機械帝国編……ええぇぇぇぇーっ、シルクの子供ですってーっ、その名はキヌ
こんばんわ、楽しんでいただけましたら幸せます。
それはまるで血と死肉の香りが充満する死神用トラップのようでした。
拝殿の内周や外周に横たわる人・人・妖怪……ただ、その横たわる姿が千差万別、自衛隊員や異世界の戦士、大きな角が折れた鬼人や小豆を無くした小豆とぎ。
もう、小豆とぎの悲愴な相貌はシルクの隠していたチョコレートをこっそり食べたあの日の相貌のように陰鬱だ。
昼間であるのにとっても薄暗い雰囲気。
拝殿の広さは縦横ともに15メートルほど、式神だろうか七五三の雛人形のような小さな女の子が負傷した者たちの傷の手当に奔走している。
「リン殿……これが今の現実なのです」
「……何がどうなったの」
混乱しそうな僕の横でうんうんと頷く少女……うーん、どことなく馬鹿で騙されやすいところがシルクに似ているような……。
「この世界は三つの世界が混ざり合ってしまったのです」
ご利益ありそうな黄色のタオルを口元に当てながら招き猫着ぐるみの神が拝殿に足を踏み入れた僕に向かって振り向く。
「三つの世界?」
「そうです……我らが守護していた地球、その地球に並列していた異世界が50年前に出現、そして三十年前に今の混乱の現況である地獄が現世とつながったのです」
「そこのバカ猫の言うとおり、そうなのです! 繋がりすぎてズッキュンバッキュンミックスジュースよりも血肉ナマナマミックスホルモン定食してしまったのです!」
「やっぱり……このボケパターンは覚えがあるぞ」
「ボケとは失礼な奴なのです! ボケと言った奴がボケなのです! わたしはお母様持込でオツムは賢い奴なのです、フンス!」
「その残念なお母さんに仕込まれた残念少女か」
「シルクお母さんは残念なお母さんじゃないのです! 少しばかり変わり者ですがとってもキヌに……そう、わたしに優しいお母様なのです!」
「シ、シルク!?」
暫定的にそうなのかな? 程度は思っていたが……心が動揺して震度MAXで倒壊しちゃうきがするぅぅぅーっ!
「そうなのです! どこぞかに出て行ったきり帰ってこなくなった浮気者の馬鹿お父ちゃんが帰ってくると最後まで信じてまだまだ最前線のたんぽぽ荘で戦っているのです!」
僕は息を呑む……むしろ、お酒でも飲みたい気分です……はい。
シルクの子供とか言い張っちゃっているキヌは頬を引きつらせてとっても不機嫌そうに睨めつけてくる。
「キヌ、その馬鹿お父ちゃんの名前は?」
「うひゃぁぁぁーっ、いきなり呼び捨てなのです! うむむ、よく見れば兄さまぐらいいい男なのです! もう、呼び捨てした責任をとってわたしと結婚を前提に枝豆栽培をはじめるのです、そして、大儲けするのです!」
「はいはい、それで、馬鹿お父さんの名前は?」
「このすっとこどっこい! はいは一度でいいのですーっ! まったく、最近の若者は心までもやしっ子なのです! もやしっ子過ぎて燃やしてやりたいのです、もやしに燃やし……クスクス、中々良い出来なのです……ムフフ」
「このどす黒さは間違いなくシルクの子供だぞーっ!?」
「あのぉーっ、リン殿、そろそろ、説明よいですか……」
招き猫ファッションの諧謔的すぎる外見の可愛らしい印象の神様は毒気づいている少女とあたふたしつつある僕を見つめて「はあぁぁぁーっ」とため息を吐くのであった
いかがでしたか?
ついにシルクの子供が登場!? そして、リン君の心情はいかに!?
皆様のご声援が執筆のエネルギーになります。
今後ともかきくけ虎龍作品をよろしくお願いします。




