04 事実と真実 ※謎解き
「節子さんは娘の婚約披露を建前にして、目的達成のために必要な被害者、目撃者、犯人役の招待客をトライデント城に集めるのに成功しました。連続殺人の舞台に人里離れた古城の祝宴を選んだ訳合いは、貴女の生まれ育った地元であり、市警察の署長にも顔が効くからです」
節子の出身地は聞いていないが、娘の彩子が幼い頃に『呪いの滝』の戒めを母親から聞いていれば、政信に蓼科出身の虎吉を運転手に勧めているのだから、ここが彼女の地元だったと考えられる。
政信が英国から古城を移築したとき、物資の輸送や人足などで地元経済に貢献すると話題になっており、それも資産家だった節子の実家が首唱していたならば、ここでの主導権は妻にあった。
政信は高平家が議員歳費だけで立ち行かなくなり、資産家の娘だった節子と結婚したと言うのだから、この立派な古城の移築には、妻の実家が援助していたとわかる。
そこに気付けば署長の貞治が十年前の事故も、現在の事件も、高平家の厄介事に特段の配慮をしているのが、外様の政信ではなく、地元の令嬢だった節子だと疑えた。
もともと警察は廃藩置県により、それまで諸藩の藩兵に変わって各自治体の治安維持に設置されたものの、邏卒には武芸に長けた領地の士族が多く採用されており、署長が高島藩の士族の出自であれば、仕える相手が誰だったのか理解できる。
「第一の犯行は、もう説明不要だと思いますが、黄金銃の暴発事故を装った貴女の犯行です」
節子が黄金銃を書棚に隠して兼久に受け渡すと、自室に戻ってその時を待っていた。
彼女は深夜0時を回ってしばらく、隣室の執務室から爆発音が聞こえると、何食わぬ顔で部屋に飛び込んで、兼久が息を引き取ったのを確認する。
夫人は拳銃の暴発で兼久が亡くなったと知るや、中央塔の吹抜け階段で悲鳴をあげて、寝入りしなの招待客を急いで玄関ホールに集めた。
政信の殺害を企んでいたのが兼久だったと、予告状の存在を知る者に周知させるためだ。
「貴女の目的は長男の和政に家督を継がせることであり、犯行は邪魔者の排除です。兼久は妻の転落死に政信の関与を疑って、政界からの追放を画策していました。世襲が常の貴族院と言えども互選があり、政信氏が不祥事で議席を失えば長男が取戻すのも難しい。貴女は長男の将来を案じて、先んじて憂患を除いたのでしょう」
しかし政信の失脚を狙っていた兼久が消えたとしても、実業家の良夫に師事して、商売人を志していた和政が心変わりするだろうか。
政信にトライデント城の購入を持ちかけていた実業家が銃殺された訳合いは、屋敷の売買や投資話の揉め事ではなく、彼の死を以て長男との関係を断つことにあった。
そもそも和政が商いに興味を抱いたのは、高平家の屋敷や敷地の売却を当て込んだ観光開発を計画した良夫が、長男に取り入ったことがきっかけであろう。
将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。
私が一日目の夜、長男の和政に語った良夫の第一印象である。
良夫は売買契約に首を縦に振らない政信との交渉のために、長男を懐柔して抱き込んでいたのだろう。
節子にしてみれば、自らの利益のために近付いてきた実業家は、息子を口八丁手八丁で唆している詐欺師に他ならなかった。
「良夫の殺害は、それほど難しくありません。屋敷に残った者のアリバイが曖昧なとき、盗み出していた残りの弾丸を犯行に用いることで、政信の命を狙った兼久の共犯者の存在が疑われる。警察は、貴女が夫や兼久を殺す訳合いがわからないので、飯田大善から株式を譲られていた朱美さんを疑った。大善と朱美さんが知り合ったのが城の落成式であり、その場には貴女も同席していたのだから、その事実を知り得たと考えています。もっとも貴女と朱美さんは華族会の夫人同士で親交も深かく、彼女の事情を色々と心得て招待したでしょう。なぜなら榊原夫妻は、犯人役をとして招待していたからです」
第一の事件の現場検証が終わって邸内に残っていた警察は、節子に阿る署長の貞治と部下の岩壁だけであり、良夫が一人で自室にいれば、彼女は好機と考えて切妻屋根の足場に立った。
夫人は実業家のベランダに通じる掃出し窓に小石でもぶつけて誘い出すと、まんまと出てきた彼を至近距離から銃殺した。
彼女は犯行後、中央塔の吹抜け階段を駆け下りて、銃声を聞いて第二の事件を疑った者が集まるだろう玄関ホールに先回りで逃げ込んだ。
犯行当時は朝から銃声が聞こえていれば、銃声の直後に第二の犯行を疑って部屋を飛び出す者もいなかったし、兼久の事件があったばかりの私たちは、よもや良夫が殺害されたと気付かず犯行発覚までの時間も稼げた。
また夫人が階段を下りるところを誰かに目撃されても、私室から厨房に向かうところだったと恍けることができる。
犯人が何処から狙ったのかわからなければ、それで充分にアリバイを主張できると踏んだ。
「殺害動機もアリバイも貴女を疑う決め手がないのだから、第二の犯行は成功したかに思えた。しかし取調室を後にした貞治は、貴女が拳銃を構えた切妻屋根の足場が見える屋上にいた。署長さんは高平家……いいえ、貴女の犯行を見逃してくれるかもしれないが、言い逃れできない犯行を目撃されたのは誤算だったはずです。そもそも署長さんに与えられた配役は、事件の目撃者であっても、犯行の目撃者ではなかったわけです」
良夫殺害の現場に立ち会った貞治は、中央塔の吹抜け階段を駆け下りる節子を目撃しているものの、夫人が玄関ホールから階段を見上げて人差し指を唇に当てると、その事実に目を瞑っている。
署長は銃声を聞いたとき、節子が玄関ホールにいたとアリバイを偽証した。
彼が彼女のアリバイを偽証したのが、その後の展開で悪手だったのは明らかである。
犯人が実業家を狙撃したのが屋上と特定されれば、署長自身も容疑者となり、夫人が逮捕されてアリバイの偽証が暴露されたら共犯者だ。
ゆえに署長は、強引な見立てで狙撃場所を撹乱したり、榊原夫妻の犯行を疑ったり、事件の真相をはぐらかす言動に注力するようになる。
署長は私や岩壁が事件の核心に近付かないように、思いつく限りの可能性を吹聴していた。
真犯人が代役に用意した朱美を露骨に陥れる彼は、ついに部下の岩壁に真犯人を疑われるまでに至っている。
やり過ぎとも言える素人演技を披露する大根役者には、台本の書き直しを余儀なくされた夫人も頭を痛めただろう。
「兼久と良夫を殺害した節子さんですが、自分に阿る貞治まで手にかける必要がなかった。なぜなら署長さんは十年前、貴女が夫を唆して大坪田夫妻を呪いの滝を見に行くように仕向けているが、その事実を握り潰している。貴子の転落死は事故に違いないとしても、土地勘のなかった政信氏の仕業でなければ、誰が大坪田夫妻を危険な崖に向かうように仕向けたのか? 貴女は当時、妾腹の息子の存在を知らなかったので、そこに強い殺意があったのかわからないが、夫が気掛かりにしていた大坪田夫妻を陥れている」
明確な殺意の有無はともかく、崖上の舗装路を歩いて滝を見に行けば、大坪田夫妻、またはどちらかが崖から転落する可能性は予見できた。
私だって彩子の制止がなければ、崖上の草むらに踏み込んで転落していただろう
夫人は崖上から滝を覗き込めば転落する危険があると心得ていたのだから、それと伝えず大坪田夫妻を送り出したので、転落の可能性を予見して故意に唆したと考えるべきだ。
「捜査主任だった貞治は十年前、節子さんの関与を知った上で、兼久に事実を伝えず責任の所在を有耶無耶にしています。署長さんが誰に義理立てているのか、このことからも明らかではありませんか」
応接室のソファに寝かされている節子は、ゆっくりと目を開けると、記憶の糸をたぐるように天井を見つめた。
そもそも夫人は毒入り紅茶を飲んでいたのだろうか、服毒したふりで意識不明を気取っていただけではないのか。
毒入り紅茶を飲んだとしても、致死量に及ばず致命傷とならなかったのは、彼女の紅茶に毒を盛ったのが自作自演だから当然だ。
「少佐……、話を続けてください」
節子は私の推理に反論がない様子だが、だからと言って肯定する気もないのだろう。
私はソファに浅く座り直すと、軍刀を支えに身を乗り出した。
「貴女は急遽、犯行を目撃された貞治の口封じを余儀なくされるのですが、これには事前に用意していた殺害方法を流用するしかなかった。では署長さんに流用された事前に用意されていた殺害方法とは、いったい何だったのか? それは貴女が朱美に飲まされたと装う、自作自演のために用意していた毒薬による毒殺です」
連続殺人の真犯人は、七つの原罪をモチーフにした弾丸を用いることで、拳銃の暴発による殺人、狙撃による銃殺、毒薬の経口摂取による毒殺、そして巻取りロープによる縊死、一貫性のない殺害方法を連続殺人だと知らしめている。
被害者に様々な殺害方法を用いることで、犯行を未然に防がれないようにするが狙いだったのに、毒薬だけは貞治と節子の二人に使用された。
私が第三の事件が毒殺だったので、警察が到着するまで飲食を禁じたにも拘らず、夫人は毒入りの紅茶を口にしている。
そしてトリカブトによる毒殺が自作自演に用意されていたと疑うのは、三徳のハドソンフェートンのタイヤを切り、電話を不通にして屋敷を孤立化したのに、服毒した者を病院に搬送するダットサンセダンが運行可能のまま放置されていたことだ。
これらの事実は、毒殺が自作自演のために用意されていたのを疑うのに充分であり、どうして狡猾な犯人がこのような状況に陥ったのか考えれば、貞治の口封じがやむを得ない犯行だとわかる。
「さて貴女が台本を書き直して貞治に毒を飲ませたことで、これに慌てた人物がいました。それまで傍観者を気取っていた優馬には、なぜ貞治殺しの片棒を担がされたのか理解できなかった」
節子は足を揃えてソファに腰掛けると、私と向き合って『ええ、彼は驚いたでしょうね』と、神妙な面持ちで呟いた。
優馬が驚いたのも無理がない。
なぜなら彼は――彼だけでなく榊原夫妻も、兼久や良夫と招待客が殺されていく中、自分も犯人に殺されるのではないかと薄々勘付いていた。
優馬は提供されたスープが毒入りで、それを譲った貞治が倒れたとき、犯人が自分を殺そうとしていると確信したはずだ。
「三徳の証言によれば、優馬が貞治に毒入りスープを飲ませている。貴女は招待客から食事の好き嫌いを事前に聞き出しており、彼が好んで口にしないミネストローネに毒を仕込んでいた。貴女は、優馬が苦手な食材を知っていたのでしょう?」
「お客様が口にしない食材を提供するわけにいかないから、皆さんに確認していたわ」
「でしょうね。黒羽武を知らない彩子さんも、少佐の食わず嫌いを言い当てています。招待客の好みを事前に確認していなければ、彼女が初対面の好みを言い当てるはずがない」
「私は、優馬さんの苦手な料理に毒を盛ったわ。それが彼の手から、大食いの貞治署長に渡るのを予想していたわ。でも予想ができても、そうならない可能性もあった。私は、どちらが後先に死んでも構わなかったのだけど――」
「ええ、そうなのです。貴女にとっては妾腹の優馬を殺害するのが真の目的だったので、彼が毒入りスープを飲んでも良かった」
節子は、どうして私が事件の真相に辿り着いたのか、きっとまだ理解していないのだろう。
だから事件の真相に拘る重大な一言を、いともあっさり思わず口走ってしまった。
今さら隠す気がないのかも知れないが、そこに真相を究明する手掛かりがある。
優馬は苦手な料理を貞治に譲っただけであり、毒入りのミネストローネを偶然に食べずに済んだに過ぎない。
署長に料理を譲った彼は、本来ならば自分が殺されていたと騒ぎ立ててもおかしくないのに、なぜ黙して語らなかったのか。
「私は貞治が殺された夜を再検証したところ、優馬は貴女の犯行を見破っていたと考えました。いいえ、はっきり言ってしまえば、彼は貴女が連続殺人の犯人だとわかっていた。では彼は、なぜ貴女の犯行を黙認したのでしょう。貴女は長女の恋人である優馬に、事件の筋書きを予め伝えていたのです。だから彼は、予定外の出来事に驚いた」
銃口に鉛の詰まった拳銃での暴発、ベランダに誘い出しての狙撃、トリカブトからアコニチンを精製しての毒殺、巻取りロープを使っての縊死などの殺害方法やアリバイ確保は、果たして彼女の着想だったのだろうか。
犯行にインテリジェンスを感じれば、夫人が書いた台本の筋書きには、よほど多様な知識を持つ指南役がいたと思われる。
第三の犯行である貞治の毒殺さえなければ、節子の犯行を疑えても、決定的な証拠を突き付けるのが難しかった。
そして台本を書き直して生じた綻びは、奇しくも傍観者を気取っていた優馬にも、真犯人の計画を露見させたのである。
「貴女は政信氏に優馬が隠し子だと聞かされるまで、彼と長女の交際を応援していました。表向きは、今でも二人を応援していることは明白です。だから優馬は貴女から叔父である兼久が、恋人の父親である政信氏に殺害の予告状を送り付けたと聞かされて、これを返り討ちにする方法を指南した。彼は兼久の甥だったから、政信氏に交際を反対されていると考えていたからです。貴女の筋書きに着想を与えたのが彼だと仮定すれば、危険を承知の上で客室の閂を解除して首を吊られた訳合いも頷ける」
「それは少佐の――」
「優馬はトライデント城で叔母の貴子を亡くしているのだから、叔父である兼久が同じ場所で死んだことに疑問を抱いて当然でした。しかし彼は第一、第二の犯行が起きたとき、あまりに落ち着き払っていました。そこに違和感があれば、彼の犯行か、もしくは犯行を知り得ていたのか、兼久が殺されると心得ていたのは一目瞭然でしたよ」
優馬には、自分を巻き込んだ節子の真意が理解できなかった。
優馬は貴子の死後、薄情にも永岡家を義絶した兼久のせいで恵子との交際を断られていれば、そんな叔父が恋人の父親の失脚を狙っていることに憤りを覚えた。
それに恵子との交際を後押ししてくれた節子が、裏社会とも通じる詐欺師の良夫にも殺意があると知ると、暴発事故を装う方法やベランダに誘い出しての狙撃、自作自演による捜査の撹乱など、夫人に邪悪な知恵を授けたのであろう。
「優馬は、貴女に事情を確かめるために客室二階の閂を解錠したところ、巻取りロープで作った輪っかを背後から首にかけられて背中を押された。塔の螺旋階段から足を滑らせた彼の体は、円を描きながら玄関ホール吹抜けの中央に向かい、そこで首を吊られて絶命したのです。優馬くんが死んだのを確認した貴女は、屋上に通じる三階部分の閂を解錠して見晴らし台に上がり、巻上げロープで彼の遺体を塔の最上階に隠した。そして死んだはずの優馬に成り代わった貴女は、客室二階の閂を施錠して右の塔から屋上を通り抜けて、解錠しておいた中央塔三階部分から邸内に戻り閂を施錠した。こうすることで犯行発覚までの時間稼ぎにもなれば、警察の目を濡れ衣を着せる朱美に向けることもできる。優馬を自殺に偽装して殺せるのは、屋敷右側にいた招待客の犯行が疑わしいからです」
私の導き出した答えには、いくつか疑問もあるのだが、わざわざ狸寝入りの節子を起こしたのだから、間違いがあれば正してもらおうと思う。
半ば呆れた様子の節子は、捲し立てた私に肩を竦めて『恵子に申し訳ないわね』と、こちらの意図を理解しているようだ。
「少佐の推理には、二つだけ間違いがあるわ。それを正しておかないと、おちおち死んでいられません。優馬さんは恵子から予告状のことを聞くと、予告状に使用された新聞の切抜きから、兼久さんが脅迫している事実を突き止めたわ。彼は、主人への点数稼ぎのつもりだったのでしょう」
「なるほど。兼久が政信氏を脅迫していると特定したのは、恵子さんから事情を聞いた優馬でしたか」
「私は主人への取次ぎを頼まれたとき、優馬さんの叔父が犯人だとわかれば、ますます交際を認めないだろうと言いくるめて、恵子との交際を諦めさせようとしました。ですが、あの女の息子は聞き入れようとせず、穢らわしくも異母妹との交際を続けるために、兼久を殺害する方法をあれこれと口にしました。暴発事後に見せかける、ベランダに誘い出して狙撃する、トリカブトから精製した毒を飲ませる、首に縄を巻いて階段から突き落とす――は、優馬さんが兼久を殺すために語った殺害方法です。私が手を下さずとも、彼はいずれかの方法で兼久さんを殺していたでしょうね」
「貴女が犯行に用いた殺害方法は、優馬が兼久を殺害するためだけに考えた方法だった。貴女は、それを利用して筋書きを考えたわけですね」
節子が深く頷いたので、優馬は指南役を買って出たわけではなく、憤る彼のトリックを勝手に盗用したのだろう。
そうであっても彼には、誰の犯行なのか明明白白たるところで、傍観者に徹していたことに変わりがない。
「主人も優馬さんも、女のために兼久さんを殺そうと躍起になるのだから、似た者同士だったのかもしれない。ついでに告白すると、貴子と世帯を持った兼久さんに嫉妬する主人を見兼ねて、私が滝に行くように仕向けたわ。でも私はあのとき、兼久さんに死んでいただきたかったのよ」
丁寧な言葉遣いで人の死を口にした節子が、着物の袖口からカプセル剤を取り出した。
きっとカプセルの中身は、致死量未満に処方したトリカブトから精製したアコニチンだろう。
犯罪を成し遂げた後、朱美に飲まされたふりをするために用意した毒である。
夫人は警察の到着を待ってから、服毒して病院に搬送されるつもりだ。
時刻は正午、遠くから警察車両のサイレンが聴こえてきたので、そろそろ最後の仕上げと言うわけだ。
「節子さんは私に真相を見抜かれたのに、まだ茶番劇を続けるつもりなのですか」
「少佐が欲しかったのは、事実であって真実ではないのでしょう? 私は、貴方の言葉を信じているわ」
私に与えられた任務を思い出せば、節子の身柄を警察に引渡すのことができない。
それを心得て毒を食らう夫人は、私のお手並み拝見といったところだろう。
甚平を巻き込んだのが吉と出るか凶と出るか、期待どおりの真実に辿り着いてくれればしめたものだ。




