揺らして歩くパイ。
気だるそうで『あーあー、行きたくないなぁ―、働きたくないなぁ、ゴロゴロしていたいなぁ』などのサザエさん症候群のような雰囲気をまとっているぞ!
「では、唱和ーっ! 貧乏暇なし! 落ちているあんぱんは拾ったものの宝物だーい!」
「「「貧乏暇なし! 落ちているあんぱんは拾ったものの宝物だーい!」」」
「千鳥足のおじさんには親切っぽく近づいて『貴方の子が出来たの、家庭を守りたいなら慰謝料よこせ』と言いきるんだぜーい!
「「「千鳥足のおじさんには親切っぽく近づいて『貴方の子が出来たの、家庭を守りたいなら慰謝料よこせ』と言いきるんだぜい」」」
「ちくびはびーちく、ビーチでピーチク!」
「「「ちくびはびーちく、ビーチでピーチク」」」
何を唱和してんねんーっ! と僕は突っ込みたくなるが馬鹿げた言葉に反して声は真剣そのもの。
この真剣さっていったい。
「ゴホゴホ……着いた」
そんな僕の思考を断ち切るように立ち止まったパイはグッと握りしめているメスの切っ先を引き戸に向ける。
あれれ!? 決して豪奢ではない引き戸……むしろ築200年ぐらいの古家にある、開かずの扉ぐらい怪しい雰囲気がありますよーっ!?
引き戸の真ん中に藁半紙に『校長室』と墨が滲み上げたとってもへたくそな字体で書かれているではないですか!
「ゴホゴホ……ここに入る」
「即決でお断りします?」
「ゴホゴホ……ここ以外に入る場所はない。運命を切り開くため……強くなるため……そして元の世界を救うきっかけを得る為に入れ……もし入らないときは」
「入らないときは?」
「ゴホゴホ……糸ようじっぽいもので親知らずをピーピーする……手造り血飛沫噴水作ってあげる」
「そんな痛いのは全力でお断りしますよ―っ!」
「ゴホゴホ……だったら素直にはいりやがれ」
「ぷあぁ」と溜息を吐きつつ独りごちるパイ。
悪意たっぷりの気味悪い笑顔を浮かべるとひらひらと手を振りながら軽やかに僕のお尻にタイキック!
痛さも戸惑う暇も無く校長室に突っ込んでしまいましたーっ!
何処か憐憫な眼差しで見送るパイを置き去りにしながら。
いかがでしたか?
クスッと笑っていただければ嬉しいです。
今後ともかきくけ虎龍作品をよろしくお願いします。




