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真実と報告 5

国民放送が終わろうかとしている頃、丁度王都へ

と帰還を果たしたガゼル一行が目にしたのは、広

場に集まる人だかりと、その頭上に代々的に広が

っている大広間の様子だった。


紅い絨毯の上に正装の騎士団が並び、その中央で

は授与式が行われていた。


シグルドの胸に光るブローチは多分、先ほど陛下

から授与された物だろう。


だが、それは爵位を示す物で、確かシグルドは侯

爵だったはずだ。

なのに、今胸にあるのは公爵が授与される物だっ

たのだ。


「ガゼル様……あれは一体……」

「またかっ……」


ビオーナの言葉に、ガゼルは拳を握りしめると悔

しそうに画面を睨みつけた。


「シグルド・ヴォルフ卿が手柄をたてたと言う事

 かしら?でも、私達だって負けてないわ」


そう、なんでも影の尖兵の死体を検分できうる素

材を手に入れたのだから。


これがあれば、きっと物語りでは語られていない

事実が分かるかもしれない。

そう思うとティターニアは堂々と騎士団と一緒に

帰還したのだった。


王城の門番の前まで来ると、すぐに迎え入れられ

たのだった。


「皇女様、今日までお疲れ様でした」

「え?」


頭を下げる黒の騎士団一同に目を丸くすると同時

に、父である陛下が出迎えに来ていた。


「帰ったか……ティターニア。無事で何よりだ」

「お父様……いえ、皇帝陛下…」

「いい、ここではお前の父として来たんだ。それ

 と……黒の騎士団、団長ガゼル・トート!お前

 を皇女の帰還が遅れた罰として拘束する。連れ

 ていけ!」

「なっ!待ってくださいっ……」


黙って従うガゼルに、周りの騎士団員も何も言え

なかった。




彼らが帰ってくる前に、どうして団長の帰還が遅

れたのかを、早く帰宅した団員に聞き取り調査が

白の騎士団員によって行われていた。


そこで皇女が倒れたせいだとわかり、その報告が

上げられていたのだった。


重大な功績をあげたと同時に、皇女への仕打ち。

これが相殺されるどころか、罰という形で顕にな

ったのだった。


一時独房へと入れられたガゼルを心配したティタ

ーニアは直談判しに、陛下の部屋の前で待つ事に

したのだった。


すぐに中に入れたのだが、話を聞こうとはしなか

った。


「お父様!一体どう言う事ですか!なぜガゼル様

 にあのような仕打ちをしているのですか!お答

 えください」

「ティターニア、我が娘の安全が一番なんだ。そ

 れを脅かした罪だ」

「なぜ、そうなるのですか?ならなぜ神殿の者を

 同行させなかったのですか!」

「……先に帰したのだろう?」

「何を言って……一人も今回の遠征には同行して  

 おりませんわ」


回復を得意とする神殿から派遣される見習い聖女。

それは遠征には必ず同行するようにとなっていた。


だが、実際には一人も来ていない。


もし、一人でもいたのなら魔力枯渇だったティター

ニアをすぐに回復させられただろう。


だが、陛下の元には、人員の中に居たと報告されて

いたのだった。


「居ませんわ!誰も居ませんでしたわ!私の言葉が

 信じられないのですか?」

「だが、実際に酷い目にあってすぐには帰還できな 

 かったと報告が上がっていたのだぞ?」

「誰がそんな事を?なら、この映像をしっかり見て

 下さい。重要な手掛かりになりますわ」


ティターニアが出したのは、映像を記憶する魔石だ

った。

小遣いで買ったらしく、この度の遠征の成果が記録

されていた。


影の尖兵との戦いから、泉の浄化。

回復魔法で感謝する村人達。

誰一人、死なせていない事実。


それら全てを裏付ける証拠だった。

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