影の被害
遺跡までの道は影の尖兵が多くいて近づくまでに
時間がかかってしまった。
ペリーエ港には多くの船が停泊する。
その中には他国の貿易商の船も多数あった。
最近ではそう言った商人からの被害も多数報告さ
れているらしかった。
「やっぱりティターニア様はお優しいですわ」
ルシアは当たり前の様に言う。
『こうやって被害が大きくなる前に自ら騎士団
を率いて討伐に動くのですもの。』
と嬉々として話している。
「そうね、最初は驚いたけど、ルシア様もとっ
ってもいい人なのね、ティターニア様をすっ
ごく慕っているのが分かるわ」
ビオーナはルシアの側で嬉しそうに会話をして
いた。
そんな会話をしながらも、危険が近づくとすぐ
に戦闘態勢に入るところはさすが元傭兵だと思
える。
そういえば、まだ登場していない攻略対象がい
たのを思い出す。
隠しキャラとしてシークレット扱いだった男。
それは港を中心に活動している商人の息子で
多くの積荷を捌いていて、後半でしか会う事
ができない為、そもそも攻略には周回しない
と出会う選択肢すら出ないというキャラだっ
たはずだ。
「後で探してみるのもいいかしらね……」
「どうかなさいましたか?」
「いえ、なんでもないわ。ガゼル様が帰って
きましたわ」
「そうですね。先を急ぎましょう。日が暮れ
ると危険ですから」
ビオーナに促されるまま先へと進んだのだっ
た。
インテルズ川の奥地へと向かった時と似てい
た。
そんな印象を受けたのは、魔物が凶暴化して
いたのと、体を覆うモヤの様な影が影響して
いた。
今は調査団がついているわけではない。
ティターニア皇女の命で動いている。
最近よく出るという魔物と黒い影。
それは今まさに目の前にいる影の尖兵の事だ
ろう。
どこの国でも多く見られる彼らはどこから来
てどこに向かっているのか?
それは誰にもわからなかった。
ガゼル達率いる黒の騎士団が辿りついた場所
は昔の遺跡の様な場所だった。
奥から嫌な気配がする。
「危ないので、前には出ないでください」
ガゼルが言うと、皆周りを警戒する。
そして、目の前には獰猛な獣の姿の影が現れ
たのだった。
見た目豹の様な、しなやかで大きな身体。
鋭い爪と牙。
飛びかかってはすぐに後ずさる狡猾さ。
あきらかに今まで見て来た影とは全く違って
いた。
まるで強化された感じがした。
と言うことは、祭壇が近い事を表していた。
騎士団が対峙している間にティターニアは周
りを観察した。
ここで一番怪しいのは……。
あきらかに見て分かるくらいにまだ何かいる
気配がする。
あの奥にきっとアレがあるはず…。
まずは目の前の影と対峙するガゼルを見守り
ながらじっと見ている事しかできなかった。
さすがはガゼル卿と言うべきだろうか。
部下に怪我人は出たものの、あっという間に
倒してしまったのだ。
そのまま奥へと足を進める事となったのだった。




