44/44
エピローグ
小雨が降りしきる新宿歌舞伎町の寒空の下、空腹と寒さが身体に染み渡る。私は、いつもの巡回ルートの中で、優理とガードパイプに寄りかかりながら、少年少女たちの動向を観察していた。時間は18時頃、もう4月だというのに今日の気温は一桁台。堪える寒さだった。ふと、こんな事が前にもあった気がして強いデジャヴを感じた。それは優理と初めて出会った日のことだったとふと思い出す。そういえば、凡そ10年前のあの日も小雨が降っていて4月なのに寒かった。お金もなく極度の空腹と疲労と地獄の様な孤独感に苛まれていたことが、つい昨日の事のように思い出し感じることができた。
でも今は違う。そばに優理がいる。そして左手薬指で仄かに光る指輪に触れる。家に帰れば、浩くんが居る。
「ハナちゃん。あの子、また来てるね。」
「そうだね。ちょっと声を掛けてみよっか。」
優理の方を振り向くと、彼女と自然に目が合った。そして同時に小さく頷くと、新宿歌舞伎町のネオンに照らされた煌びやかな寒空の下、二人で一緒に一歩を踏み出した。




