邂逅編……奴隷少女Aと憐憫たる御霊の想いの先に
こんばんわ、楽しんでいただけましたら幸せます!
「ぐすん……ええーい! こんな辺鄙で便秘っぽいところに隠れてやがってある! さっさとバリウム飲んで下剤を呑まされた後の「おおっ、デンジャラス」と呟きながらトイレにこもるサラリーマンのおじさんの下痢ピーの加速よりも早く牢獄から出てくるのですあるよーっ!」
綺麗な少女……そう、奴隷少女Aは瞳にいっぱい溜めた涙を見られることが恥ずかしいのか、感情をごまかすように鉄格子向こうのコウをびっくりするほどの大声で言い放つ。
そして、軽く胴の剣を振るった刹那、鉄格子が発泡スチロールのようにポキンッ!と切られ、カランカランと床に転がった。
「「「あんあんぱーん」!」」
「ふむふむ、機械帝国の大物が来たあるかーつ! あんぱん部隊は至急にご主人さまを連れ出すある! ゴールデンあんぱん部隊とハムサンド部隊はあたしと奴らを足止めするある!」
「「「あんあんぱーん!」」」
その刹那、コウを取り囲むあんぱん兵! とっても芳潤で芳ばしい香りが放ちながらのワッショイ御神輿モードで担ぎあげると鉄格子と反対側の壁をぶち破って大移動を開始する。
「うえーん、コウちゃんを連れて行かないでーっ!」
短い手足で必死にあんぱん兵の胴体にしがみつく座敷わらしのミナちゃん。
そのまま訳もわからずに御輿の如く担ぎあげられたコウと共にその場から雲隠れする。
「ご主人様が転生体でこちらの世界に囚われていたなんて気付かなかったある」
「ぎぁぁぁーっ!ちんこまでがっつりつかまないでぇぇぇーっ!」と言うコウの嬌声的な悲鳴と「「「あんあんぱーん」」」と叫びながらとんずらするあんぱん兵の後ろ姿を見送りながら小さく嘆息した奴隷少女A。
「姿形が変わってもリン殿はやっぱりリン殿でおじゃる」
不意に奴隷少女Aの背後から声がする。
無論、姿かたちはそこにはない……ただ、声だけが奴隷少女Aに語りかける。
「誰かと思えば、先の大戦で不覚をとって囚われて捕虜になってしまったあげく、研究対象の被験神として生きたまま肉体を解剖されて完全消滅したはずのスコーピオンキング・極丸あるか。魂だけになってもご主人様を身近に感じたいなんて贅沢すぎるあるよ!」
「奴隷少女A殿の言われる通りでおじゃる。 麻呂は運が良いでおじゃる……もう二度とキミたちに邂逅できないと思っていたでおじゃるから」
極丸の透き通るような声は何処か悲しみを含んでいる、無念で苦しくて……そして、胸が張り裂けそうなほど申し訳ない気持ちが溢れて。
「そうあるね……スコーピオンキング・極丸の声が聞えるなんて……もしかして最悪の展開が待ち受けている予感がするあると乙女の第六感がピンピンに告げてくるある」
「第六感は的確でおじゃるな……すまないでおじゃる……もう、麻呂の肉体は細胞レベルまで研究材料として機械帝国の尖兵に組み込まれてしまい、どうすることもできないでおじゃる……だから、せめて麻呂の本体がくるまでに逃げる出おじゃる、今すぐにここから逃げるでおじゃる!」
「なるほどある……まだ大物の尖兵にお目にかかったことはないあるが、その尖兵のエネルギー源は囚われし高位の御霊と言う噂がある。神々の御霊をエネルギー源にして生前よりもパワーアップした機械帝国のボディに宿して(拘束して)世界を蹂躙しているのあるか」
それなりに懐かしい者と会話ができたことに内心では小さな喜びを感じてしまっていた奴隷少女Aだが、悲痛とも言える極丸の言葉の意味に鞘におさめられていない銅の剣の切っ先を機械帝国の尖兵……そう、極丸の意志を感じる方向に向ける。
「しかたがないある! とっても情け深いあたしからのド級のプレゼント、その身体を銅の剣の錆にしてあげるある! まさしく武士の情け風味あるよ……スコーピオンキング・極丸! 感謝しすぎて成仏してあたしとご主人さまの結婚を後押しするあるよ! 共にご主人様に好意を抱いていた仲間の御霊を解放してあげるあるよ」
奴隷少女Aは苦笑しながら一歩前に出る。
その先に機械帝国の強大な力を持つ尖兵が接近しつつあった。
いかがでしたか?
次回は第二章の初めての戦闘の予定です。
そして、そろそろコメディ要素をしっかりと組み込んでいきますので、あたたかく見守っていただきましたら嬉しいです。
今後ともかきくけ虎龍の作品をよろしくお願い致します!




