腐敗の世界編……男の娘の乳首はきれいですねーっ!……って、ミヒロさーん、それって違うでしょう!
こんばんわ、楽しんでいただけましたら幸せます!
「はじめまして、たんぽぽ荘の徴収人様……そして、さようなら」
「あっ、ぐぶぅぅ」
あきらかな挑発の声が聞えた刹那、心臓に一突きされ地面に崩れ落ちる極丸。
噴き上がる鮮血! 鉄格子っぽい檻の中でぽかんとしたしまった僕とは裏腹に残虐無比な光を瞳に宿したミヒロさんは危険を感じ取る嗅覚が働いたように謎の女性と距離をとる。
「すごーい隠匿技術ですね……あのスコーピオンキングの極丸ちゃんを一撃で狩るなんて」
ほんわかした声とは別物の覇気(神気)を纏うミヒロさんを「なかなかのものですね」と興味津津といった具合で感心した女性は子供染みた幼さを残した笑みを浮かべて唇に人差し指をあてた。
「お兄様はそこの特異点に話があるのそうです……もし、邪魔だてするならば……」
腕から垂れ流れる鮮血の雫をペロリと舐めた女性、胸元に六年二組マイコちゃんと刺しゅうしてあるところみると……もしや、名前はマイコと言うのでは!?
「極丸ちゃんのことは心配しないでよいですよ」
「心配もなにも身体貫かれて血がビューッって出ていますよ!」
「ほら、極丸ちゃんのことが心配なら服がしっかりはだけている極丸ちゃんの乳首をしっかり見て……ほらほら」
「は、はい」
「リンちゃん、しっかり見たかな?」
「し、しっかり見ました」
「きゃぁーっ、リンちゃんとスケベ! 綺麗なピーチクに興奮だなんてやっぱり男の子なのね……というか極丸ちゃんもお・と・こ・の・こ……うっひゃーBL魂がもえたぎるーっ!」
「ミヒロさーん、馬鹿ですかーっ!? そんな発想ができるなんて、もうBL魂どころか全て燃え尽きてしまえぇぇぇーっ!」
「うふふ、お姉さんにやきもちかなぁ」
「何をいっているのですかーっ!? 極丸さんが殺されたのに!」
「まだまだ未成熟の果実だね、そんなウブなところも食べてみたいなぁじゅるるるーっ」
「ミヒロ殿……リン殿に手を出すのは協定違反でおじゃる」
「あらあら、擬態があっさりやられちゃったからって実態をみせていいのかな」
「アラハ様勅令の家賃回収のためなら背に腹はかえられんでおじゃる」
殺気だつミヒロさんを『忌々しい奴でおじゃる』と言いながら詰め寄るように小さなサソリ眉をしかめながら極丸さんの姿に変わっていく。
「とっとと家賃600年分を差し出せば麻呂への危険極まりない交尾……いやいや行為は腕一本程度で水に流してやるでおじゃる」
「そうですね、家賃を回収しないと御給金がでないのでこまるのですよ。地上は機械帝国なんて美的感覚のない野蛮な奴らがあらしていますのでアルバイトができない……ううっ、ミスタードーナックでドーナツあげながらつまみ食いすることが当座の目標でしたのに、職業選択の自由なんてなくなってしまったのですよーっ!」
ミヒロさんと極丸さんが破壊行動バッチコイオーラ全開で胸元の刺繍にマイコと縫われた女性と衝突しようとした刹那、僕の周囲を取り巻く空間が渦巻きを起こす。
驚きに声をあげる余裕もない。
バランス感覚が崩壊、酔っ払いの千鳥足以上に酩酊したような錯覚にただ目を瞑る。
「ごめんね、無理矢理呼びこんで、少し気分が悪くなったことは許してほしい……この世界に干渉しようとする特異点君」
そんな声が聞える……いや、脳に響くといったほうが正しい。
やがて目じりに涙をためながら僕はゆっくりと目をあける。
そこは僕のシルクがたんぽぽ荘で居候している管理人室のような質素な部屋。
そして、めんどくさそうに布団にくるまった物体が一つほど部屋の真ん中に鎮座しているのであった。
いかがでしたか?
次話で『こちら陽気なたんぽぽ荘~大家と店子の家賃戦争~』第一部が終了します。
そして、色々な真相がわかり始める二部がはじまります。
出たとこ勝負のコメディですので厳しい突っ込みはご勘弁を(笑)
今後ともかきくけ虎龍の作品をよろしくお願いします!




