10、私たちの休日
土曜日はいつも家の掃除や、たまった片付けをする。日曜日はナンシーと出かけることが多い。店は土日休みが多いけど、隔週で開けてるところもある。
今度の日曜もナンシーと買い物に出かけることにした。
日曜になって、二人で街の洋服屋さんに行った。服装のことを言われたのもあるし、スカートを破きたくないから、ズボンをはくことにした。
何着か試着すると、ナンシーに見てもらった。とりあえず二着買った。以前の二日分の稼ぎ、五〇ルトが飛んでいった! でもこれは仕事着なので、経費にする。
「やっぱり、逃げられないと危ないもんね」
「そうだね」
スカートは動きにくいから、これで良かった。
店を出て稼ぎのことを考えていた。昨日までに私は、六七六ルト稼いだ。派遣の一か月分の稼ぎを三日で超えてしまった……。すごいことだけど、年間金貨一枚以上稼ぐと税金がかかるのだ。派遣のペースだと、銀貨六枚だったけどこのままだと超える……。うれしいけど、子供寮の家賃も収入によって増えるのだ。
ルイスは私の倍稼いでいるから、税金が莫大になるかも! 言っておかないと。
今のところルイスが使ったのは、魔法袋の金貨一枚の三分の二だけだけど、換金から引いてもらってるから経費にする必要がない。
聖剣があるから装備が今のところ要らない。まだ始めたばかりだから先のことは分からないけど、必要なものがあればお金は使っていったほうがいいよな。
ナンシーが聞いてきた。
「どうしたの? 難しい顔して」
「ああ、税金のことを考えていたの。このままだと払うことになりそうだから」
「そっか! 冒険者は儲かるもんね」
「ナンシーはどう?」
「私は、ジョンソンさんと金貨一枚未満で契約してるの。そのほうが寮費が安いし、私もそんなに使わないから、一八歳までは見習いとして働くことになってる」
「さすが、ジョンソンさん」
「うん」
そうだ、リュックも買わなきゃ。
「カバン屋に寄っていい?」
「いいよ」
カバン屋に行って、小ぶりのリュックを調達した。魔法袋があるから大きいものはいらない。その後は、昼ご飯を食べて、食料の買い出しをして帰路についた。
今日のご飯は私の家でナンシーと作る。日曜の夜は交互にお互いの家で食べるのが、休日の楽しみだ。たまに土曜からお泊り会もしたりする。
そういえば、ルイスは休みの日は何をしているんだろう。ちょっと気になった。
「ルイスもご飯に誘わない?」
「いいよ。一緒に作るところからやろうよ」
「いいね」
寮に帰るとルイスの部屋に先に寄った。ノックをする。
「ルイス、ユミとナンシーだよ」
ドアが開いた。ルイスは目をしょぼしょぼさせていた。寝ていたみたいだ。
「私の部屋で夕飯を作って食べるから。一緒にやらない?」
「うん」
「じゃあ、三〇分後に来てね。パンと、椅子が二つしかないから、椅子とテーブルも持ってきてね」
「分かった」
私とナンシーも部屋に帰った。
三〇分後に二人が来て、料理をスタートさせた。ルイスが緊張して言った。
「俺、料理したことないんだ。だから、教えてほしい」
「そうなんだ」
「今まではどうしてたの?」
ナンシーがルイスに聞いた。
「目玉焼きとか、缶詰のスープとか簡単なものを作ったり、温めたりして食べてた」
「なるほど」
私が納得した。
「今日のレシピを書いて渡すね」
「ありがとう」
ナンシーが言うと、ルイスはうれしそうにお礼を言った。ナンシーは料理が上手だ。私も教えてもらっている。
ルイスに材料を切らせると、確かに怪しい手つきだった……。ナンシーが手の置き方を教える。
「指を曲げて猫の手にして、押さえるんだよ」
「うん、分かった」
同じ刃物でも、聖剣のようにはいかないんだな……。
今日はグラタンとサラダと、ジョンソンパンだ。小さいテーブルを二つ引っつけるとちょうど良かった。三人で座って、手を合わせる。
『いただきます!』
三人で食べるのはすごく楽しかった。ルイスに税金の話をした。
「考えてなかった!」
「まだ先だけどね」
「うん。これからいろいろ要るかもしれないね。そうでなくてもあまり使わないから、税金の支払いには困らないと思う」
「さすがだね」
ナンシーが褒めた。ルイスは聖剣のことを話してくれた。
「実は、剣は遊びでしかやったことがないんだ」
「そうなんだ! でも、動きはスムーズだよ」
「聖剣の言う通りに動いている感じ」
「へ~」
「だから家で練習しているんだ」
「そっか、えらいね」
休みの日も鍛錬していたんだ!
「でも、部屋だと狭いよね」
「そうだね。大きい動きのときはゆっくり動いたり、家具を壊さないように注意してる。あとはダンジョンで実践するしかないな」
「ダンジョンは広いからいいよね」
ナンシーが言ったので、私は思い出した。
「そういえば、協会でダンジョンツアーをやってるよ。一層目だけで、透明石を持って入るから安全だよ」
「へ~、そんなこともやってるんだね」
「うん」
中と外の掲示板にポスターが貼ってあった。透明石はモンスターから見えなくなる魔法石だ。職員の人も持って入るので、ダンジョン内でスムーズに行動できる。
「参加費は十ルトだったかな。お土産がつくよ。モンスターを倒せば、魔鉱石が取れるから参加費は無料になって、お土産もバージョンアップするらしい」
モンスターからは見えないから、簡単に倒せる。でも、攻撃すると気づかれるので一発で仕留めないとダメとのこと。魔法石は協会に渡さないといけない。ナンシーは興味を示した。
「おもしろそう! お土産は何だろう。アイテムかな。バターだといいね」
「うん。秘密かもしれないけど、今度聞いてみるね」
ご飯を食べ終わると三人で片付けをした。
「少し休憩してからお風呂に行こう」
「うん」
今日はお風呂に入れる日だ。お風呂は共同浴室で週三日、日、水、金曜日に入れる。時間は、十八時から二一時までだ。一度に十人ぐらいまでは入れる。
ナンシーが提案した。
「また、休みの日に三人で食べようよ」
「うん」
「そうしよう! ルイスに料理を教えてあげるよ」
「ありがとう」
ルイスも同意して喜んでいた。ルイスに、休みの日はどうしていたのか聞いてみた。
「談話室で、他の子たちと話したよ」
「そうなんだ!」
「みんなの出身地の話を聞いたんだ。いろんな話が聞けておもしろかったよ。今度遊びに行こうって、話になった」
「みんなと仲良くなったんだ! 良かったね」
「うん」
ルイスは穏やかだから、友達付き合いが上手そう。私たちは、胃が落ち着くまでおしゃべりをして解散した。
ナンシーと一階の浴室に向かった。ナンシーが笑顔で言った。
「今日は楽しかったね」
「うん!」
休みは本当にリフレッシュできた。明日からまた頑張ろう!




