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【創作BL】最愛の魔王様は今日も平常運転です  作者: ラズベリーパイ@天安門事件
大きな予兆

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制御できる

 足手まといか、と問われてエリオットは困ってしまう。

 確かに、先ほどの竜巻を切り裂いたのはエリオットだ。

 そして今後も彼らのような敵と戦うことになるわけで、戦力としてソラが不安を覚えるのは当然に思える。けれど、

「俺は、ソラやカミルがいるのは心強い」

「けれど俺の力では、あの魔族すら対抗できない」

 魔王所か、その下の五傑にすらも敵わない、それがソラのプライドを粉々に壊していた。と、

「ごめん、僕がもっときちんとサポートできていれば……」

「カミルは悪くない」

「うんん、この、貰った恥ずかしい杖を頑張って使えば、多分一つくらい消せたかなって」

「……だったら俺は余計、カミルを守る事なんてできないじゃないか」

「ソラ……」

 カミルがソラの名前を呼んで、同時にカミルの中の南の魔王も不安そうにソラを見る。

 このまま自分から離れていってしまいそうで、カミルは無意識にソラの服をつかむ。

 そんなカミルに、ほんの少し優しげに微笑みながらもすぐにソラは、

「弱いままでは、エリオットにも迷惑がかかります。俺は、足手まといになんてなりたくない。だから……ここで一旦別れて……」

「駄目だ」

 エリオットは短く告げた。

 それにソラはきっとエリオットを睨みつけて、

「こんな足手まといな俺を連れて行って、どうするつもりなんですか!」

 そう苛立ち、声を荒げるソラにエリオットは、

「一つ聞きたい事があるんだが……」

「何ですか」

「いや……その、勇者の血を、ソラは引いていると聞いたが、その力を今、見せてくれないか?」

 突然のエリオットの問いに、一瞬カミルがびくっとする。

 正確には、カミルの中の南の魔王だろうが、それを視界の端に捕らえながらエリオットは、

「その勇者の力を見せてくれ。それとも使い方が分らないのか?」

「いや、知っている。だが、血が薄いせいでそれほど威力はない」

「一応、見せてくれ」

 渋るソラにエリオットは続ける。

 今までの戦闘でも、僅かにその力をエリオットは捕らえていたが、それでも気にかかる点が幾つかある。

 そして根負けしたらしいソラが、

「少し離れていてくれ、エリオット、それにカミルも」

 頷き離れるエリオット。

 一方カミルは不安そうにソラを見て、そっと服から手を放す。

 そのままエリオットの方に走りより、不安そうにソラを見つめる。

 そこでようやく槍を構えて、ソラは力をこめる。

 闘気が揺らめくように立ち上り、見ているだけでその恐ろしさを肌で感じる。

 けれどそれを見ていたエリオットは、ふむと頷いてから、

「ソラは、誰にその力の使い方を教わった?」

「独学だ」

「独学?」

「ああ、俺の家はもう勇者の血が薄まっていて、もうとっくに廃業してしまっているんだ。だから、使い方は、聞いていない」

 その言葉に、エリオットは少し黙ってから、

「何となくこの勇者の力の使い方は分るが、それでも俺の場合父達に教わった」

「そうなのか?」

「そうだ、そうでなければ気づかないものなのかもしれないな、これの使い方は」

 そうエリオットは自分の手を見て、それからソラを見て、

「勇者の力の使い方が、非効率的だから、それを上手く使えれば、あの竜巻の一本や二本はどうにかなるかもしれない」

 エリオットが告げると、ソラが目を丸くする。

 すぐに教えて欲しいとソラはエリオットに頼み、けれどカミルは――性格には南の魔王は不満そうだ。

 けれど、ソラが、

「カミルを守れるぐらい、俺は強くなりたいから」

「……分ってる」

 渋々と呟くカミルに、ソラは笑ってカミルの頭を撫ぜる。

 そして、エリオットに習う事、数時間。

「こうか?」

「待て! ここで……このっ」

 ソラが槍を振るうと、エリオットが慌ててそれを受け止める。

 けれど受け止め切れない一部が、太い木々を何本もなぎ倒す。

「もう少し、制御をうまくしないと……暫く、俺が相手になる」

「いや、多分もう少しで上手く制御できると思う」

「……早いな。俺は……もっと時間がかかったな」

「いつも父親達に相手を?」

「いや、幼馴染の……リアネーゼによく、相手をしてもらっていた」

「……強すぎですね」

「今考えるとそうだな。でも、あいつ、何をしようとしているんだろう」

 複雑な別れ方をしたせいで、素直には認められないが、確かにエリオットにとって昔は、仲の良い大事な幼馴染だったのだ。

 雲行きが怪しくなっているのを感じながら、エリオットはリアネーゼは今何をしているのだろうと、久しぶりに思ったのだった。


 西の魔王テイルの城にて。

「それで、どうするんだい? リアネーゼ」

 西の魔王テイルは、招いた勇者リアネーゼにそう問いかけたのだった。

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