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調査団の見解

騎士団の遠征も無事終わりを告げると、各騎士団

に同行していた調査団の結果報告が行われた。


多くの情報を持ち帰ったのは黒の騎士団について

行った調査団で、戦闘データは皇女から提供され

た物が使われた。


今までの動きと違い、しっかり意思がある戦い方

だった。


ただ飛びつくだけで、とにかく引く事をしないと

言うのが当初の見解だったが、今回の影の尖兵は

避けもするし、距離を取る事も見て取れた。


今までと違うのは、まだ取り憑かれた魔物に意思

があると言う事だった。


それは極めて危険な事だった。


死んで影になったのなら動きは単調だが、死んで

居ない場合は動きが複雑になるのだ。


しかも影に取り込まれている分、力が跳ね上がっ

ているように感じる。


「これは厄介な事ですな」

「それに、こちらの遺骨ですが……」


一人が骨を砕くと、ゆっくり戻っていくのが分かる。


もう死んでいるのに、まだ生きていた時の記憶をも

っているとでも言うのだろうか?


「これは……実に興味深い事ですな」

「確かに……発見が早くてよかったですな」

「被害者には悪いが、非検体の血液は採取しなかっ

 たのか?」

「いえ、それが……」

「なんと!全員が完治していると言うのか!それは

 素晴らしい成果だ。誰の指示だ?」

「ガゼル卿?それは黒の騎士団長かね?」


学者達は非検体の血液が採取できなかった事を残念

がったが、被害を食い止める事に成功した事には、

高く評価していた。


「しかし、黒死病はヒールでは治せないと聞いてい

 たが、違っていたのか?」

「それがですね……浄化も同時にかけると治ったそ

 うです」

「それは聖女候補だけが使えるハイヒールではなく

 て、ただのヒールなのか?」

「はい、そのように報告が上がっています」


四肢が黒く染まっていく黒死病。

これの対応策はほとんどなく、これまではただ死を

待つかまとめて生きたまま焼くと言う方法が取られ

てきた。

一部だけなら、切断という方法も取られていたほど

だった。


それがここへ来て、治せると言う話が持ち上がった

のだ。


白の騎士団も、これまで見て見ぬふりをしてきただ

けに、今回の黒の騎士団がやった事は、今までにな

い、功績と言えた。


それだけじゃない。

乗っ取られる過程の影の尖兵を倒して、骨や魔石、

あらゆる物を持ち帰れたのだ。


それらによると、影の尖兵に犯された魔物がイン

テルズ川の奥地に住む魔物である事がわかった。


インテルズ川は国境を超えた隣国に面している土

地だ。


隣国でも影の尖兵に悩まされている現状は変わら

なかった。


お互い同盟を組み、力を合わせる事も多々あった。


「インテルズ川の方面にも調査団を送っておきた

 いところですな」

「それなら、黒の騎士団に任せてみてはどうです

 かな?」

「それはいい、使い捨ての駒としては、いい働き

 をしますからな」

「お待ちください。白の騎士団に任せてみるのは

 どうでしょう?今回の勲章もありますし」

「謹慎中では?」

「それはそうですが…謹慎中なら調査に行っても

 おかしくないのでは?」


利権がからなんでくる問題なので、どちらも一歩

も引かない。


調査に行くだけなら誰でもいい。

それに同行する騎士団など、誰でもいいのだ。


ただ、もしここで多くの功績を上げてしまうと、

黒の騎士団を厄介に思っている一部の学者は、

それを阻止しようと考えてもおかしくはなかっ

た。



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