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面白いね

 そんなこんなでエリオット達は家捜しを開始したのだが。


「その調度品はもっと丁寧に扱え、高いんだぞ!」


 なんやかんやでその魔族の少年持ついてきた。

 ちなみにこの魔族の少年はクロックと言うらしい。

 そんな彼は、エリオットの行動をつぶさに文句を言う。のだが、


「いいか、ここは私の家だ、人様の家でそんなに暴れるように行動するやつが何処にいる!」

「だったらや探しなんていわなければ良いのに」


 ぼそっと呟くカミルに、クロックはふんと笑い、


「女みたいな顔をしている奴は、細かい所に拘るな」

「女みたいで悪かったな」

「だがこれだけ美しければ、見た目には目を瞑ってもかまわない。僕の伴侶にならないか?」


 それをいうと同時に、ソラがカミルとクロックに割って入った。


「カミルに手を出すな」

「……君は相変わらず律儀だね。あれとは大違いだ」


 わざと大きな声で聞かせるようにエリオットに言うクロック。

 けれどエリオットは無視して物を探していく。

 それを知れば勇者であるご先祖の過去が分るかもしれないのだ。

 知るのは確かに怖いが、それは過去の事。

 そんな因縁を超えて、ディアの手を取ることが出来たなら……そんな夢見がちな事を思う。

 だってそんな事で諦められるほど、エリオットはディアに……。

 そこでエリオットはカミル背中を叩かれた。


「索敵の魔法を使うよ。あまりにも広すぎるもん」

「索敵? 敵を探すのに?」

「魔族の作る武器なんて、敵と似たようなものでしょ? だから使えるんだ」


 と呟いて、カミルが呪文を唱え始めて、ふわりと金色の光り輝く粉が飛び回る。

 暫く四方八方にそれが飛び散って行ったかと思えば、再びそれがカミルの手に収束する。

 そして今度は白い光の蝶がひらひらと、幾つもの大きさで飛び回る。


「蝶が大きいほど力が強い魔道具だよ、行こう!」


 そうカミルに促されてエリオットも走り出す。

 それをソラが追い、その後をクロックが追う。

 この程度かとにやりと笑いながら。






 たどり着いた部屋は暖炉のある部屋だった。

 そこに一振りの美しい剣が飾られている。

 見るからに強い魔力を感じる美しい剣だが、


「……カミル、ごめん。この剣は違う気がする」

「ええ! でもこれ以上強い剣はここにはないよ?」

「……これじゃなくてもっと、俺にふさわしい剣があるきがするんだ。その、なんだか分らないけれどそれじゃないといけないような、そんな気がする……」

「……エリオットが言うなら良いけれど、でも、時間制限があるのを忘れないでね?」


 そうカミルは怒っているらしく、そのままソラに抱きついた。と、


「随分と面白い事を言うな。それは我が屋敷で一番強い闇の武器だ。この武器を選ばないとは、面白い勇者だお前は」


 そうクロックが皮肉混じりに言うも、エリオットは少し黙って、


「ディアと対峙するには、この武器はよくない気がして。ふさわしくないっていうか……」

「無料で思っていくくせに随分と贅沢だな」

「……ディアに関する事では妥協は俺はしたくないから」

「……勝手にしろ」


 一言吐き捨てるようにクロックは言い、黙る。

 けれど内心は、クロックは動揺していた。

 記憶があるはずがないのだ。でも、それを選ぼうとしている気がして、けれど隠してあるはずだから大丈夫と思って、エリオットがすたすたとその暖炉の横の壁に向かって歩いていき、軽く手を当てる。

 クロックはその行動にぎょっとした。何故って、その場所は……。


「面白いな……くすくす」


 カミルが、カミルでないような魔の気配を感じて、クロックは瞬時にそれが誰かと気づく。

 もう目覚めているなんて知らなかったとクロックが少し青ざめていると、そこで壁から隠し通路が現れる。

 けれどそれに更にクロックは顔を蒼白にさせて、


「多分この先にある」

「ま、待て……本気でそれを選ぶのか?」

「ああ。きっとここにあるのが一番ディアにふさわしい」


 ぼんやりとした瞳でエリオットが頷いて、クロックは歯軋りする。

 やはりこのエリオットはあの勇者の血を引いていると、クロックは憎しみを感じながらも思う。






 やがて戻ってきたエリオットは一振りの剣をたづさえていた。

 その剣は、美しい装飾の施された、魔族の“闇”と相反する、“光”の力を帯びていたのだった。


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