人質
ソラが、二人の神に向かって走り出す。
その神は笑って、ソラに向かって手をかざした。
けれどそれをソラは即座に弾いて、間合いに入り込む。
二人の神はそこで笑みを消した。
「人間ごときが、俺達に逆らうのか?」
その声に、ソラは一瞬震えを感じたしまう。
血がぞくりとざわめく様な、そんな感覚。
彼らには逆らってはいけないと囁くようなそんな何かを感じて一瞬動きが止まる。
それを見逃す彼らではなく、すぐにソラへと向かって渦巻く炎の攻撃が放たれる。けれど、
「“消えろ”」
魔法を消失させる魔法をカミルが使う。
彼の手に持つ杖が、カミルの力を増幅させている事がよく分る。
それを見ながらアオイは、ソラとカミルの阿吽の呼吸の良さに舌を巻く。
これでは下手に援護できない。
もっともカミルは増幅されているとはいえ、その力は人の道を外れているように思う。
大分、南の魔王が同化しかかっているなと思いつつも、元々同じものだから、性格も特に変わらないし記憶を思い出すような感じだから別に問題はないんだよな……と思いながら、アオイは様子を見る。
その二人の攻撃に、目の前の二人の神は焦っているようだった。
意外に弱いその様子に、アオイはこの人間達だけで対処出来そうだなと思う。
特にソラは人間とはいえ南の神が選んだ勇者の末裔であり、その力を授けた存在なのだ。
ただ倒された所で素直に言う事を聞くといえば疑わしいが。
そう思いながらアオイが様子を暫く見ていると、次から次へと攻撃を繰り出して、それを防御する割合が二人の神々は増してくる。
彼らが負けるのは、時間の問題だなとそのまま暫く様子を見ていたアオイ。
やがて、その全てを防御出来なかった神々が、床へと倒れこんだのだった。
「ソラ、上手くいったね!」
「ああ」
頷いて、走り寄ってくるカミルをソラは抱きしめた。
それにカミルは首をかしげて、
「ソラ、どうしたの?」
「カミルの援護、助かった」
「うん、親友だもの、当然だよ?」
「……これからも一緒だ」
ソラのその言葉にカミルは頷く。
本当は異世界の神というこれまで戦った事のない相手に、ソラも不安があったのだろう。
実際に強かったが、何とか勝てたという意味合いが大きい。
けれどそのとき倒れこんだ二人の神が、油断したソラたちを狙っていたのだが……」
「……往生際が悪い」
そこでアオイが防御の結界を張り、それを防いだ。
そして、恨めしそうな神二人を見てからアオイは振り返り、
「ソラたちはエリオット達を追いかけて。僕はこの二人を調教してから行く」
「……分った」
「カミル、小説楽しみにしているから」
「うん、だから怪我しないようにね!」
そうカミルはアオイに叫んで走っていく。
それを見送ってから、くるりとアオイは二人の神に向き直り、冷たい表情で見下ろしてから、
「……上下関係をきっちりしつけてやるから、覚悟しろ」
二人の神は、顔を青くしてびくりと体を震わせたのだった。
時間は少し遡る。
エリオット達は、別の道からディアの部屋に向かったのだが、駈けて来るその気配に、エリオットは立ち止まった。
すぐ傍に階段のあるこの場所で別れる方がいいだろうと、エリオットは剣を構える。
「ここで俺はリアネーゼの相手をする」
その言葉に四人の五傑達は頷き階段を上っていく。
そして、久しぶりの再会に、エリオットは複雑な感情を覚えながら待っていると、そこに現れたリアネーゼはある人物を捕まえたままこちらに来ていた。
その人物に、エリオットは焦ったように叫ぶ。
「ディア!」
ディアはエリオットを見て叫ぼうとするも、声が出ない。
その様子に怒りを覚えたエリオットが、
「ディアに何をした!」
「不愉快な事をいうものだから、声を消させてもらった。どの道、魔力も封じているし、更にか弱さが増したな、このお姫様は」
ディアは姫と言われて心外だというかのように首を振るも、リアネーゼは無視をする。
それにエリオットはじろりとリアネーゼを見て問いかけた。
「どういうつもりだ? リアネーゼ」
明日完結します。




